学校検診の限界
批判を受けるかもしれないが、私が所属する地域において内科検診時の半裸はよくある光景であった。
男女入れ替え制にして、カーテンで診察スペースを区切り、聴診や問診をしていただいていた。
発育や運動器の相談にものってくださる、熱心な校医さんだ。
半裸で行うメリットとしては聴診しやすく、肌や体格、背骨の状態が一目でわかること。
そのため、去年までは「半裸」の方法で進めていた。
しかし件のニュースを受け、内科検診の方法を再度検討してほしいという通知文も届き、今年は女子は着衣の状態で行うことになった。
服を着たまま聴診、背骨の検査を行う。
検査の精度は落ちるかもしれないが、女子の不満はなくなり、健診で要する時間も短くなった。
しかしながら男子は変わらず半裸であったため、男子からも着衣の要望が出た。
最近は男子も着替えはコソコソ隠れながらするし、水着も裸ではない。ラッシュガードを着用する生徒がほとんどらしい。
そんな実態を言われて初めて知った。
男子は上半身裸でも恥ずかしくないだろう…と、自分が昭和の感覚でいたことを恥じた。
言われてみれば多様性の時代。
来年度は男女共に着衣の状態で実施する予定だ。
生徒の不満もなくなり、健診時間も短くなったと満足していたが、熱心だった校医さんから「学校検診の限界を感じる」と言われたときに、少し胸が痛くなった。
もしかしたら健康診断の必要性や重要性を、効率や多様性と引き換えに軽くしてしまったのかもしれない。
時間をかければ1人1人入室させることで、プライバシーを守りながら丁寧に診ることもできたのではないだろうか。
授業時間、診察時間、その他あらゆるコストとリターンのバランスを考えて検診方法を考えたのか。
短時間で流れ作業のように行う健康診断の意義は、どこにあるのだろう。
養護教諭の役割は、健康診断を計画通り実施することだけではなくて、健康診断の結果から教育活動を考えること。
でも実際は事後措置は通知を出したり歯磨き指導をしたりするくらいだ。
何かを変えていくからには、信念と広い視野、自分の今までの価値観も変えていく必要もある。
そんなことを考えた。
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