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日本人の私がフランスでの食を通して学んだ事

フランスは美食の国と言われているが、フランス人は食へのこだわりが強い。料理やワインやチーズやレストラン等、食に関する話題でよく盛り上がる。みんなで集まれば長〜い食事会になる。よく食べ、よく飲み、よく喋る人達だ。

フランスに来たばかりの頃はフランス人の夫や友達や家族とフランス料理を家庭でもレストランでも満喫していた。なにせ美食の国である、美味しいものが溢れている。ところが4年目くらいから少しずつ胃腸の調子がおかしくなってきてしまった。クリスマス時期や食事会が続くと特に、胃腸薬を手放せなくなってしまったのだ。

不調の原因

あまりに不調が続くので病院で検査をしてもらった。結果は特に異常は見つからず安心したが。

女医の先生に「こんな胃下垂の人は見たことがない!」と言われてしまった。フランスでは珍しいらしい。不調の原因はお肉やソーセージ、チーズ等を日本にいた時よりも多く摂っていたからだろう。

医者から聞いた話では、日本人はフランス人より腸が長いらしい。穀物や野菜をたくさん食べるので、それを消化するために体内に長い時間とめておくことが必要だからだそうだ。フランス人は肉やチーズなどは体内ですぐに腐敗して悪玉菌を増やす傾向にあるので、どんどん排出できるように腸が短いそうだ。

食生活の見直し

食生活の違いに体が悲鳴をあげていたのだ。これはなんとかしなければと5年前にフランス西部の地方に移住してからは根本的に食生活を見直すこととなった。

具体的には以下のことを試してみた。夫と一緒に食事もするので、あまりストイックになり過ぎないようには気をつけたつもりだ。

1、普段は牛肉を食べない。但し付き合いもあるので、特別な時は少量をOKとする。鶏肉や魚は適量を摂る。

2、bio(オーガニック)の野菜、果物、豆類を多くを摂る。マルシェでbio生産者から旬の物を直接買う。←ここがポイント

3、食べたいものを体に聞く。

4、大好きだだったコーヒーをやめる。(これ、今も続いている)

5、特別な日以外、お酒を飲まない。飲む場合はbioのワインを。

この中でも2番のbioの野菜に拘り始めてから胃腸の調子が格段に良くなった。それと同時に牛肉を食べなくなったことも大きかったと思う。胃もたれがなくなった。フランスには日本の様な薄切り肉が無く、肉の塊を料理するので消化するのに時間がかかるのだ。

コーヒーやお酒をやめたのは、自然の流れで、体が欲しなかったからだ。

bio食に目覚める

bioのウンチクは専門家にお任せするとして、私はbioの野菜と農薬を使って大量に生産された野菜との違いが体感としてわかった。体が受けつけるか、受けつけないかである。

それから味が全然違うのにも驚いた。何も付けずに生で食べ比べてみて欲しい。本当の野菜の味がする、匂いがする。実は日本にいた頃から肌の調子が悪く、皮膚科に通っていた。ところがbio野菜を多く摂ることによって改善された。良いことづくめである。やはり食は大事で、私達が食べたものが体を作るのだと実感した。

「マルシェでbio生産者から旬の物を直接買う←ここがポイント」と書いたが、その理由はこうだ。

1、先ずは誰がどのように栽培しているかが分かって安全である。

2、旬の食材がわかる。調理の仕方を直接教えてもらえる。

3、小規模のbio生産農家から買うことで地球環境を守る手段の一つになる。

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我が町の野外マルシェの写真である。週に2回、生産者が直接販売している。殆どの野菜、果物、パン、肉類、魚介類は量り売りである。

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bioのパン屋さん。1キロで5ユーロくらいである。パンは一個丸ごと買ってもいいし、半分にカットしてもらって買う事もできる。

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いつも買っている魚屋さん。大西洋側に位置しているので、新鮮な魚介類が豊富である。パリは魚がびっくりするほど高いが、ここはそこまで高くはないので助かる。

フランスは随分前からbioブームで、コンビニはあまり無いが、bioショップは街のあちこちにある。しかし一口にbioといっても100%bioの食材を探すのは難しいと思う。だから私は信頼できる生産者から直接買いたい。

更に言えは3年前から、ご近所さんと畑を借りて野菜の栽培も始めてしまった。これは100%bio野菜である。

Stay homeになってから家庭菜園を始めた人や料理に目覚めた人も多くいるだろう。自分達で食べるものは自分達で作る。古くから私達の先祖がやってきた、体に優しい、地球に優しい行為である。食べたい物を適量作ることで、食品ロスにも繋がると思う。

最後に料理研究家の土井善晴さんがTwitterで書いていらっしゃった言葉を載せたい。激しく同意である。

地球環境のような世界の大問題をいくら心配したところで、それを解決する能力は一人の人間にはない。大きな問題に対して、私たちができることは「良き食事をする」こと。どんな食材を使おうかと考えることは、すでに台所の外に飛び出して、社会や大自然を思っていることにつながる(一汁一菜でよい提案)」





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