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まだ、たまご

たまごを割る。時々、硬くてなかなか割れないのがあることに感動する。守られている感じがする。だけど、もしそのたまごがヒナの孵るたまごなら、ちょっと大変だろう。そのヒナには、たまったものじゃないのかもしれない。だって、ただでさえ簡単じゃないよね。たくさん時間をかけて、へとへとになって生まれてくる。ひと一倍硬い殻に包まれて生まれてくるヒナは、一大事なのではないかな。
殻は、強く守ってくれる。だけどそこから出て来たいときに、なかなか破れないとすると、果たして、無事に孵れるのか、ここで生死を分ける闘いがあるのでは。硬い殻を持って生まれてくる命はつまり、それだけで、生命力を試されるだけの可能性を秘めているってことだ。



僕のなかを覗いても、からっぽかもしれない。
まだ生まれていないちいさな僕がいつも眠っている、そんなふうに思う。こころのなかに、孵らないたまごを温めている。そんなふうに思う。
たまごみたいな気持ちがあるって。思っていたんだけどね。

みんなの音が、僕のたまごを、割ってくれるんだって思ったんだよ。そのたまごは割れちゃいけないものじゃなくって。外から割ってくれるのかもしれない。僕が、割って出て来る勇気をくれるのかもしれない。

でも、ちょっと思うのは、「生まれて来ようとするためのエネルギーそのものを、ためておくためのたまご」なんじゃないかって。硬い殻を破るときの、それは、世界を壊すような力なんじゃないかって。割れちゃいけないたまごじゃないけど…僕はひな鳥のままでもいいのかもしれない。生まれて来ようとする、生まれ出る力を欲しがる、ひな鳥の声が、誰かを呼ぶ歌になるんじゃないのかな。僕は君のための歌を歌っていたいだけなんだよ。

孤独を守られるような、わけもなく踊り出したくなるような、絶望の淵に僕はいる。世界に絶望が無いんだったら、誰も僕の姿を見なくていいんだ。
このたまごのなかの世界は、ちいさなやさしいたまごのままでいいんだよ。君の涙さえ守っていられたら、僕はそれでいいんだ。

僕には、このたまごを見守るなかまがいるから、本当のひとりぼっちを知っている君が泣きたいときには、きっと僕たちの音で、君を包むよ。傷ついたらここへおいで。壊したくなったら、その時は、思い切りぶち壊そう!
それもきっと面白いよ!



これも一つの、つながっている世界の物語。


あなたたちの音楽を愛しているよ。



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