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【社員インタビュー】マクロミルの仕事が世の中を良い方向に変える。そんな仕事を仲間としたい

2020年にマクロミルに入社され、グローバルリサーチ本部でグローバルシニアプランナーとして活躍する岸原文顕さん。前職のキリンビール株式会社様では、営業、マーケティング、商品開発など、国内外で多岐にわたり経験され、持ち前の温かい人柄で入社1年ながらすでに社内で多くの社員が頼りにする存在に。そんな岸原さんに、なぜマクロミルに入社されたのか、どんなことを目指されているのか、広報の有吉が詳しく話を伺ってきました。


キリンビールでの海外事業は、現地の声を大切にしたことで良い成果につながった

―岸原さんはキリンビール様でご活躍されていたと伺っていますが、毛皮屋さんでも働いていたとか・・・

そうなんです。世界中の大学生を交換して、受け入れ先の大学が仕事を見つける「AIESEC海外企業研修制度」に応募して、カナダの大学が見つけた仕事がナイアガラの滝の近くの毛皮屋さんでした。1年間フルタイムで働いて毛皮にも詳しくなったんですが(笑)、それがきっかけでカナダで働き続けたいと思って辿り着いたのが、当時カナダで現地生産を始めたばかりのキリンビールでした。

キリンビール入社後、日本での営業を6~7年ほどした後、ずっと希望していた海外勤務が叶って香港へ、日本に戻って国際部やマーケティング部を挟んで、今度は上海へ、その後外資との洋酒合弁企業を経て最後は京都でクラフトビールの立ち上げの仕事をしていました。念願のカナダには結局駐在できなかったのですが、出張の帰りに返還前の香港へ立ち寄った際に、肌で「これからはアジアだ!」って感じたんです。ダイナミックな伸びしろがあるのはアジアだなと。90年代後半、熱気あふれる香港を拠点にして発展途上の中国各地や東南アジアを飛び回っていて、このタイミングのアジアで働くことができたのはとてもエキサイティングでしたね。

そういった面白い仕事が多く巡ってきて、気づけば32年間キリンビールで働きました。今度は世の中へ恩返しをしたい、なかでも日本の素晴らしいブランドや商品たちを海外に広めて行きたいと思っていたところで、マクロミルと出会いました。

―キリンビール様では様々な領域で活躍されていたんですね!海外事業では、具体的にはどういったことをされていたのでしょうか。

良い思い出では19年前の台湾で、新しいブランドを現地の仲間と立ち上げたことがあります。キリンビールの「一番搾り」ブランドは台湾でNo.1プレミアムブランドとして大成功していたのですが、安い価格のビールが相次ぎ参入して市場が激変、防戦一方の「待ったなし」の事態に。これは困った、さてどうしようかと。「一番搾り」の価格を緩和するか、サブブランドを立てるのか、全く新しいブランドを作るのか・・・。結局メインストリーム価格帯の新ブランドを開発したのですが、「一番搾り」とのカニバリやブランド毀損、キリンブランドトータルでのイメージ低下をどう防ぐのか、コンセプトからネーミング、パッケージ含めどのような見せ方をするべきか・・・など色々と悩みました。また、海外でプレミアムではないキリンブランドの商品は前例がなく、本社内では反対意見もありました。最終的に決め手になったのは台湾の仲間のインサイトです。彼らの意見を取り入れて一緒に開発したことで若者に支持される「KIRIN Bar Beer」という商品が生まれました。台湾の人気ブランドとして来年誕生20周年を迎えます。

また、1995年の進出時から関わった中国では、現地仕様の色々なキリンビールを販売したのですが、なかなか根付きませんでした。それが悔しくて、2度目の駐在で2010年に上海に赴任した際には、商品を絞り込み、ブランドのたたずまいを変えて立て直しを行いました。例えば「一番搾り」ブランドは中国の消費者にとってどんな価値があって、どんなメッセージを訴求すべきなのか。これも悩みましたが、現地の仲間やブランド関係者だけでなく、調査会社とも事業やブランドの課題を共有し仮説を徹底的に議論しました。調査結果からその仮説にさらに自信を持つことができ、そうして進めたフルリニューアルが成功し、ブランドは今も成長を続けています。

どちらも現地社員の意見や、生活者のインサイトを大切にしたことで成果につながったと思います。ただ、現地で社内外の多くの人々との信頼関係を構築して成果を出すまでは、本当に長い道のりで。

最初の駐在では苦渋のリストラも迫られ、現地社員の仲間には辛い思いをさせました。香港に赴任した出勤初日には、有能と聞いていた社員の不正が発覚し、解雇通告書を作ることが最初の仕事、なんてこともありました。また、公用語は英語でも香港人同士のやりとりは広東語なんですよね。広東語なんて一言も分からなかったので、このままだと商談などの場で何が起きているのか把握できないと思ったので慌てて広東語教室に通いました。同じアジアでも、契約社会だったり個人主義だったりするので、明確な言葉で正確に伝えないと、齟齬があるし伝わらないことを身をもって経験しましたね。
国によって商習慣も違って、納品後に契約が守られずに代金が支払われなかったり、勝訴しても回収できなかったりと歯がゆい思いもしました。それだけに、そういう苦労を一緒に乗り越えた仲間は今もかけがえのない盟友です。

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欧州の事業支援、中国や東南アジアへの進出探索や立ち上げなどを経験したが、壁にぶち当たることばかりだったと当時を振り返る

悲惨な事故をなくしたいという思いで作ったノンアルコールビール「キリンフリー」

―海外ならではの苦労があったのですね。国内ではどのようなことをされていたのでしょうか。

印象に残っているのは、「キリンフリー」という完全ノンアルコールビールです。開発から2009年の発売までチームで担当しました。定性や定量の調査を繰り返し行って消費者のインサイトを引き出し、どんなコンセプトで、どんなネーミングで、どんなパッケージにすべきか・・・など一つひとつ、決めていきました。当時、飲酒運転の悲惨な事故が続いていて、「この世から飲酒運転による悲劇をなくしたい」という思いで開発に臨んだんです。その思いに共感してくれた警察庁の研究者や関係者からは、安全性の検証方法などのアドバイスや協力をいただき強力な後押しになりました。そのため、新商品が誕生して売れていく嬉しさももちろんありましたが、それよりも社会問題の解決に寄与する仕事に携われたことに、気づきや喜びがありました。この経験から、仕事をする際に「この仕事の最終的なゴールは何だろう」と考えるようになったと思います。

失敗するかもしれないけど、まだ誰もやっていないことに挑戦したい

―「キリンフリー」は新しい市場を切り開いた画期的な商品ですね。多方面でご活躍されていた中、なぜマクロミルに入社されたのでしょうか。

アルコール0.00%~43%に至る、ニッチ商品からグローバルブランドまで国内外の仕事に恵まれて来ましたが、最後にやりかったのはクラフトビールでした。2017年からは京都のクラフト醸造所で造った京都ならではのビールと食とのペアリングやARTとのコラボなど、「体験」を通じたブランドづくりに没頭しました。加えて、農家や他の醸造所仲間や行政と産官学プロジェクトを立ち上げ、「畑からグラスまで」を合言葉に京都産の麦とホップを使ったビール造りを通して、地域コミュニティ創りにも挑戦しました。

長々と話してきましたが、このクラフトビールの社内ベンチャー事業も軌道に乗り、もうこれでやりたかったことはやり切った気がしたので、会社を辞めて、通訳ガイドとしてお酒好きの外国人を日本中の酒蔵に連れて行ったり、日本文化を世界に伝えていくようなことをライフワークにしたいと考えていたんです。そうした矢先に、コロナ禍になってしまって・・・。そんな中で、世の中に恩返しをと考えたときに、転職して日本のブランドや商品を海外に広めていくサポートをしたいと考えるようになりました。これまでの経験から、飲料や食品、日用消費財メーカーの領域で「海外」や「モノづくり」といった視点で企業情報を見ていた中で、『クライアントのグローバル事業を推進しながらアジアNO.1を目指す』と掲げているマクロミルと出会ったんです。マーケティングに関わっていたので、当然ながら馴染みがある会社でもありました。

私はそれまで「モノ」をどう売っていくかにフォーカスしていたのですが、そもそも「モノ」に携わるとしても、様々な業種や、同じ食品とか飲み物でも多様な会社・ブランドがあって、幅広く関われるというこの切り口に、なぜ今まで気づかなかったんだろうと思いましたね。それに、クライアントの事業を成功させながら、マクロミルも成長してアジアNo.1を目指そうというところに、香港に駐在した頃の胸が躍る感覚を思い出しました。
私はどうも0を1にするのが好きで、失敗するかもしれないけどまだ誰もやっていないことや、まだどっちに転ぶかわからないみたいなものに、やりがいを感じるんです(笑)。皆さん、ワクワクして働いているんだろうなという想像もあって、マクロミルへの入社を決めました。

―マクロミルに入社されて約1年が経ちますが、実際に入ってみて何か感じたことはありますか。

入社研修でマクロミルには「風通しの良さ」を大切にしているカルチャーがあることは習ったのですが、まさにそうだなと思いますね。皆さん明るくて前向きで、仕事に対して真面目にスピーディーに取り込むし、コミュニケーションが活発で助け合うカルチャーがあるなと。チームリーダーやマネジャーもなるべき人がなっていて、グローバルリサーチ本部では入社年数の浅い方も多いですが、リーダーやマネジャーが彼らをきちんとサポートし、メンバー同士でも助け合って成果を出していて素晴らしいなと思います。互いに称賛し合うカルチャーも。

一方で、「おや?」っと思ったこともあって。私はいわゆるBtoCの領域で仕事をしていたので、BtoBのマクロミルは言葉遣いが違うなという印象を持ちました。象徴的なのは「お客様」という言葉。私の中に染みついている「お客様」は、「最終消費者」なのですが、マクロミルでは「クライアント」のことなんですよね。クライアントの調査に関わった結果として、商品やサービス、コミュニケーションが生まれますが、さらにその先の所まで関心を持った方がいいように思います。それらが、果たして世の中にどんな価値を生んでいるのか。クライアントと対等のパートナーとして一緒に生活者や社会と向き合い、一緒に価値を創っていく、そういった姿勢が必要だと考えています。まずは私たち自身が生活者と同じ感覚でいることが、クライアントのためにもなるはずです。言うのは簡単で実行は難しいことですが、そこは私に求められている役割だとも思っています。

ですので、バリューチェーンの中で切り取られたごく一部を調査するのではなく、一連の流れ全体にしっかりと寄り添いたいというメッセージをクライアントに伝えるようにしています。クライアントから、「調査会社」という限定的なパーセプションを持たれているところが悔しいですね。どれだけこのパーセプションを変えられるか、変えるために何ができるかを日々考えています。グローバルリサーチ本部が先陣を切って掲げている、『Be Your Marketing Brain』というVisionを皆で体現していきたいですね。

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マクロミルが今か掲げている「総合マーケティング支援企業」へとパーセプションチェンジを図りたいと語る岸原さん

「自分の仕事が、世の中を良い方向に変えるのか」を追求する会社へ

―その姿勢はとても重要ですよね。マクロミルのパーセプションチェンジの実現に向けて、広報も取り組んでいきたいと思っています。今は具体的にどのようなことを担当されているのですか。

マクロミル社内では「プランナー」と呼ばれる仕事です。
海外進出や展開を検討されているクライアントとの初期的な情報交換からセールスチームのサポートに入っています。クライアントのVisionや中期計画などを事前に調べ、どのあたりに課題感があるのか、何を軸に成長を模索しているのかヒアリングを行い、その中で見えてきたことから最適な支援方法を考えます。海外事業はリスクがつきもので担当者の悩みは尽きません。今度は自分がその悩みに寄り添いたいのです。クライアントが海外の現地の調査会社などに直接依頼することが増えている中では、現地に密着した協働が重要なので、各国のマクロミルの現地法人との連携や機能強化も大切な仕事です。

また、メーカーでのマーケティングや品質管理・需給管理など、マクロミルに活かせそうなことをグローバルリサーチ本部に限らず色々な部署を横断してお話しています。「お客様」という言葉がそうであるように、私からすると当たり前だと思っていたことが、マクロミルの仲間からすると意外なことってあったりするし、逆も然りで。私も勉強になるので楽しんでいますし、部門間コミュニケーションの重要性を感じますね。

―これからは、どんなことに取り組まれたいですか。

調査を超えてクライアントの事業課題を解決する機能をパッケージ化して、新しいサービスを生みたいと思っています。社外のパートナーとも組んで色々と考え始めているところで、クライアントのニーズを聞きながらブラッシュアップしていく予定です。それができると、調査以外での解決方法が増えて事業の成功確率が高まりますし、調査そのものの目的が明確になることで双方の確認作業が減ったり、報告内容も簡潔になって効率化にもつながります。従来かかっていた時間や労力をクライアントのアクションへの示唆や提言をするなど課題解決のために割くことができるので質が上がり、マクロミルの価値も上がっていくと思います。

情報発信も積極的に行いたいですね。ちょうどnoteの連載記事も始めたところです。私たちは生活者ともダイレクトにつながっているべきと思うので、世の中をもっと良く、もっと楽しくすることに、マクロミルが貢献していることを伝えていきたいですね。

今、新型コロナウイルスの拡大があったり、諸外国の政治も混沌としたりして、先が見えづらい世の中になっています。ですが、その中で起きる良い変化にジャストミートし、それをさらに加速していく側にマクロミルが入るべきだと思っています。「今日の自分の仕事が、本当に世の中を良い方向に変えるのか?」「これで自分自身も幸せか?」と、働くことや仕事の意味を皆が考えて、社会も自分もクライアントも皆がハッピーになる、そんなワクワクする仕事をマクロミルの仲間と創っていけたらいいなと考えます。

仕事と生活、どちらも楽しみながら、平和で幸せな社会を創りたいですね。
Own it, Enjoy it!

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皆がハッピーになれる、ワクワクした仕事を仲間と創りたいと笑顔で語ってくれました。

―ありがとうございました!

実は岸原さんとお会いするのは初めてでしたが、噂通りの優しいお人柄が終始伝わってくるインタビューでした。また、インタビューを通じて、マクロミルとしてあるべき姿や働くことの意味を改めて考えるきっかけにもなり、マクロミルに新しい風を吹き込んでいることを確かに感じました。岸原さん着用のTシャツ「SPRING VALLEY BREWERY」はお話にも出てきた前職のクラフトビールのお店の名前。これまで関わってこられた方たちを仲間として大切にする岸原さんの思いが表れているようで、そんな岸原さんが今度はマクロミルを仲間としてお話されていることをとても嬉しく感じました。岸原さん、お忙しい中お時間いただき、ありがとうございました!

写真撮影 / コーポレート・コミュニケーション・IR本部 柳川亜紀子

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