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恋愛経済学 - 勝間和代

1. 一番響いた言葉/ 我最喜欢的句子/My favorite sentence

今の日本では、結婚していないカップルから生まれる子供は、結婚してから産まれる子供に比べて法的に差別されています。子供持つことと正式結婚することが、完全に「バンドル(抱き合わせ)」されている状態です。

日本以外の先進国では、子供をもつことと結婚の「アンバンドル(切り離し)」が進んでいます。別々でいいではないかという考え方です。フランスなどはその典型ですし、アメリカでもそういう動きが加速してきました。子供は恋愛だけでうまれてもいいし、結婚でうまれてもいい。ただ、子育ては社会全体でやればいいではないかという発想です。

結婚と子どもをバンドルしてしまうと、結婚しない限り、子供が生まれないので、少子化が進んでしまいます。ところが、先進国では、子育てに必要な期間が延びて、費用もかさむようになりました。晩婚化も進んでいて、結婚そのものも難しくなっています。だから、もっと自由な環境変化を容認しなければ、子供が減ってしまうわけです。

そこで、結婚と子供をアンバンドルして、別々に行えるようにしようという考え方が生まれたのです。
もともと結婚制度は、子孫を残すための制度です。ところが、今は結婚制度が原因で、子供が生まれなくなってきているわけです。

>>>僕の感想:

結婚と子供を切り離して、社会の力で子育てをする考え方はとても大胆ですね。実施することに伴い、妊娠中絶が減り、確かに「量」的人口が増えると思います。そして、離婚したいが単純に子供関連の縛りで離婚できない問題も軽減されると思われます。良し悪しを問わず、この部分を読むことで、勝間さんが出張した「結婚以外の方法でも子供を残せる仕組むを作っておけばいい」という少子化対策を知り、自分の視野を広げました。

懸念点として、実施するコスト(社会に育ててもらうための意識の浸透、戸籍管理や課税など)のほか、この制度に伴う子育ての「質」に気になります。

僕の周りに、結婚したくないのに、子供が欲しいケースが多くありません。いる場合は、ただの結婚制度に嫌がるか?原因を掘り下げて分析し、それなりの対策をしたほうが良いのではないかと。
結婚と子供を切り離して考える制度を実施することで、子供産む準備ができていない、極端言えば意外妊娠して子供を産むケースが増えると推測します。そうすると、社会の力で子育てをすると言っても、子供を産みたい母親ほど、子供の面倒を見れないと思います。わかりやすい例で言うと、朝3時に母乳が欲しい子供に対して、社会はどのように提供するか?と疑問があります。小さいな子供の欲求さえ満たせず育てられた子供たちは(ポイントは人数が少なくはない)、将来の労働人口として登場する際に、健全に社会を支えられないと懸念します。

2.ほかのハイライト/ 精彩文本/highlight

何故恋愛が苦手なのか?それは、人間の二大能力から読み解けます。私たちの二大能力は、「共感」と「システム化」と呼ぶことができます。前者は、人の気持ちや自分の気持ちを上手に推し量り、感情を捉え、コミュニケーションに役に立てる能力です。後者は、物事の仕組みを大きく捉え、入力されたものがどのような構造で変換・転換され、出力につながるのかを理解する能力です。

この共感とシステム化という能力の和は、だいていの人が同じくらいです。片方が優れている人は、もう片方が劣るのです。よく、「地図が読めない女」「話が聞けない男」という表現をしますが、一般的に女性は共感能力に優れ、男性はシステム化能力に優れています。恋愛にはこの共感能力が必須であり、だからこそ、全体的に女性のほうが男性よりも恋愛上手が多いのでしょう。
恋愛は、そもそもぶっちゃけて言ってしまうと、子孫を残すためにあります。とは言っても、人間の場合は、ただ子孫を残すだけではダメで、その後、家族みんなが普通の生活をできなければいけません。
生殖の時に、なぜ恋愛が必要かというと、生物的な研究によれば「上手にDNAを混ぜるため」です

もしDNAを混ぜる必要がなければ、単性生殖(無性生殖)すればいいでしょう。ところが、単性生殖だと、同じ遺伝子がコピーされてしまいます。そのため、DNAが混ざらず、生殖淘汰が進まないので、その後の環境変化に弱くなるというのです。環境変化に対して強くなるためには、異なる遺伝子を持った男性と女性を合わせて、XY生殖(有性生殖)をしたほうがいいということになります。
女性は男性のように、ばら撒きだの、外部のヒエラルキーだのにはあまりこだわらないし、関わりたくもありません。なぜなら、ヒエラルキーの上のほうに行ったところで、卵子をばら撒けるわけではないからです。

むしろ、自分の卵子が快適に暮らせる環境を整えるというのが、基本的な戦略なのです。
国立社会保障・人口問題研究所の統計によれば、生涯未婚の人や離婚した人と、結婚を継続した人の平均余命が短くなっています(本の中具体的な数字が提示されているが、ここで略。約8~10年の差)。離婚した男性や未婚の男性がこれほど短命な理由は、やはり大事にしてくれる家族が存在しないことにあると思われます。
恋愛結婚だから幸せとか、見合い結婚だから不幸せというのも一概には言えません。フルで恋愛結婚するのは本当にいいのかどうかという議論があります。恋愛でぼーっとして結婚してしまったときに、実はあまりにも社会的な立場や考え方が違ったり、雰囲気が違ったりすると、お互いに不幸になってしまうわけです。大好きだからというだけで結婚するのは、それなりにりすくもあるということです。見合いの場合は、「恋愛感情がゼロでも、この人と結婚できるか」という問題を最初にクリアしているので、長続きする可能性が高くなります。経済学者の田中秀吉先生がいう「恋愛の効用は結婚したときがピーク」という話は、本当にそのとおりだと思います。
家計の収入を夫だけにに頼るポートフォリオというのは、ファイナンスの観点から考えると、本当は危険です。ポートフォリオ理論的にいうと、共働きのほうが、分散投資になっている分、リスクが低いのは明白です。ただその分、結婚の効用のほうが弱くなります。
セックスという行為を簡単にはできないようにして、希少価値を高め、社会的に男女を繋ぎとめるための「餌」にしています。男性はもともとばら撒き型で、ただでさえセックスしたいようにプログラムされているのですが、社会的な仕組みが一定のルールに従わないとセックスできないように出来上がっているのです。
「愛人」という道を選ぶのも、合理的な判断です。男性がセックスだけ買うことを求め、しかも定期的に特定の相手としたいということになれば、愛人というシステムは経済合理性にかないます。
男性の希少資源は経済的資源とか時間的資源ですが、卵子の数が限られている女性の希少資源はセックスなのです。双方の希少資源を交換するのが、一般的な結婚です。
離婚の原因には、大きく分けて3つあります。
1. 相手が最初にコミットした資源を投入しなかった
2. 自分が自立して、相手の経済的資源の供給を受ける必要がなくなった
3. よりよい代替案が出てきた

また、セックスレスは、こじれてしまうと、最後は離婚する可能性が本当に高くなるので注意が必要です。
整形は、マイナスが大きかった人ほど効果は高く、平均以上の人はリスクのほうが大きくなるので、よほど平均より悪くない限り、やめたほうがいいです。自然なものを壊すのは、リスクが大きいのです。
モテるためには美容整形する前に健康になれというのが基本です。なぜ、健康的な人が世の中で人気があるかというと、健康は努力のバロメーターだからです。
結婚しない限り、セックスできないような仕組みを作って、男性のエロパワーを過剰に頑張る方向に向かわせるという仕組みが、だんだんできていきました。なるべくそういう形で、頑張る人がモテるように設計されているわけです。つまり、この世は、男性がモテることを求めて頑張ると経済が発展するという風にデザインされてきました。
社会の規範というものは、1世代前のものがそこに陳列されているだけなのです。社会規範と正反対のことばかりすればいいというわけでもないが、自分の頭で考えたほうがいいです。
思春期にリスクをとれる体験をしている人は、その後もリスクに対し、冷静に計算して対処できるようになります。若いごろから何をやってもダメみたいな環境に追いやられた人たちは、リスク回避的になります。
「恋愛は経済活動の一部」なのではなく、「恋愛は経済活動の上位概念」です。経済的な成功は、最後はすべて「モテ」に繋がっていくというのは勝間理論です。

以上。

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参考:勝間和代 「恋愛経済学」

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