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灯火

たぶん。
魂はある。
人間には魂があるんだと思う。
そして、動物にも魂があるんだと思う。
愛犬が亡くなったとき、本当に命あるものは、いつか消える日がくるんだと感じた。
深い悲しみと、なんとも言えない空虚さが部屋に残った。
もう会えないんだ。
もう二度と触ることができない。
そんな後悔の感情を強く抱いたとき、パッと目の前に、緑色に光る小さな球体が現れた。
そして、一瞬で消えた。
ぼくは、驚いた。
もしかして、愛犬の魂なのだろうか。
ぼくに「ここにいるよ」と知らせてくれたのだろうか。
それから、不思議なことが起きた。
愛犬とよく遊んでいた猫が、目の前に現れて、ぼくの目をじーっと見ていた。
いつもなら、逃げてもおかしくない距離だ。
その目は、どこか悲しんでいるようにも見えたし、まるで、愛犬のような瞳をしていた。
そして、その猫は、しばらくして向こうに歩いていったが、動きがまるで愛犬の動きと同じだった。
もしかして、動物の魂は、生きている動物に乗り移ることができるのだろうか。
それとも、猫が愛犬の真似をしているだけなのだろうか。
真相はわからない。
しばらくたって、また、不思議なことが起きた。
今度は、見たことがない鳥が、ぼくの目の前に止まって、何回も「キーキー」と鳴いた。
それは、愛犬がさみしいときに鳴くような声に聞こえた。
ぼくは、この体験をこう解釈した。
姿がなくなったあとでも、魂となって、他の動物に乗り移り、最後までそばにいてくれる。
魂が、いつか上昇して、天に届くまで、愛したものを見届けることができる。
たぶん。
魂は存在する。
愛するものがいる限り、魂は、小さくても、力強く生きていく。

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