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父とご飯を食べたら


父とご飯を食べに行きました。そこは一度行ったことのあるお店で、パフェとかタルトの種類が沢山ある洋食屋さんです。いや、パフェ屋さんもしくはタルト屋さんで、ご飯も食べられるというのが正解なのかな。

父は昔から食にはあまり興味がないのかなと思います。食べるのは好きだけれどルーティーンみたいな感じでしょうか。

私とふたりでドライブしてお花の写真撮りに出かけるようになったこの数年、私が連れ回すから、色々と食べたことないものを食べているみたいです。
私は、ホテル勤務という仕事柄、世界の料理や飲料、お酒に触れてきました。高級な食材なども目にすることが多い生活をしていたので、普通の人とは少し違うものも知っているのかもしれません。そうだとしても、父は普通の人と比べて極端に食べ物の名前や食べ方を知らないなと思います。
父は今まで食の世界の冒険はしてこなかった人なのです。でも、ご飯は3食モリモリ食べる健康人です。だからそれでとっても良いのです。

私は、食べ物はお腹を満たすだけとか、栄養を摂るだけでなく、楽しめるという事を知ってもらえたらなと思っています。
ホテルマンとしてはテーブルを囲むゲストにはそれぞれの目的があると思ってしまうのがクセで……集まった人が料理はもちろん、話を楽しむ場所としての食空間を演出だとか、思うのですよ。

今回父は、前回弟が食べていたパスタのコースを選んでいました。他人が食べてるのが食べてみたくなる、と。
パスタの種類、ドリンクの種類、パフェの種類が選べます。

私は、ポルチーニ茸のチーズリゾット。それにサラダとスープをつけました。あ、パフェも……

父は、リゾットが何かわからなくて、「何ねそれは?」と聞いてきました。実は前に福岡のレストランでリゾットとカルパッチョを教えたんだけどなーっと。
「イタリアのお粥みたいなやつだよ」と私。
「ちょっと食べてみる?」私はリゾットを少し父のパスタのお皿におすそ分けしました。
パクリ。父はリゾットを食べると「ああ、なるほどチーズ味ね」と、何か満足している様子でした。
「うん、そうそう」と私。あんまりうんちくをクドクドうるさく言っても食事が楽しくないし、これで良いのだ。
リゾットとは、【イタリアのチーズ味のお粥】と父の記憶にインプットされてしまいました。雑炊の方が良かったかしら。
ちなみに、カルパッチョの説明はイタリアの刺身にしました。オリーブオイルがどうとか言ってもとにかく説明をまた説明しないといけなくなるから。

リゾット



エディブルフラワーがパスタにもリゾットにも乗っていたから、それが食べられるお花だと父に伝えると「花は食べん」ポイっとお皿の端に置いていました。

最後、デザートにパフェが到着しました。
「あ、またお花が乗ってるね〜」私は盛り付けにいちいち感動しています。父にはどう見えているのかな。「花は食べん。あげる」ですと。でもでも、可愛いよね?そう見えていると期待したいです。

父のパフェグラスは長いタイプで桃が積み上がっていたので、どうやって食べたらいいのかと、悩ましい様子でした。「匙(さじ)で食べるとね?」と。私はパフェ用の細長ーいスプーンを渡します。
【桃とミルフィーユのパフェ】だったかな、それを頼んだ父ですが、「何ねパサパサしとる」とミルフィーユの部分を食べながら言っています。「うん、ミルフィーユってパイ生地だからそうなんよ、ミルフィーユ、それがミルフィーユなんよ」ミルフィーユ連呼の私です。これは覚えろ〜〜の呪文です。

桃のミルクパフェ
私のはオレンジのお花
父にもらった紫のお花も添えて


私は【桃のミルクパフェ】。桃美味しいなぁ。
父はとにかく食べるのが速い。それでもパフェの仕掛けにはひとつひとつ確認しているみたい。「チョコね?」「うん、チョコだよ手で食べても良いよ」

そんな会話をしながら食べ進めていて、ついに父は下層部へ到着した模様。「何ねこれは。せんべいが入っとる」「え?せんべい?」
もう……笑いが出てくるよ。
「コーンフレークじゃん」「そうね?」「そう。昔、朝それに牛乳かけて食べてたよ、覚えてない?」「そうね…」
父はグラスの底までスプーンでどんどんすくって口に運びます。
私は、せんべいがツボってしまい、ニヤニヤしながら、グラスの底の、父曰く【せんべい】を食べました。

車でもせんべいを思い出し笑いしながら帰宅しました。

父とご飯を食べたら、何だか和まされます。
さてと、次は中国料理にでも連れて行くかな。



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