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天彦産業はなぜいい会社になれたのか 〜統合組織開発の観点から④〜


阿部総理も視察した大阪の中小企業、天彦産業についての考察も4回目になりました。
今回は、職場づくりについて話します。

2回目の記事で同社のマインドについて、3回目の記事で同社のビジネスの強みについて書きました。

その中心となるのが、「実践十ヶ条」と「『価値の追求』天彦行動十訓」でした。
そして、その根本にある考えが理念であり3Hすなわち、「自らの幸せの追求・家族の幸せの追求・会社の幸せの追求」です。

当然ながら、職場づくりもこの3Hが根幹となり、その上に「実践十ヶ条」と、「家族優先・個人の幸せ重視」などの経営価値観ご土台となって、組織づくりの制度がつくられています。

組織づくりをするときに大切なのは、バランスとタイミングです。

バランスとは、規律、自立、挑戦、協力、やりがいなどの仕事力を高めていくためにすることと、働きやすさ、喜び、楽しみ、繋がりなどの健幸力を高めるためにすることをどちらかに偏らないようにすること。

タイミングとは、現状の組織状態に合わせて、今どのような取り組みを始めるべきかを見極めることです。

天彦産業は、このバランスがとてもよいために「いい会社」と呼ばれる成長を遂げたのだと思います。

それは当然ながら、『3H』が究極的なバランスのもとに作られているのが根底にあります。

主に、仕事力を高める取り組みとしてあげられるのが、
[月間ベスト社員][年間社員表彰][TM会][委員会制度][天彦CS通信]です。

[月間ベスト社員]は、その名のとおり、毎月最も良い仕事をした社員さんを選び表彰するものです。
[年間社員表彰]も、同様ですが、こちらは、様々な賞を設けて、その領域で毎年最も良い仕事をした社員さんを選び表彰します。

この表彰が仕事力を高める理由は、3点あります。

1つは、良い仕事をしたら表彰されるため、やりがいや誇りを感じてモチベーションが高まるから。

2つ目は、発表表彰することで、どのような仕事への取り組み方が良いのかという共通認識の基準が作られていくから。実は、表彰すること褒めることと、罰則を与えること叱ることは、ある一点において同等の効果を持ちます。それは基準を示し共通認識化するということです。

3つ目は、今回は表彰されなかった人たちが、次こそは表彰されるようにと挑戦心を持ち成長意欲を高めるから。この3つ目は、ただ単に仕事の成果だけで選び、いつも同じ人が表彰されるような制度だとこのような効果は起きません。自分なりの頑張りどころで努力をすれば報われるような多面的な表彰をすることによって実現します。


[TM会]とは、[トゥモロー・マネジメント会]の略称で、全社的な職場づくりについて話合う組織です。特徴的なのは、その構成メンバーで、全社員の投票で3名を選出し、2名は社長指名、そして社長を含めた計6名で話し合いをします。通常ならば、経営会議で話し合われるだろう内容を、同社ではTM会で扱います。

これは、就任当時の樋口友夫社長が、「僕一人で経営したら会社は潰れる。みんなでやってほしい。」という言葉通りの制度と言えます。

他にも、みんなでやっていくために、同社ではすべての社員が委員会に所属して、会社づくりをしていく仕組みがあります。

それについては次回伝えたいと思います。


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