踵(カカト)から着地して歩くから太くなるし痛くなる

「踵から着地して歩く」

今の世では常識である。

正しく歩く方法として
1. 膝を伸ばしたまま踵から着地する。
2. 大股で歩く。
3. 背すじを伸ばして歩く。
4. 腕を大きく振って歩く。
こんなところである。

ところが、最近ではマラソンの42.195㎞さえもカカトを付かずに走り切るフォアフット走法やミッドフット走法などが主流になってきている。

バスケット、サッカーなどなど、あらゆるスポーツで動きが激しくなるほど踵などついていない。ついているとしたら休んでいるか、三流以下の選手である。

歩くといえば、人間の移動の基本中の基本である。

なぜ、その基本では踵から着地させるのか不思議でならない。


動物を見ても踵を付く生物はいない。
例えば、犬や猫を見ても、後ろ脚の地面から少し上で「くの字」に後方に曲がっている部分が踵であるが、つくことはない。

踵を付くとしても、犬や猫ならお座り、カンガルーなどもエサを食べたりするとき、フラミンゴなどが休んでいるとき、などなど、移動しているときは絶対につかないのである。

人間は2本足で移動する不安定な特殊な性質であることを差し引いても、足元が不安定なところを歩くときにわざわざ踵から歩く人はいない。

つま先のみで歩いた方がバランスを保つことができる。

安定を求めれば求めるほど踵などついていられないのである。

それなのに、なぜ踵から着地して歩くことが正しい歩き方なのだろうか。

「謎である」




そもそも人間の移動とは、重心を移動することである。
歩くのであれば重心を前に移動させることが本質である。

人間の重心は身長の下から約55%のところにあるとされる。俗に言う腹部丹田あたりになり、ヘソの下約5㎝程度の高さである。

つまり、腹部丹田を効率よく前に移動させることが正しく歩くことになる。

ところが、今の常識で歩くと腹部丹田の移動を強力にストップさせる。
大股で膝を伸ばしたまま踵から着地すると、大股で前に足を出せば出すほど強力なブレーキがかかってストップする。

もしそのまま歩こうとするなら、着地と同時に膝を曲げ、後ろ足で地面を蹴って勢いの止まった体を必要以上の力で前に勧めなければならない。

筋肉を使うという考えでは理に適うかもしれないが、こんな風に地面を蹴り続けたら、1分もしないでふくらはぎはパンパンになるし、何か他のことに注意が行ったら地面を蹴ることを忘れている。

地面を蹴ることを忘れた瞬間、ガニ股にして体を左右に揺らすことで次の足を前に出し始める。

誤魔化しの歩き方の始まりである。


こんな風に、正しいといわれる歩き方をすると、継続できないか、無駄に筋肉を使いすぎて痛みなどのケガを発生させるきっかけになってしまうのである。

また、筋肉を使いすぎれば、初期段階では必ず筋肉が発達する。

筋肉が発達すれば太くなる。

膝を曲げて伸ばせば太もも。
地面を蹴ればふくらはぎ。
どんどんと太くなっていくのである。


ではどう歩けばよいのか。

腹部丹田を前に倒すことから始めればよいだけである。
足より先に重心が前に行けば、そのままでは体ごと倒れてしまう。

しかし、人間は必ず倒れないように一歩足を前に出す。

その繰り返しが歩行の源である。

倒れないようにするときの一歩を、一番効率よく2歩目に繋げるところで足をつけばよい歩き方になる。

その時に、上半身は地面から垂直を維持するようにして、それが崩れないところで足をつく。

足をつくとき、つく足の位置が重心の真下で付くようにすれば、腹部丹田の重心にブレーキがかかることなく前に行く。
そうすれば倒れないように次の2歩目を出さなければならなくなる。

それを繰り返せば歩行である。

ブレーキは一切かからない効率のよい歩行になる。

重心の真下で足をつくようにすると、膝は伸びている。
その伸びた脚が、重心が前に行くことで、斜めに傾いた棒のようになって後ろに残る。
松葉杖で移動するとき、体重が前に行くと杖が強力に押してくれる感覚になるのと同様に地面を押してくれる。

それは自分の体重が前に押す力に変わっただけである。

歩行も同様に、膝が伸びた棒になった脚を作り、重心を前に倒せば、自分の体重が地面を押す力に変わり、推進力としての筋力は不要になる。

骨が上手に使われると、無駄な筋肉が使われなくなって体はスリムになるのである。

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