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ビジネスマン必須スキル【ロジカルシンキング】を鍛える!

ビジネスの基本中の基本ながら、いまいち上手く活用できていない人も多い、ロジカルシンキング。日本語というロジカルシンキングに不向きな言語を使用している日本人が、どのようにすれば論理的に説得力を持って主張することができるようになるのか。論文、会議、報告書全てに活用できる基本スキルを解説する。

日本語はロジカルシンキングに向いていない

日本語はロジカルシンキングに向いていない言語だ。
日本語の言語の特性はハイコンテクスト文化を前提にしたものである。

コミュニケーション環境

(出典: https://btfcons.com/communication/2019/08/29/high-low-context/ )

日本語には動詞や目的語が主語によって変化しないことで、他者に同調しやすい、他者を慮りやすい利点がある一方で、だからこそロジカルシンキングに向いていない欠点も併せ持ってしまっている。
まず、日本語の会話は、ほとんどは主語を使わずに成り立っている。よって、文章だけ切り取っても、趣旨が曖昧になり意味が伝わらない。

これが英語ならどうだろうか。
例えば、「He is over.」だと意味が通じない。
そこで、「He looks like he is over twenty.」だと「彼は二十歳に見える。」という意味になり、「He is over excited now.」だと「彼は今気が立ってる。」という意味になるように、主語と目的語と補語によって前後の文脈をしっかりと明示する。

加えて、日本語では結論が後出しになるという特徴もある。
英語の場合、最初に主語、動詞と続くことで、私がどうしているのか、それがどうなっているのかということが文章の先にくる。つまり最初に結論が来る。
ところが、日本語だと結論が一番最後になってしまう。
「先週の日曜日、久しぶりに、遊園地に彼と行ったんだけど、すっごい並んでジェットコースターに乗って、ほんとに」っていう文章の後に、「楽しめた。」「楽しめなかった。」と全く逆の結論を繋げることができる。

さらに、日本語には接続詞や助詞がたくさんあり、無限に文章を冗長にすることができる。
「先週の納品なんですが、先方の業者の手配ミスがあって、こちらの想定していた在庫量に満たないものしかないんですが、今各支店の在庫を確認してもらっているところでして、2〜3店舗からの在庫を集めることができれば、来週の納期に間に合わせることができますので、ただ、どの店舗も在庫がカツカツで、クライアントの希望する量を確保するために、各支店長に連絡をとって、、、」
というように、無限に文章を長く繋げることができる。

こうした日本語の特徴は、ロジカルシンキングのように、結論を先に明示して、それを構造的に肉付けをしていく言語体系としてもともと向いていない。思い込みで指示が徹底されないことが起こるので、仕事上で明確に意図を伝えたいなど、ある主張を説得力を持って話したい場面だと困ってしまう。

その為、日本語の場合は知識として知っていても全く意味はなく、ロジカルシンキングを使えるように常に意識して努力しないと身に付かないのだ。

「考える技術、書く技術」

ロジカルシンキングを活用する上でお勧めしたい本がある。バーバラミントの「考える技術、書く技術」という本だ。
この本は、「伝わりやすい文章というのは、ピラミッドストラクチャーという構造化文章である。」と定義されていて、ロジカルシンキングの基本中の基本の考え方が整理されている。
ピラミッドストラクチャーとは、自分の伝えたいことを整理して、その主張に対して論理性があるかを確認するためのツールである。

ピラミッドストラクチャー

(出典: https://www.missiondrivenbrand.jp/entry/thinking_pyramidstructure )

典型的なモデルがこちらで、結論を頂点として、その根拠で構成されるピラミッド構造、この考え方で文章や会話を構成するという内容だ。
言いたい結論があったとして、それを説明するためにはなぜその結論が導き出されたのかを説明する根拠が必要があり、その内容に論理的な矛盾がなければ、正しく主張が伝わるというものだ。

このピラミッドを導き出す方法として、Why、So What手法がある。
ある結論があり、その結論が出された根拠を演繹的に導き出すためにWhy、と考えて、深掘りしていく。
反対に様々な根拠材料があって、そこから帰納的に結論を導き出すために、So What?、と考えることでピラミッドを構築するボトムアップ型アプローチもある。

M E C Eの重要性

では、ピラミッドストラクチャーを守っていればいいかというとそうではない。ここで重要になってくるのがM E C Eであるということと、ファクトドリブンであるということだ。

M E C Eは、こちらもバーバラミント発信の概念で【Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive】の頭文字をとったもので、「もれなくダブ
りなく。」という意味だ。
ピラミッドストラクチャーで構造化する時に、M E C Eでなければならないというルールがある。
ある結論を導き出すために思考の漏れや思考のダブりがあっては、結論が変わってしまう、もしくは説得力が失われてしまう。

例で考えてみよう。
民泊事業に参入すべきという主張に対して、
〇自社では現状の民泊に適した物件を管理しているから
〇コロナによって遠隔地やリゾート地の民泊需要が高まっているから
〇空室物件が稼働することで収益増加が期待できるから
以上の3つの根拠を提示した。
ではこれはM E C Eで導き出された根拠なのだろうか。

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一見すると論理の矛盾はなさそうだが、結論をいうとこれはM E C Eになっていない。
1番目の「自社では現状の民泊に適した物件を管理しているから」というのは自社のリソースのことである。
2番目の「コロナによって遠隔地やリゾート地の民泊需要が高まっているから」というのは市場環境のことである。
3番目の「空室物件が稼働することで収益増加が期待できるから」というのは自社の収益性のことである。
リソースと市場環境と収益性、全くレイヤーが異なる。

リソース、市場環境、あとはコンペティター、つまり競争相手という考え方の軸が必要だ。
いくら市場環境が良くて、自社が商材を持っていたとしても、他社が数多く
参入していれば、収益増加の可能性は低くなる。
一方で収益性を考えるのであれば、コストを対立軸に持ってきて、人件費や備品、清掃業務、管理業務などを考慮することが必要となる。

よって、正しいピラミッド構造はこうなる。

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3C でピラミッドを作った場合と、P Lでピラミッドを作った場合、全く異なる根拠が導き出される。
最初のピラミッドを持って、会議に挑んだ場合、これは論理的に検証されていない説得力のないピラミッドだということである。
形上、ロジカルシンキングのようであっても、本質を抑えていないと全く意味がないということがお分かりいただけたと思う。

M E C Eのフレームワーク


M E C Eに物事をとらえるためには、抽象化だったりカテゴライズだったりする必要があり、そうしたことが苦手だという人もいる。
そのために使えるのが、M E C Eの最も典型的パターンである、いわゆるフレームワークというものだ。

スライド1 (1)

フレームワークはM E C Eそのものである。
単にかっこつけてフレームワークを使っているのではなく、思考の漏れやダブりを排除するために有効なので重宝されているのがフレームワークだ。
ピラミッド構造にフレームワークによってM E C Eを担保するからこそ、論理的に検証された文章だったり、話し方だったりができる。

ファクトドリブンの重要性

最後に重要なのがファクトドリブンという姿勢だ。
正しい情報を前提にしないと間違った結論しか導き出せない為、これはロジカルシンキングの大前提となる姿勢である。

「学而不思則罔 思而不学則殆」これは中学の時に習った論語の孔子の言葉だ。
知識や情報だけあっても正しく考えなければそれは生かされないし、いくら思考を積み重ねても、知識や情報がなければ賢明な判断ができないという意味である。
今から2500年以上前の先人がファクトドリブンの考え方を強調し、フランシスベーコンによって帰納法が、デカルトによって演繹法が確立されたことで、ロジカルシンキングのベースができ、それを広くビジネスのマーケットに展開したきっかけがバーバラミントだったのだ。

最後に

さて、今回は基礎中の基礎ながらきちんとできている人が多くないロジカルシンキングについて解説した。

今回の内容をより深く知りたい方、特に、報告書や論文や記事などを作成する際、また自分の主張をきちんと説得力を持って伝えたいという方はぜひバーバラミントの「考える技術、書く技術」を読まれることをお勧めする。

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