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元外資系コンサルタントによる実践的フレームワーク思考

はじめに

今回はビジネスの基本であるロジカルシンキングの応用編、フレームワーク思考についての内容である。論理的に分析を行うために便利なフレームワークをより実践的、効果的に活用するための思考方法について元外資系コンサルタントが初学者にもわかりやすく解説する。
※ロジカルシンキングの記事を見ていない方はこの記事の前に、ぜひそちらからチェックして頂きたい。そうすれば本記事の内容がより一層深く理解できるはずだ。

様々なフレームワーク

M E C Eとは【漏れなくダブりなく】というロジカルシンキングの基本中の基本の概念である。
フレームワークとはM E C Eそのものだ。

例えば、Customer、Competitor、Companyの三つの頭文字をまとめた3Cのフレームワークは、見事にM E C Eになっている。「自社」「市場環境」「顧客」と、漏れなくダブりがない。 

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経営学の第一人者マイケルポーターが考えたフレームワーク、5Forceは「供給企業の交渉力」「買い手の交渉力」「競争企業間の敵対関係」と3つの内的側面と、同じく「競争企業間の敵対関係」を軸に、「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」と外的側面を整理して、合計5つの要因から業界分析を行うものである。

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内的要因と外的要因という大きな括りでまずMECEであり、内的側面ではサプライヤー、バイヤー、コンペティターとM E C Eな分け方、外的側面も今の競争環境に加えて新規参入と代替品という切り口でM E C Eに整理されている。

フレームワークとは頭の良い先人が考えたM E C E構造そのものであり、そのフレームワークを知っているだけで、論理的に破綻のない切り口で誰でもが状況を整理できるとても便利なツールだ。
フレームワークはそのほかにも4Pや7S、P E S TやV R I Oなどが存在する。
それぞれの特性を知って、最適なフレームワークを選ぶことが状況整理のまず大前提になるが、フレームワークは単体で使うだけだと、本領は発揮できない。

フレームワークを組み合わせる

フレームワークは組み合わせて使うことで、より論理的に、より効率的に分析することができるようになっている。
3Cと4Pを組み合わせて分析してみよう。縦軸を3C、横軸を4Pで取ってみる。
4PはProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)の頭文字でマーケティングミックスのフレームワークである。
3Cを基本軸に、4Pの観点での競争環境を整理する。

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例えば、顧客が売り手を想定した場合に、高く売り抜けたいというのは前提としてあるものの、後々のクレームなどが面倒なので、できるだけ丁寧なアフターケアや接客を求めているという顧客に対しては、自社は沿線ブランドによって地域に根差した丁寧な接客やサポートができるというのが強みになると明確になる。
反対に手数料は安ければ安い方がいい、できるだけ簡単に売却したいという顧客層に対しては自社の強みを打ち出すことができていないというように、縦軸だけM E C Eではなく横軸もM E C Eで分析することで、考えの抜け漏れを防ぎ、自社にとっての強み弱みを明らかにすることができる。

当然この横軸は4Pでなく5Forceでも良いが、5Forceはどちらかというと3Cの
競合環境を整理するために使った方が効果的である。
反対に3CのCompany自社の分析の前提になるのがV R I Oフレームワークだ。

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V R I OはJ Bバーニーが考えた自社の経営リソースの強みのレベルを整理するためのもので、経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)の4つの段階で、自社の経営資源(人・モノ・資金・情報・組織)について、市場での競争優位性を把握するために用いる。
経済価値があり、希少で、真似され辛く、活用できる組織になっている状態が競争優位ということで、経営資源や商品の強さ、弱さを明らかにする。

さて、なぜフレームワークを単体で使ったらダメなのかというと、自社にとって強みと思っていたことが実は強みでなかったり、他社の弱みだと思っていたものが実は最近状況が変わってきて、もはや弱みと言えなくなっているなど、より精緻に分析できるからである。

3Cの顧客をどのように設定するかを導き出すために、ターゲット顧客を明確化するためのペルソナを作ると、その結果3Cで分析された自社の強みと弱みがS W O T分析のベースになる。
S W O Tとは「強さ、弱さ、機会、脅威」という分析フレームワークで、こちらもM E C Eになっている。

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次に強さ弱さを3C、4Pにて明らかにした場合、機会と脅威をどのように導き出すかというのがP E S T分析である。
P E S TとはPolitics、Economy、Society、Technologyの頭文字を取ったもので、自社を取り巻くマクロの環境要因に注目し、外部環境を整理するためのフレームワークである。

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「政治的要因、経済的要因、社会的要因、技術的要因」というM E  C E構造で、市場の変化や自社に対する影響などを見出すためのものだ。

フレームワークの構造図

これまでの説明で分かって頂けたと思うが、フレームワークとは組み合わせて精緻にしていくことでファクトを整理することができる構造になっている。

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P E S Tと3Cで明らかになったS W O Tだが、S W O Tとはいわゆる状況整理なので、そこからクロスS W O Tを作って、どこからどうやって攻めていくかを考えていくという順番になる。

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強みと機会を組み合わせると積極化施策、つまり自社の強みをより発展させていくという施策になり、強みと脅威のマトリックスでは、どのように自
社の強みを生かしていくかという差別化施策が必要となってくる。
反対に弱みと機会のマトリックスではどうやって機会を捉えて、弱みを武器に変えていくか、もしくはそのジャンルに踏み込まないのかという段階的施策が検討され、弱みと脅威であれば、守りの分野なので、専守防衛か撤退を検討していくという施策が必要となってくる。
この段階で初めて施策レベルの軽重が比較されるようになる為、経営判断としてどのリソースをどの施策に振り分けていくのかという決断ができる段階になっていく。

自社の強みを徹底的に活かすことで、打ち手を明確にするのがポーターの3つの戦略やS T P分析である。

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このようにフレームワークとは複数組み合わせて使う事が正しい使い方である。
他にもフレームワークというのは数多くあり、今日説明しているのはその基本的なところだけだ。
大事なのはどのフレームワークを何の目的で使うのか、によって組み合わせ方が異なるということである。

最後に

世の中には頭の良い人が考えてくれた様々なフレームワークがあり、それを使うことで、きちんと論理的に思考ができるというのがフレームワーク思考である。
フレームワーク思考は新規事業を考える際や、自社の戦略を考えるだけでなく、ビジネスをきちんと体系立てて論理的に捉えられる便利なツールの為、ぜひ正しい使い方で活用して頂きたい。

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