徹底解説!ダニエルズ理論 走力を高める4つのトレーニング
こんにちは、トレーナーの山下です。
今回はダニエルズ理論の中でも一番の核となるトレーニングの種類について解説をしていきます。
この記事だけを読んでいただいても
理解できるようにはなっていますが、
今までのシリーズも読んで頂ければ、
より深くダニエルズ理論について
理解できると思いますので、
ぜひ今までの分もお読みください!
『ダニエルズ理論でトライアスリートがトレーニングしてみた!』
4種類のトレーニング
ランニングの強度によってトレーニングのタイプが分類されています。実はダニエルズの本の中では5種類に分類されているのですが、実際にトレーニングをしてみてEペースとMペースは分類する必要が感じられなかったので、ここではEペース(Mペースも含む)として話を進めます。
では実際、どのような分類になっているかというと、
Eペース、Tペース、Iペース、Rペースの四つに分類しています。
それぞれを簡単に説明をしていくと、
Eペース(Easyペース)
強度 最大酸素摂取量の59~83%
継続時間 30~150分
効果 毛細血管網の発達
Tペース(Thresholdペース、閾値ペース)
強度 83~88%
継続時間 5~20分
効果 持久力強化
Iペース(Intervalペース)
強度 95~100%
継続時間 2~5分
効果 酸素摂取能力の向上
Rペース(Repetitionペース)
強度 105~120%
継続時間 2分以内
効果 スピード向上
となります。
ここからは各トレーニングについて解説をしていきたいと思います。
Eペースランニング
Easyと名の付く通り、身体的にも精神的にも負荷が低い練習です。ランニングを始めたばかりの人、故障明けの人もしくは大会直後のリカバリーにうってつけの練習となります。
このEペースでのランニングは負荷が低いのですが、実はトレーニング効果はかなり大きいです。例えば心臓の筋肉を発達させる効果。心臓は全身に血液を送る器官で、生活にもスポーツにも大事なものです。心臓が収縮することで血液が送り出され、私たちの身体は動いています。つまり心臓の収縮力が重要になってきます。そして、その収縮力が最大になるのが最大心拍数の60%付近の時と言われています。最大心拍数の60%というのは運動強度で言うと5~6割くらい、おおよそEペースでのランニング強度にあたります。つまり、Eペースでのランニングをすることで、きつい運動をしている自覚がなくても心臓が最大限に働かせることが出来るのです。
また、Eペースで走ることで身体中の毛細血管網の新生を促すことも知られています。これは、長時間の有酸素運動をすることで筋肉に多くの酸素を送る必要性が増え、それに伴って毛細血管が新生されるからです。これは刺激を与える時間が長いほど効果が大きくなります。強度の高いトレーニングでは長時間にわたって刺激を与え続けることが難しくなるので、Eペースでのランニングは毛細血管の発達には最適なのです。
では、具体的に練習内容について考えます。
ダニエルズの本より引用すると、
Eランニングを行う場合は最低30分間続けるとよいだろう。
同時に最大限は150分間にしたい。
とあります。
Eペースは負荷が低いのである程度まとまった時間で走らないと効果が薄いです。例えばEペースで5分間走っただけではトレーニング効果はほとんどないと言えます。なので、最低30分間は走りましょうということが書かれています。
また、いかに負荷が低いとは言ってもやりすぎは良くないとうことも書かれています。その目安が一回の練習時間の上限を150分もしくは週間走行距離の25%以内の短い方にするというものです。例えば、週に80km走る人ならば一回の練習で走れるのは 80×0.25=20Km もしくは150分の短い方となります。
以上をまとめると、Eペースで走ることで心臓の強化、毛細血管網の新生が促進され、ケガに強い身体を作ることが出来ます。実際、エリートランナーも総距離の7割、多い人では8割くらいをEランニングで走っています。ランナーとしての土台を作る部分ですので、おろそかにせず練習に取り入れていきましょう。
Tペースランニング
Thresholdペース、日本語で言うと閾値(いきち、しきいち)ペースです。
ちょっと話は反れますが「閾値」の読み方は生物学や心理学では「いきち」と読み、工学系では「しきいち」と読みます。ぜひお好きな方でお読みください。ちなみに自分は「しきいち」派です。
まず「閾値」の説明からしていきます。辞書で意味を調べると変化が起きる境目の数値となっています。これを踏まえてランニングにおける閾値とは何かを考えていきます。
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