砂浜にカブトガニ

梅雨も明けた７月の最終日、久しぶりにいい天気になったので、海岸で日光浴でもと、自転車で２０分ほどのところにある砂浜まで行ってみました。

「それにしても今年の梅雨は長かったな～。７月はほとんど雨だったんじゃないか？　ん？というか梅雨って６月じゃなかった？」

なんか季節が１ヶ月ずれてる気がしますね。そういえば、３月は春なのに寒くてギリギリまでコート来てたし。もしかして暦と季節が１ヶ月ズレ始めたのかな？

さて、暑いけど風が吹いていて気持ちの良い砂浜を散歩してたら、何やら波打ち際を漂う物体を見つけました。生き物？

ゆらゆら動くそのフォルムは、なんとなく「エイなのかな？」と近寄ってよく見たら、なんとビックリ！

カブトガニ！

生きてる化石とはよく言ったもので、２億年前と同じ姿で棲息しているその姿には感動すらおぼえます。私自身、生きてるカブトガニは初めてだったので、これは珍しいと動画も撮影してみました。

（一番最後にURLを貼り付けています）

絶滅危惧種

レッドリストに選定されている絶滅危惧種のため、触らないように気を付けながら、じっくり観察してみました。

その場でスマホでググって生態を調べたところ、ここ福岡では干潟を中心に棲息していることがわかり、干潟ではないにしても、地域的にはこの辺に居ても不思議ではないことがわかりました。

一般的に瀬戸内海で棲息している印象が強いカブトガニですが、山口県や佐賀県、ここ福岡県にも棲息しているようです。

あとで妻に報告したら、「昔は干潟でよく捕まえたもんだ」と言っていたので、地元の人にとっては珍しくない生き物なんですね。

よく見たら甲羅に「Ｆ-３７１３」という識別番号のようなタグが貼ってあり、もしかして生態調査でもしているのかな？と再度ググってみたところ、福岡市環境局が生息数と棲息範囲を調査するための印であることがわかりました。１０年ほど前から成体と亜成体の捕獲個体数の経年変化を調べてるみたいです。

地元の漁師さんや市民の皆さんの協力を仰ぎ、絶滅危惧種保護の一環のようですね。

そんなカブトガニですが、本来干潟に居るはずなのに、このような砂浜に流れ着いてしまい、随分と弱っている感じでした。波に身体をもてあそばれ、波打ち際で行ったり来たりする姿は、どことなくモノ哀しく見えました。天敵であるカモメなんぞに襲われなければ良いのですが。

そしてついに、強い波に身体を反転させられ、仰向けになってしまったカブトガニ。

分類でいったら、カニというよりクモの仲間ということで、甲羅の裏側はまさにクモやヤドカリのようなフォルムをしていました。そういえば、生まれたてのエイリアンもこんな形してたな～。

これも調べてわかったことですが、甲羅の中央が尖っている点と、前から２番目の脚の先がハサミ状ではなく鈎状になっているのは、オスの特徴とのことなので、まさにこのカブトガニはオスであることが判明しました。

カブトガニの雌雄を見分ける知識が身に付いたことで、今後の私の人生に何か得なことがあるかというと、せいぜい誰かと一緒にクイズ番組を観ているとき、たまたまそういう出題があって、それを答えることができて鼻高々となるくらいですね。そしてその場面に出くわす確率こそ、２億分の１くらいでしょう。カブトガニだけに。

裏返しになったカブトガニに後ろ髪を引かれながら、一旦はその場を立ち去ったものの、気になってもう一度見に来たところ、見事に仰向けから立ち直っていました。さすが２億年続いた生命力！そんじょそこらの亀とは違うようです。

再び観察してみたところ、なんと立ち泳ぎをする姿を目撃！

「雄なのに海女さんかよ！」

とツッコミたいところでしたが、無駄に体力を消耗しないその泳法は、２億円前の古代から引き継がれたものなのかと思うと、悠久の歴史の重みを感じてしまいます。

（そんなわけない。たまたまでしょ。）

これ以上の観察は、カブトガニの生態系を崩してしまう可能性もあるため、撮影もほどほどにお別れをしました。

もしもカブトガニとの出会いが、子どもたちが棒とかで突いているシチュエーションで、それを私が「こらこらキミたち、この生き物は絶滅危惧種だからいじめちゃダメだよ。」と言ってカブトガニを助けたのなら、カブトガニは御礼として龍宮城に連れて行ってくれたのだろうか？

カブトガニが連れて行ってくれる龍宮城にはとても興味があるけれど、戻って来たら２億才歳をとるかと思うと、それはそれで恐怖です。おじいさんになるどころか、化石として発見されることでしょう。（オチです）

化石になる前に、「そもそも龍宮城はコロナで休業してるだろ！」という辛辣なツッコミは無しでお願いします。

カブトガニの動画はこちら　https://youtu.be/18nkjX8qMTo