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【詩】「水平線はるか」

向こうに 向こうに 島が見えるでしょ

お前がいう先を おれは見る

島? どれだ どれ?

水平線の向こう――かすかに雲の影か島影らしきものがある

あれか?
もう一度目を凝らす
確かに あれが島だ!

青ヶ島ですよ あれが
お前は得意げにいう
この島の南70キロです
人口はわずか170人…
日本最少人口の「村」なんですよ
あの島って 鬼が島のモデルっていう話もあるんです

ほぉ そうなのか
鬼が住むってか ははは
青ヶ島っていうくらいだから
青鬼ばっかりか
赤鬼はいじめれてるってか

ははは
お前も笑う

いや
きっと 青と赤が入り混じって仲よくしてるよ
右も鬼 左も鬼なら
そこにはもう
「鬼」なんていないんだよ

ふ~ん
お前は意味がわからなさそうな顔をする

人の中に ぽつりぽつりといるからこそ
それが 鬼なんだ

鬼がいるという島には
きっと 鬼はいない――

遠くに霞むその島に
きっと行くことはないだろうが

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