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【創作教室提出詩】「おくりさき」

魚は笑わない
おれは 生簀の中に餌を放り込む

バシャバシャと音を立て 群がる魚ども

肥え太らせて 送り込む先は
人の腹の中

行き先は最初から決まっている

犬猫牛豚馬は 笑うかもしらんが

魚は笑わない

ほとんどに瞼はなく
目を瞑ることもない
目を開けたまま
おくられてゆくのだ

生簀の管理人であるおれも
いずれ 同じ道をたどる

そう思いながら
笑わぬ魚どもを
冷笑する

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