「お買い忘れはありませんか」
ウィーンと開いた自動ドア
サッと真っ赤なレジカゴを手に
スーパーの中に入った
その途端 何を買いに来たのか?
と
記憶が飛んだ
何を買いに来たんだっけ…
店の中を見回した
野菜、果物が左手に並ぶ
いつも買うものではない
そのまま通路を進む
何を 何を買いに来た?
右手に納豆が並ぶ
そう 納豆 これは買う
あとは あとは何を?
思い出せ 思い出せ
いや 焦ることはない
いつも買うもの 必要なものはだいたい決まっている
青物 肉 魚――生鮮品を買うことは 女房に頼まれない限りはない
毎日僕しか飲み食いしないものしか買わない
ヨーグルト
それを買いに来たんじゃないか
納豆の先 同じ発酵食品、要冷蔵だもの 忘れるわけがない
あとは…何、なんだっけ
焦るな この店の中に すべてがある あるものしか買いに来ていない 絶対にあるものだ
この店の商品の配置は すべてわかっている
毎度なじみのSEIYUだ
歩いて行くうちに思い出す
買わないといけないのは…
そう なくなりかけていたもの…
何 なんだっけ
グラノーラ グラノーラだ
もうなくなりかけていた
そう ビールも買っておきたい
瓶だ ガラス瓶に入った633ml 大人の義務教育だ あれも2本は買っておこう
あとは あとは…
ヨーグルト 納豆 ビールにグラノーラ…
これでOK? OK!
とりあえず いいや
お会計はセルフレジ
アルコールの年齢確認だ
早く来てよ店員さん
ピッピッ
と
エコバッグに入れて
カードで支払い
袋に入れて…
ウィーン
と
開いた自動ドアを出て地下鉄乗り場に向かう
ピッ
と改札を通ったとき
洗顔ソープを買い忘れたぁ~
と
思い出した
仕方ない あしたはボディソープで顔を洗っちゃおう
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