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■世間の人が考える「詩」って

「文学」と「作家」への道(23)
「詩人の独り言」改


◇僕はポエマーだった…か

時々男女5人が集まり、飲み会を行う。
最年長は62歳の僕、55歳のハロワ勤務(非正規)女性、54歳のパート女性、医療人材アウトソーシング会社営業職の男性51歳、そして運送会社の人事担当47歳女性…というメンツだ。共通点は、キャリアコンサルタントの資格取得のために同じ学校に半年通ったということ。全員その資格を持つ。

会うたびに近況報告、自己開示を行うが、僕は前から「詩を書いている」と話していた。
とはいえ、誰もが石垣りんや茨木のり子、ましてや田村隆一の名を知らず。文学史で聞いただろう中原中也や朔太郎の名前も、あったかな?…という程度で、谷川俊太郎も同様。

そんな人たちに、詩について語っても興味を持ってもらえないし、僕の詩を読みたい、などとも言わない。
まあ、僕も自分が2020年秋に詩に興味を持つまでは、そんなもんだったから、それが世間の詩に対する一般的な意識だろう。
決して、彼らが文芸や芸術に極端に疎いというわけでもない。

だから、語るつもりはないのだが、先日あった飲み会の席で、54歳パート女性に「〇〇さん(本名)はポエマーだから…」と言われた。
違う違う、「それを言うならポエットだよ。詩はポエム、詩人はポエット!」と言い返した。

しかし、「ポエマー」という言葉は実際にあるんだ、と彼女は言った。

えー!? どういうこと?

彼女は「聞いていて恥ずかしくなるような詩的な表現を頻繁に使用する人を意味する語。英語で詩人を意味する単語は「poet」であるため、ポエマー「poemer」は和製英語である――」というネット上の定義を読みあげた。
うーん、なるほど。言い得てはいる。
3年にも満たない詩作歴の僕が、そこで詩とは――と語れるはずもなく、黙り込み、とくにその場で会話も広がらなかった。

別のサイト(ヤフー知恵袋)では、『「自称詩人」や「ロマンチスト」、「詩的なことを考える人」を茶化して呼ぶケースの方が多い』と書かれていた。
詩を書く人に対してではなく、そういう雰囲気を持つ人を揶揄する言葉のようだが、実際に詩を書く人間も結局はポエマーというのが、世間サマの味方か。そういうことである。
僕を含めて、詩を読む、書く人間はみな、ポエマーなのだ。

そう言い募る人は、詩を読むこともなく、詩(ポエム)が醸し出す雰囲気になじめないから、「ポエマー」という言葉を言い当てているのだろう。
詩に興味を持つ人が少なく、詩人も注目されない今の日本では当然か。

何をどう書いたところで、影響力のない詩人たち。ポエマーと呼ばれることを自覚しないといけない気がする。

ただ、もちろん――自分が書いている「詩」によって、僕自身がポエマーにされてしまうのには、当然反発するが。

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