【歴史詩】「日本の戦後」
下山国鉄総裁追悼碑――
足立区の常磐線高架下にある
75年前 1949年7月に起きた
戦後トップクラスの未解決事件
それを伝える遺物だ
先月末 事件の新資料発見
とNHKスペシャルの放送があった
平日の昼過ぎ
ぼくはその場に立った
「事件」があったのは この近くだが
碑そのものは過去2度移転したという
地下鉄綾瀬駅 東武線小菅駅
その中間あたり
巨大な東京拘置所の建物や
公務員の官署のほかは
狭小住宅が立ち並ぶ
人気というものが ない
ぼくは瞑目した
そして 思う
今も ずっと日本は敗戦国である
と
ずっとずっと負けて支配され続ける国なのだ
下山総裁のひとつの死の向こうに
何十万何百万の 奪われた命がある
戦争にかかわった者たちには
人ひとりの死を奪うことなど
何のためらいもなかったろう
今も歴史は動き続けるが
彼の国とわが国との関係性は
ずっとそのままに 固定されている
だがしかし
もう一度やって 勝つことなどあり得ない
ここは われら日本人
これまでも これからも
頭と身を低くし
吹きすさぶ風を
やりすごす――
それしかない
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