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「違う景色」

同じ箱の中で蠢く
同じ生きものなのに
ぼくと 違う景色を
連中は見てきた――
あの連中
あの奴ら
どこで どうやって
違う景色を見たというのか

ぼくが
ぼうっと
生きている間に
連中
奴ら
箱を飛び出し
外の空気を吸い
外の景色を見て
また箱の中に戻り

奴ら
階段を昇っていった

箱の中に
何百何千という
虫けら連中がいて
一匹二匹
せいぜい十数匹の中に入り
違う景色を見ているんだと
連中
奴ら
――とは違う
ぼくは

しまった

思ったときもあるけれど
もう
どうでもよいのだ

あいつら
連中
奴らに
ごくろうさん ごくろうさん
ごくろうさんなことで

連中のことを
冷ややかに見てる
ぼくには
そんなことしかできないんで

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