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■オリンピックは事実上の中止

マスコミへの道(30)
新聞、放送、出版…マスコミ志望の方々へ


15日、自民党の二階幹事長が五輪開催中止を容認する発言を行い、永田町、マスコミ界が揺れた。
自民・二階幹事長 コロナの感染広がれば五輪中止も選択肢

しかし、その後にご本人は、釈明し、あれは本意ではなかった…などと修正、火消しに動いた。
自民・二階氏、“五輪中止”発言を釈明「何が何でも開催は違う」

翌日16日付の朝刊各紙を見ると、毎日が第三社会面で一報を受ける形で大きく展開したほかは、1面のインデックスにこのニュースを取り上げたものの、それほど大きな扱いをしない新聞がほとんどだった。産経などは2面の一番下に、地味に、丁寧に紙面を見ないとわからない…一番新聞として載せたくない記事を「一応報じています」という格好で載せていた。
ことほど左様に、オリンピックの開催中止は、各紙各社にとっては営業的にも期待の綱でもあり、中止は困るわけである。
読売、朝日、日経、毎日の4新聞社は年間十数億円ほどの金を払って国内に限定される五輪関連の意匠の使用などの許諾「オフィシャルパートナー」を得ている。産経は、北海道新聞とともに、それより下の「オフィシャルサポーター」だ。たぶん拠出金はケタが違うだろう…。
その産経ですら、二階・政権に忖度したような書き方で五輪中止を避けたいわけだ。

しかし、この手の政治家の発言というのは大昔からあるわけで…。
一種の「観測気球」である。
僕がかつて政治部記者だったころ。当時の総理とのやり取り(いわゆる番記者とのぶら下がり)の中で、「幹事長の日米通商問題についての発言はどう思われますか」みたいな質問に、総理は「キミ、あれはバロンデッセだね」と答えた。
総理とのやり取りは歩きながらがほとんどなので、それはどういう意味ですか…などと聞くことは普通できない。
金魚のフンのように取り巻く番記者同士でその発言の中身をすり合わせる、メモ合わせをやるのだ。
若手の記者が「バロンデッセって何?」と聞くと、支局で10年くらいのキャリアをへてようやく東京の政治部記者になった(だいたい共同かNHK)人が、「観測気球のことっ!」、とそんなことも知らんのか、という顔で言われたものだ。

政治家に限らないが、こういうやり取りはあらゆる業界、業種であることだろう。ただ、権力の中心にある政界、永田町の人間が言うことをどう受け取り、どう伝えるか…。安易にそれに乗るか、距離をとりながら、次のニュースに対応するか。
各記者、媒体の姿勢があらわれる瞬間である。


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