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医師にとってのはたらく

まる福を開いて3年になる2022年の夏は一番働いた季節になりました。それというのも、新型コロナウイルス第7波が猛威をふるい、全く衰えを見せずに感染を拡大し続けているからです。

医師であるぼくにとってのはたらくは、患者さんからの依頼によって決まります。熱がありますので見てくださいという電話があったときから仕事の準備が始まり、診察をして処方をしてといった一連のことが終わったときに仕事の終わりが来ます。

いまの日本ではどんどん発熱なりなんなりの症状がある方が増えていて、みんなお医者さんにかかろうとして医療機関は混み混みの状態です。どこの小児科クリニックもたくさんの自転車が並んでいて、子供を連れてきた親御さんがいっぱいなんだなと思います。

そんなに患者さんが来てさぞかし儲かっているでしょう、いいですねお医者さんは!なんてことがSNSで言ってしまう人がいるのですが、儲かるも何もクタクタでそれどころではないと思います。大体、ちゃんとした医療関係者ならば、休みはほとんどないはずで、遊び呆けているようなことはありません(そういう人がいるとしたらそれは医者ではないと思います)。

朝9時から夜5時ぐらいまでの定時を働いたとしても、その後に新型コロナ患者の健康観察に費やす時間もあったり、夜間休日も問い合わせの電話を待っていたり、常に患者さんの対応に追われていることになり、つまり、医者にとってのはたらくは生きることそのものに違いありません。

まあ、それも好きでやっているんでしょということではあるのですが、それにしてもこの世界的日常的流行には本当に嫌気がさしてきますね。じゃあ何で続けられるかって思うのですが、本当になんででしょう。他のお仕事も同じと思いますので医者が特別というわけでもないでしょうが、やっぱりクライアント(患者)さんに喜んでもらえることなのかもしれません。

まる福の場合は基本往診(訪問診療)を中心に回しているので、外来は週2日だけ。それでも発熱外来は行っていますし、コロナワクチンも打てるようにしています。3年間で入れ替わりはありますが、小さい赤ちゃんが生まれてすぐの予防接種からかかりはじめて、熱が出たりしたら受診、お母さんが風邪をひいたら相談に来て、だんだんと顔馴染みになっていくことが増えていて、なかには散歩の途中にまる福に寄って本を借りていくとか、普通のクリニックではなさそうな流れもあります。

私がやっている家庭医というのは、多分ちょっと患者さんのことをよく知りたい願望が強いようなので、病気のことだけではなく、その人となりまで知った上でいろいろと関わっていくことが多い職種です。まる福だと、ちょっと保育園で熱が出たので帰りにみてもらえませんかといった電話がよく来ていて、ああなんとかさん、また熱だね、と近所の顔見知り的なかかわりができることが楽しみであり嬉しい日常になっています。それもこれもキャパシティ以上の数の患者数ではできないことかもしれませんが。

昨晩もクッタクタになって帰り道を歩いていたら、近所のお店の方が声をかけてくださって晩ごはん用のおいしいお魚を分けていただきました。少し仕事が立て込んでいてもうしんどいなあと思っていたところだったので、救う神っているんだなと本気で思いました。頑張っているといいこともあるんですね。


ということでいつも以上にほぼ愚痴のような文章になりましたが、医者の弱音もたまには許していただければ。たのしく仕事をしたいと思っていても、こんな最中ではそうもいかない、でもなんとかやっていく、そういう気持ちの夏の終わりです。

では〜。


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