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夏のおわりに観たいごはん映画|『とらわれて夏』

夏に観たいごはん映画を考えながら買い物をしていたとき、スーパーに並ぶ桃を見て、頭に浮かんだ作品が『とらわれて夏』でした。

ストーリーは、
9月はじめのレイバー・デイ(労働者の日)を週末にひかえたある日、アメリカ東部の小さな町で暮らすシングルマザーのアデルと13歳の息子ヘンリーは、偶然出会った脱獄犯のフランクに強要され、自宅に匿うことになる。危害は加えないと約束したフランクは、アデルの家事を手伝い、ヘンリーには野球を教えて過ごし、ヘンリーはそんなフランクを次第に父のように慕うようになるが……。(映画.comより引用)

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『JUNO ジュノ』『マイレージ、マイライフ』『ヤング≒アダルト』など、発表する作品が全て面白いと、個人的に絶大な信頼を置いているジェイソン・ライトマン監督作品。新作はお父さんであるアイヴァン・ライトマンが監督した『ゴーストバスターズ』の続編『ゴーストバスターズ/アフターライフ』が控えています。

主演はケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン。二人ともとても好きな俳優さんです。

公開当時に日比谷シャンテで鑑賞し、自分でもびっくりするくらい泣いてしまった思い出深い作品です。
偶然出会った脱獄犯のフランクに、徐々に心を開いていく親子。野球を教え、家の修理をするフランク。父親のように慕っていく姿は、セリフはなくとも眼差しで分かる。

この映画、息子の視点で描いていくのが面白いです。
字幕では「ママ」となっているけれど、最初にお母さんのことを「her」と呼ぶんですよね。これで少年が、頑張ったけど、どうしてもなることのできなかった夫・父親の存在が大きくなってくる気がする。こういう疑似家族ものの作品は、どうしても胸が熱くなってしまいます。

▼▼『とらわれて夏』に登場するごはん▼▼

この映画に出てくるごはんは、ピーチパイ。
隣人からいただいた熟れすぎた桃で、ピーチパイを作るというシーンがあるのですが、料理の共同作業ほど、団結するものもないんじゃないかと思うほど、この3人を決定的に強く結びつけた瞬間に思えました。

琺瑯のマグカップで粉を量るような、無骨さも素敵…!
特にレシピも見ずに、粉や砂糖も手で測って入れるラフさだけど、「パイ生地にタピオカ粉を振るとパリッと焼きあがる」というこだわりのセリフも。

パイにはフォークでイニシャルをつけるひと手間も大事。
(下の画像はこちらの記事より)

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パイ生地はサクサクして、中身の桃はトロッと加熱されて、画面から甘い香りが漂ってくるような…本当に美味しそう!

劇中でパイの感想は喋らないのですが、パイを食べながらくつろぐ時間と、ラストの後日談で、どれだけ美味しいものなのか想像ができます。

本作の原作はジョイス・メイナードの「Labor Day」という作品。
原作のパイを正確に再現したのは、「マーサ・スチュワート・リビング」の元編集者だった、フードスタイリストのスーザン・スパイゲンという方だそう。英語ですがレシピがあったのでリンクを貼ります。

前半には、フランクが作るチリビーンズも登場しました。こちらも無骨ながらも手際がよく、きっと味も美味しんだろうなと思わせる料理でした。隠し味にコーヒーを入れているのが印象的でした。
(メモ:ひき肉、玉ねぎ、レッドビーンズ、トマト缶、隠し味にコーヒー)

フランクが朝ごはんに作ったと思われる、スコーンのようなものも美味しそうだったな。ケイト演じるアデルが一口食べて目を見開くの!(美味しすぎてね)

原題の「Labor Day」は、9月はじめのレイバー・デイ(労働者の日)のこと。まだ夏の暑さが残るけど、秋の気配を感じはじめる9月には、『とらわれて夏』を観ながらピーチパイ(またはチリビーンズ)を作りたいです。

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