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タコスが食べたくなる本と映画

映画研究者の三浦哲哉さん著 「 LAフード・ダイアリー」を読んでいます。2019年4月から2020年3月までの1年間、LAで過ごした筆者が食を通じて、体験的都市論を記載している、非常におもしろいエッセイです。

この本の中で、筆者がLA(アメリカ)におけるメキシコ料理の存在を体験するため、ゲリラ・タコス(Guerrilla Tacos)という店へ足を運ぶ章があります。三浦さんの描き方も相まって、ここで体験するタコスが、ものすごく美味しそう!

わたしはタコスをちゃんと食べたことがありません。この本を読んでから、ずっとタコスのことを考えていました。あぁ、タコスを食べてみたい……!今日はタコスが登場する映画をメモします。


『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』(2020年)

Netflixオリジナル映画『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』は大好きな作品です。
アメフト男子に頼まれて、ラブレターを代筆することになった成績優秀なエリー。お陰で彼との友情は芽生えたけれど、彼と同じ女の子が好きな心の内はかなり複雑......。

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三角関係を描く青春恋愛映画ですが、登場人物たちの繊細な感情を、これまた繊細な演技で捉えており、とても心地よい作品です。登場人物が叫びながら急に走り出したりはしません。
文学やアートの引用が良いスパイスになっています。LGBTQというタグが付けられている作品ですが、多様性の描き方も優しく温かい。恋愛要素もありますが、それ以上に「自分らしさ」を求める、もう一歩先を描いた作品です。

▼本作に登場するタコスは、ポールの創作ソーセージ・タコス

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ポールの実家は49年も続く老舗のダイナー。自分が考えた新メニューでお店を開きたいという夢を持つポールですが、おばあちゃんのレシピを変えることを家族は許しません。

そんなポールの創作タコスは、トルティーヤに肉厚なソーセージをホットドックのように挟み、緑のサルサがかかっているように見えました。最初は試食を嫌がっていたエリーですが、一口食べると「結構イケる!」という表情。お父さんも一緒に頬張るシーンがとても可愛いです。

またエリーの好物が魯肉飯(ルーローハン)ということで、五香粉(ウーシャンフェン)を使ったソーセージも考案していました。絶対おいしい。

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ポールは諦めずに新メニューを考案したり、新聞社へ売り込んだり(エリーの粋な手助けもあり)自分の夢に対する姿勢がすごく良い。ポールには自分のタコス屋さんをぜひオープンさせてほしい!ポールは本当にいいヤツなんです。
※実家はレストランやお肉屋さんという記事も見たのですが、ここではダイナーと記載しました。

『青葉家のテーブル』(2021年)

ECサイト「北欧、暮らしの道具店」で2018年4月より配信された短編ドラマ「青葉家のテーブル」を長編映画化した作品。「北欧、暮らしの道具店」で作られている映像作品はどれも好きで、本作も公開時に劇場で鑑賞しました。

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子供たちの青春の描き方はもちろん、大人たちの友情にグッときてしまったのは、自分が大人たちの年齢に近くなってしまったからかもなぁと、しみじみ思ってしまいました。ほんわかした映画に見えますが、生きていく中で起こる楽しいことも、そうじゃないこと(居心地が悪いこと)も意外とリアルに率直に描いており、今年鑑賞した邦画の中でも好感のもてる作品です。

食事やインテリアはもちろん、CDジャケットとかTシャツ、彼女たちが過去に作ったモノ、今彼らが熱を注いでいるコトなど、メッセージは細部に宿るというか、製作陣のものすごい熱量を感じました。どのシーンも素敵です。

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▼本作に登場するタコスは、みんなで楽しめるタコスパーティー

忍成修吾さん演じるソラオが、タコスを振る舞うシーンがあります。いっぱい具材を用意して、自分の好きなようにカスタマイズして作る、オリジナルタコスは手作りならではの楽しさ。
映画では、タコスにハマりすぎてみんなが毎日タコスを食べる羽目になるのですが、お弁当にもタコスを詰めていて、それいいかも!と思ったり。

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サイトでは、料理家のまきあやこさんによるタコスのレシピが紹介されています。

『エイブのキッチンストーリー』(2020年)

「ストレンジャー・シングス 未知の世界」ウィル役、ノア・シュナップくんが映画初主演を務めた作品。

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イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つ12歳のエイブは、文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされており、料理を作ることが唯一の心の拠り。ある日、世界各地の味を掛け合わせた「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族をひとつにしようと決意する。

本作は、少年が作った愛のある「フュージョン料理」を食べたら、みんなが仲良くなるという単純なストーリーにはなりません。
イスラエル人の母家族、パレスチナ人の父家族は、集まればお互い罵り合い、エイブにとっては本当に可哀想な状況。見ている方もすごく辛かった…。大人がほんと大人げないよ!

ただ料理を通してエイブが自分のメッセージを伝えようとするところは、料理でしか表現できないことだったんだろうなと思います。
今では青年になったノア・シュナップくんですが、本作での幼さの残る可愛らしさも必見。

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▼本作に登場するタコスは、シェフたちへのまなかいタコス

両親にはサマーキャンプと嘘をつき、ブラジル人シェフのチコの下でこっそり修行をするエイブ。ゴミ出しや片付けしかさせてもらえない中、みんなのまかないを任されるチャンスがやってきます。
そこで作るのがタコス!トルティーヤに、ジューシーなお肉とカラフルな野菜を包み、ボリュームも満点。野菜はコールスローのように酸味のあるタイプだと予想。コリアンダーなど香菜もふんだんに使ってそうですね。
本編映像が公開されているので、ぜひご確認ください。

▼あとがき

Netflixではドキュメンタリー『タコスのすべて』という作品もシーズン2まで配信中。歴史やメキシコの名店、人々とタコスの関係性がよく分かる作品です。

▼最後に
自分でもタコス作りをしてみました!カルディでトルティーヤとシーズニングを購入して、お手軽タコスパーティーです。野菜もたくさん食べれるし、けっこうお腹にもたまる!
今回は牛ひき肉を使いましたが、スライス状で甘辛く味付けした豚肉を包んでも美味しそうだなと思いました。シーズニングを使用して味付けをしましたが、次回はいろんな味のソースを用意してもいいかも!
タコス世界の扉を開けたばかりですが、夢が膨らみます。

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Netflix、(C)2021 Kurashicom inc.、(C)2019 Spray Filmes S.A.

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