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『先生、私の隣に座っていただけませんか?』の実家ごはんが気になる

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U-NEXTで鑑賞した『先生、私の隣に座っていただけませんか?』が個人的にすごく楽しめて、しかもごはんがたくさん登場した映画だったのでメモしようと思います。

現実と漫画の境界が曖昧になっていく

漫画家・佐和子は、夫・俊夫と自分の編集担当・千佳が不倫していることを知り、新作漫画のネタにする。こっそりネームを読み進める俊夫だが、やがて物語は、佐和子と自動車教習所の先生との淡い恋へと急展開。恐怖と嫉妬に震える俊夫は、現実と漫画の境界が曖昧になっていく……というストーリー。

佐和子役の黒木華さんの飄々とした感じもすごく良かったのですが、不倫をテーマにしているけれど重くなりすぎず、後味が悪くない作品に仕上がっているのは、夫・俊夫役の柄本佑さんの少し抜けているような雰囲気が大きいのかなと感じました。
最初にダメなことをしているのは夫の方なのだけど、あの慌てっぷりを見るとだんだん可哀想にもなってくるのは、柄本さんの魅力のせい。『ハケンアニメ!』も素晴らしかったー!

わたしが好きなアメリカの監督が、夫婦の復讐をテーマにした作品を撮っており、本作を鑑賞した際に真っ先にその作品を思い出しました。(ネタバレをしたくないので作品名を出すのはやめておきます)
現実世界では、こんなに上手くいくことはないのかもしれないけど、家族の数だけ問題や悩みはあるはずで。きっと今もどこかの家庭で、密かに心理戦が行われているはず。

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』というタイトルも、観終わった今は切なくもあり、怖くもあり、いいタイトルだなぁと思いました。
わたしは免許を持っていないので、教習所に通い始めの佐和子が、運転に対して恐怖心を持つシーンには共感してしまいました。

そしてエンドロールで流れる、eillさんカバーの「プラスティック・ラブ」が最も本作を表しているのかもしれない、と思ったりしました。この歌を聴いて、本作は完成するような気がします。

▼▼『先生、私の隣に座っていただけませんか?』に登場するごはん▼▼

佐和子の母親が怪我をしてしまい、実家に帰ってきた夫婦。実家での食卓シーンも多く、よく観ないと何を食べているのか分からないので、真剣に鑑賞しました。

お母さんの芋煮/寿司とビール/ピーマン肉詰め/桃/餃子/パックのまま飲む牛乳

本作の食卓シーンは、すでに問題を抱えた家族が集まる場所になっており、楽しい場面というよりは、少し気まずい雰囲気が常に流れます。最後の食卓シーンなんて、一体何が起きているのか分からない状況を観せられて怖かった〜!
お母さんの芋煮に対して、「美味しい!」とある二人のキャラクターが言うのは面白かったですね。ピーマン肉詰めや餃子など、少し手間がかかる家ごはんが登場し、義母さんと俊夫が作っているシーンが映るのも印象的。
楽しくなさそうな食卓シーンも、ごはん映画収集としては味わい深いです。


(C)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会


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