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N35°34’53.00” E 139°33’14.00” フクロウ団地

やっぱりいちばん印象にあるのは、団地のロータリーですね。
団地のど真ん中にロータリーがあるんですよね。
ロータリーとそばの郵便ポスト、みんなの待ち合わせ場所だった。
昔はね、郵便ポストは赤い丸いタイプだったんですよ。いま、四角いやつにかわってるけど。

僕、昔、団地の2街区だったんですよ。朝、学校行くとき下ってって、まずね、三角公園の向かいっかわの柵で囲まれた球技場で、ノーパンクっていうパンクしないボールで野球をやる、三角ベースを。学校行くときだから当然バットとか持ってないから手で打つんすよ、ポーン、って。で、野球をやっててチャイムが鳴ったら、チャイムが鳴ってる間に学校まで飛んでく。ダッシュで。球技場から走り出して合流地点がその角のポスト前なんですよ。そこで3街区とか4街区の人がガーってでてきて合流して、みんなで走ってく。石畳行って、太鼓橋渡って、階段を駆け上がる。階段はもう二段飛ばし。だいたい学校には着くんだけど、教室には間に合わない。階段登ったり靴替えてる間にチャイムが鳴り終わる、みたいな。

友達の3分の1は団地に住んでる友達、あと3分の1は郵政宿舎に住んでる友達、残り3分の1が美しが丘三丁目のお金持ちのお嬢ちゃんお坊ちゃんたち。で、学校帰りに遊ぶエリアもなんとなく団地の人たちは団地のなかで遊んでるのが多かった。三丁目の人はやっぱりお金持ちが多かったんで、三丁目の友達んちに行くと、野球盤とかで遊べた。野球じゃなくてね。家んなかでこう、お茶とか飲みながら遊べたわけ。お茶に氷はいってて、お菓子もついてる、みたいな。うちらは少年野球場とかで水道の水飲みながら野球。それとか団地を駆けまくる、みたいなね。べつにね、なんてことはない。だいたいドロケイって警察と泥棒に別れてやる鬼ごっこみたいなのが、なんとなくはじまって、団地中駆けまくって、いつの間にかみんな帰ってる、みたいな。あとは缶蹴りとかね。

でね、団地はね、昔、ウルトラセブンに出てたんだよ。
宇宙人に団地が乗っ取られちゃう物語だったね。
じぶんちなのに、帰ったら奥さんに「だれですか?」とか言われちゃう。でね、団地の横にある電話ボックスから「たいへんです。団地が乗っ取られて」ってウルトラ警備隊に電話をするわけ。でもね、その電話ボックスは実際にはないの。セットだったんだね。
で、印象に残ってんのは、最後のシーンで、ロータリー越しに端から引きで団地全体をぶわって、こうパーンするんですよ。そんときに映ってた5−1に住んでるヤツが「うちが映ってる、うちが映ってる!」って大騒ぎしてたな。「あ、たっくんちだー!」みたいな。で、最後に「フクロウ団地に平和が戻ってきました」みたいなアナウンスが流れて。それがそのロータリーなんだよね。

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