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『グリーンブック』黒人でもなく、白人でもなく、その人として見られる世界へ


笑えてジーンとする映画だった。

初めは寅さんのように見えたトニーも徐々に頼もしくなり、一方でドクターの抜けてるところや笑う場面も出てきて、2人の距離が徐々に縮まっていくところがよかった。
黒人がボスで、白人が雇われてるのが新鮮だった。そこが「最高のふたり」と違うところですかね。

車の色が、黒でも白でもないグリーンなのがポイントなのかなと思った。それも、ブルーでもグリーンでもないような、曖昧な色。ハッキリわけられることの方が世の中少ないはずなのに、黒人か白人かで分けられてしまうのはとてもおかしいこと。それへのアンチテーゼなのかなと思った。
どちらにしろあの色は、とても綺麗だと思った。そういえばあの石もグリーンだったな。

黒人というだけでトイレが林の中だったり、夜に出歩いているだけで檻に入れられたりレストランで食事が出来なかったりした時代に、あのように自分を主張するのはとても勇気のある行動だったのだと思う。きっと、私が思う何百倍も。
その行動の裏には、ピアノ演奏技術という自信が少なからずあったのだろう。それが、「自分は意見を主張する権利がある」と思わせてくれたのではないか?

逆に言うと、あれだけ人を魅了できるピアノ演奏ができても、黒人というだけで明らかに差別され、依然として高い高い壁が立ちはだかるということ…。全くひどい話。
想像を絶するような差別と戦ってきた歴史が、黒人の皆さんにはあるのだろうなと思った。

ユダヤ人は逃げる時に音楽演奏技術を持ち出したという話を聞いたことがある。身体技法や音楽演奏技術など、自分の体に組み込んでどこにでも持ち運べるような技術をひとつでも持っておきたいなと思った。
それは誰にも奪われないから。

ミネソタ州の事件から約1年が経ったところ。もっと、黒人の歴史について知ってみたいと思った。
あんな明らかな差別があったってちょっと信じられない。けど、まだ残ってるんだろうな。
そんなドクターにも居場所になるような飲み屋があってほっとした。

詳しいことは知らないが、黒人のかたのリズム感が好き。少し遅めにとる感じ。たまらん。

最後はトニーの友人たちに受け入れてもらえてよかった。
そういえばトニーは黒人差別していたし、友達も同じようだったのに、遠い昔のよう。この2ヶ月でだいぶ変わりましたね。

奥さんは手紙のことも気づいていて、トニーに恥をかかせることなくドクターに感謝を伝えたのが粋でした。いい女ですな。

見てて心が痛くなる場面もあったが、重くなりすぎずクスッと笑いながらちゃんと問題提起してくれて、評判いいだけあるなと思った。
クリスマスにもう一度みたいです。

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