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【本人訴訟シリーズ】本人訴訟で未払い残業代を請求する

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未払い残業代問題を取り上げます。自分だけの力で労働審判を起こしてブラック企業から未払い残業代を取り戻す!そのための実務的なノウハウや労働審判手続申立書など書面の作成について解説し…
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#働き方改革

本人訴訟で未払い残業代を請求する(53)-答弁書を詳解する4【付加金請求に関する認否と反論】

けっこうインターバルが空きましたが、2020年最初のnoteです。第51回noteでは答弁書での「申立ての理由に対する認否」について解説しましたが、ここまでの時点で残っているのが、「付加金の請求」の主張に対する相手方による認否です。付加金については第17回noteを読んでください。 私は、労働審判手続申立書で、付加金請求について次の主張をしました。 ================================== 相手方は残業代の支払い義務を履行していないことから労働

本人訴訟で未払い残業代を請求する(51)-答弁書を詳解する3【申立ての理由に対する認否】

今回は、「答弁書」の「申立ての理由に対する認否」について述べたいと思います。これは、申立書の「申立ての理由」に対して、相手方が認否を明らかにするところです。 まず、私の労働審判手続申立書の「申立ての理由」をふり返ってみます(第16回note参照)。そこでは、 ■「当事者」に関する主張  ■「所定労働時間、及び基礎賃金」に関する主張、 ■「残業の実績」に関する主張、 ■「未払い残業代の請求」に関する主張、 ■「付加金の請求」に関する主張、 という、大まかには5つの主張

本人訴訟で未払い残業代を請求する(49)-答弁書を詳解する2【答弁書の構成】

今回から、労働審判で相手方が作成・提出する「答弁書」について具体的な解説をしていきます。 相手方の答弁書は、通常、第一回期日の遅くとも1週間前くらいに相手方に付く代理人弁護士から直接郵送かデリバリーされて来ます。弁護士から書面が直接送られてくると、何とも言えない緊張感が走ります。 答弁書の分量は、労働審判手続申立書も同じですが、だいたい10ページから多くて20ページくらいでしょう。「乙第1号証」「乙第2号証」「乙第3号証」・・といった書証と証拠説明書、必要に応じて「別紙」

答弁書って何?:答弁書について詳解します~その1~

今回からは「答弁書」について解説していきます。 第14回noteから第24回noteにかけては「労働審判手続申立書」、第30回noteから第44回noteにかけては「証拠説明書」について述べました。これら書面は、労働審判を申立てた申立人が作成して、労働審判委員会へ提出する書面です。一方で、「答弁書」は労働審判の相手方が作成・提出するものです。 答弁書とは、詳しくは次回から述べていきますが、申立人が作成・提出した労働審判手続申立書に対して、相手方が、申立人の「申立ての趣旨」

通勤費は払ってもらって当然?

前回のnoteでは、立替払いの精算を拒否された場合の対策について述べました。今回は、通勤手当と移動交通費について解説したいと思います。 まず、通勤手当から。通勤手当とは、その字の通り、自宅・職場間の通勤にかかる金額が手当として会社から支給されるものです。都市部のケースで恐縮ですが、スイカやパスモでの定期乗車券の購入といった、鉄道・バスなど公共交通機関を利用した場合の自宅と職場間の最短経路の金額に対する手当です。手当ですから、給与の一部です。事前に支給される場合、そしてタイミ

払い戻し請求を忘れた立替経費は払ってもらえる?

仕事で立替払いをしたにもかかわらず、多忙でしばらくの間その払い戻し手続きをしなかったばかりに精算を拒否された、保管しておいた領収書が紙切れになってしまった・・という経験はないでしょうか。 会社では、通常、立替払い精算に関するルールが決められていると思います。それが経理規程などの社内規程に明記されている場合、不文律ながら昔からのやり方に従うとされている場合、経理担当の業務の都合に合わせなければならない場合など、そのルールや根拠はまちまちかもしれません。もしそういったルールに結

雇用契約書と就業規則、どちらが優先?

前回まで労働審判手続申立書・証拠説明書の作成方法やその内容について解説してきました。次は、申立人(ないし原告)の労働審判手続申立書(ないし訴状)を受けて相手方(ないし被告)が作成・提出する答弁書について解説していきたいと思います。 ですがその前に、私自身の本人訴訟から学んだ知見をいくつか紹介したいと思います。今回のnoteは「雇用契約書と就業規則」についてです。 雇用契約書とは、雇主(会社)と従業員の二者間で、賃金や勤務時間などの労働条件を明確にするために締結する契約書で

本人訴訟で未払い残業代を請求する(44)-証拠説明書の書き方10【給与支給明細書】

今回のnoteも前回に続き給与支給明細書についてです。 口座振込での給与支給に関する通達(平成10.9.10 基発第530号)によれば、給与支給明細書では①賃金の種類毎の支給額、②差し引かれる控除額、③控除された後の差引支給額の3つが明示されなければならないとされています。通達は法律ではありませんが、これら3項目が給与支給明細書に記載されることは当たり前でしょう。 一般的に、給与支給明細書は「勤怠」「支給」「控除」の3つのパートから構成されています。 「勤怠」パートには

本人訴訟で未払い残業代を請求する(43)-証拠説明書の書き方9【給与支給明細書】

雇用契約書とタイムカードと給与支給明細書は最強の証拠3点セット。今回から給与支給明細書について解説していきます。 まず、給与(賃金)とは、第18回noteで解説したように、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」(労基法第11条)です。そして、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下略)」(労基法第24条1項)、「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(以

証拠説明書の書き方~その8~【自己申告勤怠管理表テンプレート付き】

今回のnoteがタイムカードについてのラストの解説です。 まず、おさらいから。第36回noteで述べたように、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない」と労働基準法第109条に定められています。タイムカードなど勤怠記録は「労働関係に関する重要な書類」に相当します。また、労働安全衛生法の改正(「第66条の8の3」の追加)では、雇主には、従業員の労働時間の客観的な把握が義務付けられています。

本人訴訟で未払い残業代を請求する(41)-証拠説明書のテンプレート(コピペ用PDF)

ここまで第30回、第31回、第32回、第35回、第36回、第37回、第38回のnoteにて、証拠説明書の書き方や書証の意義などについて解説をしてきていますが、今回は労働審判での証拠説明書のテンプレート(PDFファイルで恐縮ですが・・)を添付します。 このテンプレートでは仮の文言を入れていますが、証拠説明書は労働審判手続申立書(有料テンプレートは第25回noteにて)の答弁・文章と対応すべきものですので、皆さま自身の戦略やストーリーに合わせて加筆修正や甲号証の順変更などしてご

労働基準監督署と属地主義の話し

今回のnoteも証拠説明書の説明をはなれて、私の本人訴訟のきっかけにまつわる少しマニアックな話を。「労働基準監督署」と「属地主義」についてです。 まず、労働基準監督署(以下、「労基署」と言います)。ブラック企業やパワハラが社会問題となるなか、多くの方がどこかでは聞いたことがあるのではないでしょうか。労基署とは、労働基準法や労働安全衛生法など労働に関する法律に基づいて事業者を監督する厚生労働省下の機関です。行政監督の権限だけでなく、刑事訴訟法に定められる司法警察員の職務も担い

裁判管轄と準拠法の話し

今回と次回のnoteは証拠説明書をいったんはなれて少し堅い話を。まず、「裁判管轄」と「準拠法」についてです。 労働審判の管轄については第8回noteで解説しましたが、今回はちょっと特殊な私の実体験に絡めてです。というのも、私の本人訴訟のきっかけは、ある日本企業のフィリピン共和国マニラ首都圏にある現地法人への出向・駐在だったのです。 雇用契約の当事者は元従業員の私と元雇主の日本法人。私の就労場所はその日本法人のフィリピン子会社があるマニラ首都圏。つまり、日本に居住している私

本人訴訟で未払い残業代を請求する(38)-証拠説明書の書き方7【タイムカード】

タイムカードは未払い残業代を請求するための最強の証拠3点セットの一つです。しかし、それは、会社の総務課などが管理していて、原則的には個々の従業員へ共有されることはないのではないでしょうか。ましてや、退職後にそのタイムカードのコピーがほしいと会社に申し入れても、拒否されるのが現実でしょう。その場合、残業の存在をどのように立証すればよいのか。今回のnoteでは、タイムカードを入手できない場合の対処方法について述べていきたいと思います。 本人訴訟で労働審判や民事訴訟を起こして未払