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文化の匂いが漂う、熱海銀座で明治から続く商店。古き良き建物を活用してくれる方を募集しています。

熱海銀座で明治から商売を営んでこられた池島家。

楠木細工屋、レストラン、玩具屋、喫煙具屋、鞄屋、と時代を象徴するように業態を変えながら地元の人にも愛されて商売を続けておられましたが、昨年10月に「池島商店」を閉店されて空き家となっています。

閉店に伴い、先代より建物を引き継いだ 池島篤則さん から「この建物を壊さず有効に活用してくれる方に使ってもらいたい」とご相談があり、このたびマチモリ不動産として新たなテナントの募集をお手伝いさせていただくことになりました。

建物は、築59年・鉄筋コンクリート造の店舗兼住居。商店街に面した1階が店舗になっており、奥のスペースが2階建ての木造住居として使われていました。

店舗の雨漏れ等はなく、電気系統にも一切の損傷はない状態です。

そんな池島商店跡地。熱海の文化発信基地としての役割を担っていたこの場所の歴史を新しい世代の方にも引き継いでもらえたらと、池島篤則さんにお話を伺いました。

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楠木細工、レストラン。美術に音楽。— 文化の匂いが漂う池島家の歴史

池島家は明治時代から楠木細工の商売を営んでおられました。明治発行の『豆州熱海全図』にも「池島」の文字が載っています。二代目の池島勘蔵さんは、熱海銀座の名付け親だともいわれているそうです。

豆州熱海全図_池島

昭和の戦前までは、三代目・池島勘一さん(篤則さんの祖父の兄)が現在の池島商店の場所で喫茶レストラン『グリルイケシマ』を営業されていました。この時代には、篤則さんの祖父・池島秋平さんは渚エリアで喫茶店『オスカー』も営まれていたといいます。

俺は全然そんな時代を知らないんだけど、大人になってから年配の方に「洋食屋だった頃は、銀座の池島に行くのが年に1回の贅沢だったんだよ」と言われたことがあったね。(篤則さん)

池島商店3カラー

そんな『グリルイケシマ』を、昭和25年(1950年)の熱海大火が襲います。その翌年、全焼してしまった場所に建てられたのが現在の建物。映画館『ロマンス座』をはじめ、呉服屋や洋服屋、時計店など、当時の最先端カルチャーを引っ張るお店が軒を連ねる大きな商業ビルでした。

当時の当時の社長・三代目の池島勘一おじさんは、松竹芸能との繋がりも深い「遊び人」みたいなひとで。ロマンス座が『男はつらいよ』とか『釣りバカ日誌』とか松竹系映画の封切館だったのも、勘一おじさんの影響な気がするんだよ。(篤則さん)

ロマンス座2

ロマンス座1

篤則さん自身、大学時代に最も力を注いでいたのは音楽バンド。父・池島恒夫さんも家で頻繁にウクレレを弾いていたりと、池島家からは文化的な匂いを感じます。

祖父の池島秋平は本が好きでさ。特に美術辞典はずっと読んでたね。荷物を整理してたら親族の誰かが描いた油絵も出てきた。俺自身も絵の教室にも通ってたし、本もたくさん買ってもらえてたから、血筋的に文化系の家柄なんだと思うよ。(篤則さん)

1957(S32)NHK静岡放送局開局記念1

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人が集い文化を紡いできた歴史を次世代に託したい

そんな池島商店。閉店のきっかけは、四代目・池島恒夫さんが昨年7月に亡くなったことでした。息子の篤則さんは、生前の父からこんなことを言われたことがあったそうです。

いつだか「会社を辞めて熱海に戻ってくることがあれば喫茶店をやれ」と言っていた記憶があるんだよ。もしかしたら銀行に残っていたお金はそのための費用なのかもな。まあ雑貨店と違って在庫も抱えないし、俺に出来そうなのは喫茶店ぐらいだと思っただけかもしれないけどね。(篤則さん)

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「俺には商売のセンスがないから」とご自身で店舗経営などをやるつもりはないと語る篤則さん。しかし、この場所を使ってやりたい事業を妄想したことはあったといいます。

このエリア一画を買い取って「イタリアの裏路地風の飲み屋街を作りたい」ってことを考えた時期はあったよ。石壁の外観のバーやレストランが立ち並んで夜遅くまで飲めるようなエリアにしたいな〜って。まあ俺には出来んけどな。(篤則さん)

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最後に、篤則さんがこれまで感じてきた熱海銀座通り商店街や池島商店の印象を尋ねてみたところ、次のような答えが返ってきました。

昔は商店街の人たちがそれぞれのお店に談笑しにやってくる感じがあって、池島商店にも知り合いがフラッと立ち寄ってた。会社で隣の部署に行って雑談するみたいな感覚が、この町内にはあったんじゃないかな。お客さんからも「池島商店には買い物をしなくてもお父さんが話相手になってくれてたんだよ」って言われたりもしたから、そういう人が集う拠点的な場所だったのかもね。(篤則さん)

この「商店街の中でちょっと雑談してすぐ仕事に戻る」という感覚は、東京にはない熱海的サードプレイスを体現しているように感じます。

銀座商店街も目に見えて面白い街に変わってきてるから、この場所を借りてくれる新しくて面白い人とも、繋がりをつくって良い関係を築いていけるといいな。(篤則さん)

多様なレイヤーの人がフラッと立ち寄る場所。そして、熱海の文化的発信基地としての役割を担っていた場所でもあった池島商店。

そんな歴史を引き継ぎながら、ここで新たなカルチャーを一緒に作ってくださる方からの応募を楽しみにしております。

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インタビュー:三好明
文章編集・写真撮影:岡田良寛

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