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イースターで春の到来を実感

カリフォルニアのサクラメントあたりでは、3月になると、まるで初夏のような日々がちらほらし始めます。我が家の猫のもなかも、早々に「あぢぃ~」と言わんばかりに冷たい床でばったり(笑)。ロングヘアなので、とにかく暑いのは苦手なんです。私も、もう毛布はいらないなと、洗濯して、しまいこんだのですが、4月に入ってから雨が降ったり、思いがけず肌寒い日が戻ってきたりで。ここサクラメントには、三寒四温なんていう風情はない、なんて高を括っていたのですが、多少はあるようで。失礼しました~。

思いがけず、雨の日があろうと、肌寒く感じる日があろうとも「もう春だなぁ」と実感するひとつの大きな要因が「イースター(Easter)」の存在です。今年のイースターは、4月17日の日曜日。『今年の』と言うのも、イースターは暦に応じた移動式の祝日なのです。年によって、3月の末だったり、4月の頭だったり、半ばたっだりの日曜日。調べてみると、春分の日以降、最初の満月から数えた最初の日曜日とのことですが、印象としては、とにかく春がが来る頃の日曜日という感じですね。ちなみに、イースターは、十字架で処刑された後に復活したとされている、イエス・キリストの復活を祝うものです。最近では、クリスマス、ハロウィンに続いて、日本でもイースターイベントがあるようですね。ディズニーランドがイースターテーマになっているというのは聞いたことがありますが、その他にはどんなイベントをやっているのでしょうか?

ここアメリカでの生活において、イースターといって、私の頭に思い浮かぶのは、とりあえずパステルカラー。店内の装飾だったり、お菓子だったり、ケーキだったりは、とにかくパステルカラー、つまりはイースターカラーに染まります。着色料はアメリカが得意とするところで(笑)、あまりにどぎつい着色に「これ、食べるの?」なんてこともありますが、それと比べるとパステルカラーは、着色でも受け入れやすいものです。そして、イースターを象徴する動物は、うさぎ(イースターバニー)とヒヨコ。うさぎは繁殖能力が高いから、繁栄の象徴なのだと聞いたことがあります。ヒヨコは、春になると出産シーズンになるからかな。日本でも、ニュースでカルガモ親子を見たことがありましたが、こちらでは、もう少しすると、近所でも子連れのアヒル家族を見かけるようになります。生カルガモ親子♪ どうやら、彼らには彼らなりのルーティーンがあるようで、同じ時間帯に同じ場所にいることも多いので、しばらくの間は、同じ家族の赤ちゃんダックたちの成長を見守ることもできます。随分前のことになりますが、どういう訳かフリーウェイに迷い込んでしまったあひるの親子(母と子がいっぱい)を目撃したことがありました。とにかく焦りまくっているのは、もっぱらお母さんダックで「どうしましょ、どうしましょ💦」と右往左往。その後ろを、一列に連なって一緒に右往左往する子ダックたち。これ、嘘のようなホントの話。

さて、ここアメリカでイースターに一般的にすることと言ったら、まずは家族が集まってのお食事です。サンクスギビング、クリスマスほどではありませんが、要するに、アメリカ人の祝日の過ごし方の基本、ということなのでしょう。イースターならではの食べ物には「ホットクロスバン(Hot Cross Bun)」と呼ばれるパンがあります。ブリオッシュ生地のような、少し甘い生地にレーズンなどのドライフルーツやオレンジゼストが入っているものが定番です。最も特徴的なのは、パンの上面にアイシングで十字がきられていること。前に働いていたお店、Karen's Bakeryでは、いくつかのレシピを合わせた上で調整を加えた、私アレンジのホットクロスバンを作っていました。私がこれまでにアレンジして着地したアイテムの中でも、自慢できるアイテムのひとつです。至って素朴なパンなのですが、シナモン、カルダモン、ジンジャーなどのスパイスの調合へのこだわりが決め手でしたね。また、こちらは特にイースターに限ったものではありませんが、ココナッツが使われた焼き菓子系も、春の人気&定番商品です。「春らしい」ということのようです。日本的にはココナッツは夏のようにも思いますが、アメリカでは春商品なんですね。他には、キャロットケーキも春っぽいのかな。こちらはイースターバニーのうさぎからの連想?とにかく、アメリカで、家族で食卓を囲むとなると、デザートまでが必須になりますで、イースターはベーカリーの稼ぎ時でもあります。パンはもちろん、プチスイーツ、ケーキ、クッキーなどなど。ということで、今週は大忙しです。17日のイースターが終わっても、すぐに「母の日」が来るので、まさに春の繁忙期ですね。暑い時期になると、ベーカリーは多少なりとも閑散期となりますので、今が頑張り時。

イースターイベントに「エッグハント(Egg hunt)」と呼ばれるものがあります。中にお菓子などが入ったカラフルな卵を探す、宝探しのような遊びです。教会や地域のコミュニティなどで、エッグハントイベントが開催されることも多く、イースターには、カラフルな卵でいっぱいのバスケットを手にした子供たちの姿もよく見られますよ。

このようなカラフルなプラスチックの卵が使われます

このエッグハント、普通は子供を対象にしたイースターイベントなのですが、私が前に働いていたKaren's bakeryでは、従業員を対象とした、いわば大人のエッグハントなるものが、イースターの恒例行事でした。どんなものかといいますと… まず卵の中身は、お菓子の他に、現金やスクラッチャーと呼ばれる宝くじのようなものも入っていました。時間的にひとつ前のシフトの従業員が、次に来るシフトの従業員のために、卵を隠します。あとは各自がイースター当日を忙しく働きながら、卵探しをするだけ。大当たりの20ドル入り卵を求めて、結構真剣(笑)。ベーカリーアシスタントとして最初のイースターを迎えた当時、私のお給料は限りなく最低賃金に近いものでしたので、エッグハントの成果を数えて「1時間以上の収入だ!」なんて、妙に得した気分になった記憶もありますよ。でも、この大人のエッグハント、卵を見つける方はもちろん、隠す方も結構楽しかったりします。初めてのエッグハントのとき、私は白い卵を本物の卵の中に馴染ませ、黄色の卵を大量のレモンの箱の中に馴染ませました。私にとっては、極あたりまえの隠し場所だったのですが、これが意外にも斬新だったらしく、翌日の話題にもあがるほどウケ、翌年からはこの手の隠し場所&隠し方が積極的に取り入れられるようになったりして。とにかく、お店をあげての従業員向けイースターイベントで、お店を辞めていく人が「もうエッグハントができないのは残念だな」なんて言っていることもあるほどの人気ぶりでした。かくいう私も、お店をうつって2年以上が経つ今も、この時期になる思い出さずにはいられない。毎年、隠れ通した『生き延び卵』が、なぜ今、こんなところに?!、という具合で発見されることもありましたしね。探し物や、掃除をしながら「もしかしたら卵があるかも~♪」なんて、心ひそかに期待してみたり。時には、「卵じゃない?」と数人で大いに盛り上がり、長~い棒でどうにかこうにか突っつきだしてみたら、腐りかけた巨大イチゴだった、、、なんてことも。これぞ、大人のエッグハント。


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