見出し画像

【イベントレポート】Xsector Kyoto 2020キックオフ -セクターを越えた繋がりが生み出すインパクトとは-

広く市民の皆様から「京都がもっとよくなる」「もっと住みやすくなる」まちづくりの取組提案を募集し「まちづくり・お宝バンク」に登録・公開するとともに、提案の実現に向けてきめ細かなサポートを行っていく「”みんなごと”のまちづくり推進事業」。まちとしごと総合研究所では2016年から京都市と共にこの事業の運営に取り組んできました。

画像8

2019年度からは「X Cross sector Kyoto(クロスセクターキョウト)」を立ち上げ、まちづくり団体、NPO、企業、行政、大学関係者等の異なるセクターのさまざまな主体が、共通のゴールを掲げ、お互いの強みを出し合いながら地域課題の解決を目指すための実践的なプログラムを実施しています。

そして、今年度はコロナウイルスの影響もあり、全てのプログラムをオンラインにて開催していくことを決め、先日8月22日にはオンラインにて、当プログラムのキックオフイベントを開催したので、ご紹介します!

オンライン初開催!参加は全国各地から67名が参加!

画像9

当日は、多様なセクター連携により社会にインパクトを与える事業を展開される3名のゲストを京都内外からお迎えし、参加者は京都だけに止まらずに全国各地から67名もの方に参加いただきました!

参加された方々の参加理由としては

・様々なセクターによる共創をどのように行っていくべきか
・地域活性化のアプローチを学びたい
・情報収集、協力者・参画する人の増やし方とマネジメント
・共通の目標を達成するためにはどうすれば良いのか
・コロナ禍で前提が覆った「まちづくり」の在り方を模索したい

など、今年ならではの期待を持って参加してくれた方も!

2時間半のプログラムでは、前半はゲストから取り組みのお話を聞き、後半は参加者同士でこれから京都で起こしたいことの想像を膨らませました。


共創による課題解決への最初の一歩とは何か?

画像2

1人目のゲストはミミクリデザインの臼井さん。ワークショップデザインの手法を使って衝動を活かした創造的な場づくりに携わっています。

臼井さんからは「常識を考え直すワークショップ」という研修プログラムを株式会社リブセンス、NPO法人soarと共同開発した事例が紹介されました。変化が著しく、これからの不明確な時代において、企業が理念の達成や組織の改革を目指すときに、多様な視点やものごとの認識の仕方を持つことの重要性に気づき、NPOが専門性を活かしてコラボすることで、ものの見方を捉え直すこのプログラムができるのではと実施されたそう。

「常識やバイアスは、差別やハラスメントがなくならない理由の一つになっています。このプロジェクトでは『自分が持っているマイノリティ性はなんだろうか』『気まずくなったとき、何を良かれと思ってしたんだろうか』という問いに向き合いました。そのときに、NPOが専門性を活かして企業の変容をサポートする可能性も見えてきました」と話されていました。

このように、企業の事業実現のプロセスのなかに、専門性を持つNPOが関わることのメリットがあるとともに、NPOにとっても新たな繋がりや共創のきっかけが生まれるなど、関わることで様々な展開が検討できそうな事例でした。

画像3

2人目のゲストは中屋さん。「体験を開発する会社」としてdot button companyを経営しています。失われがちな動機を取り戻すために、「体験」を軸にしてプロダクトやイベント、コミュニティをつくられています。

「自灯明(じとうみょう)という仏教の言葉がしっくりきています。周りに流されず、自分を灯(ともしび)にするという意味です。そんな風に自分を信じて自ら行動を起こすことで周りを巻き込んでいくことを大切にしています。」と話されることから、社会のニーズだけではなく自身のニーズに目を向けることの必要性を考えさせられました。

北海道を舞台に新たなプロジェクトにチャレンジしたい「挑戦者」と、その活動を支援したい「応援者」をつなぐためにサッポロビールとコラボした「ほっとけないどう」プロジェクトからは、様々な人たちの思いが実現していくプロセスに関わってきた経験を活かし、相談をもらった際に提案につながったといいます。

このように、事業を作り出していくうえで、まずは自分自身の動機を大切にして行動することで、応援してくれる人が現れて活動が進化していくことが学べました

画像1

3人目のゲストは京都信用金庫の柳井さん。一人では解決できない課題や困りごとに様々な分野の人が集まり、ひらめきや変化を起こしていく「QUESTION」というビルのプロデュースを担当されています。

2020年11月にオープンする8階建ての複合施設を、なぜまちの金融機関がつくったのかという理由をお聞きすると「これまで銀行は京都という街にすごくお世話になったから、今度は銀行が京都を支えたいと思い『QUESTION』をつくりました」と話されていました。

その実現のために、企業や行政とプロジェクトを共に進めるための学生用のスペースや、起業家等のチャレンジショップ、様々な業種の人が集中して仕事をするコワーキングスペースを設置し、新たな出会いや活動を生み出していくための運営を実施していくそう。

「一つの解決策できれいに解決できるような問題は残されていないので、問いを立てることが大切です。問いを立てる人の周りに応援する人や共感する人が集まって仲間が増えていきます」と話されるように、まとまっていなくても解決策が浮かんでいなくても、まずは、もやもやすることを誰かに発信していくことが解決へ向かう種になりえることを学びました。

「QUESTION」のサイトはこちら!

「やりたい」を疑問文に変え、ともに考え始めてみる

ゲストの自己紹介のあとはゲストトークセッションに移りました。問いを引き出すヒントや活動につなげていくヒントが得られました。

画像5

漠然と「なんとかしたい」と思っていることは、まずは疑問文の形にしたり行動したりすること。すると、ともに考えてくれる人が現れたり、対話からアイディアが広がったり課題設定の質が上がったりすることを学びました。簡単に解決できる問題でないからこそ、解決に結びつくように自分ごとから生まれた問いを洗練させていくことが大事だと感じました。

また、広い目で見たときには、協力してくれそうな人とつなげ、参考情報を伝えるコーディネーターが重要だということも見えてきました。

自分ごとで考えたときに、京都で取り組みたいこととは?

ゲストから素敵な事例と行動のヒントを聞いた後は参加者同士のグループワークに移りました。「ここまでの「気づきや発見」&「疑問や不安」は? 」の後「あなたが京都で(京都と)一緒にやってみたいことは?」というテーマで話しました。

画像6

あるグループでは、エンジニアの方が「ずっとプロジェクトが続くように長いつながりを作りたい」と話す一方で、役所の方は「自治会は顔ぶれや活動が固定化しがちで運営に苦労している。どんな支援ができるだろう」と話していました。

「つながり」という言葉一つを取っても、誰の、どんな場面での関係をイメージするかが全然違うことを改めて実感しました。また、参加者それぞれが持つ経験や知識からいろんな見方が混ざりあい、テーマが広がっていくのを感じました。 

参加された皆さんからの感想

「外部の人とお話ができたことだけでもありがたいです。
いろんなことを考えていたり、悶々としていたり、みんないっしょだなぁと思いました。そこでつながって実際の形にできたらおもしろいだろうなと思いました。」
「モヤモヤをクエスチョンにする大切さを感じたと共に、立場や年代の違う人に寄り添う難しさも改めて感じました。」
「「動機の喪失」と「動機の獲得」という考え方は、「やる気がない若者」などと、社会の風潮でひと括りにされがちな人間の状況を、別の視点でとらえて転換できる考え方で面白いと思いました。」
今回のイベントは、自分だったら何ができるか、何がしたいかを多様な人と考える時間になりました。モヤモヤや課題がたくさん見つかった方もいらっしゃるかもしれませんが、それすら次につながる一歩と思えました。これから良い問いに変えていき、仲間を集めて動き出すためのプログラムが待っていますから。

参加者、それぞれに気づきを持ち帰ってもらいながら、今後のセクターを超えた繋がりづくりや新たな事業づくりのヒントになっていきそうです!

そして、9月9日から開催されるセッションプログラムから生まれる共創プロジェクトにも是非ご期待ください!

画像8

<Graphic Recording / 三宅 正太:NPO法人山科醍醐こどものひろば>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?