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帰国/再入国日誌③ 2021/02/11

体調報告

隔離初日。隔離期間は入国から14日後の正午に解除されると書いてあった。ぼくの場合、2月10日入国なので、2月24日の正午までとなる。そしてこの初日は、いろいろとイベント(?)の多い日でもある。

まず、アプリによる最初の健康状態報告。午前と午後の2回で、午前は10時、午後は2時までにと言われている。今回は午前8時にやってみた。

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体温を記入し、せき、のどの痛み、呼吸困難について、はい/いいえで答える欄があり、その他の事項がある。体温計がない(探してみたら家にあったが電池が切れていた)ので、そこには適当に36.0と入れておく。のちほど救護物資に体温計が入っているので、それが来たら測れとのことだった。

10時に一度、昌原市の保健所に連絡してみる(しろと言われたので)。でも、毎日連絡する必要はなく、アプリで報告すればよいとのこと。検査については保健所から連絡するので待機せよとのことだった。

午前10時35分、保健所から連絡。検査の時間と場所についてだった。翌日(2月12日)の午前10時に保健所に行けるかと言われたので、行けると答える。場所はわかるかというので、カカオマップで検索し、市庁の近く、KBSの裏手ですね、徒歩で15分くらいだと答えた。「なら歩いて来られますね」。よし、ぼくは歩きたいのだ。遠ければ、路線バスというわけにはいかないから、職員が車両で迎えに来る。でも検査は、隔離期間に合法的に外を歩く、唯一の機会なのだ。

すぐに区の担当者に連絡し、明日10時に検査で、徒歩で保健所に行く旨を告げる。これをしておかないと、アプリのGPSですぐさま移動が探知され、かなり難しいことになる。ややこしいが、検査は市の保健所、行動監視は区の職員で、どうやら別の機関になっている。

じつは、2月11日は韓国の名節、ソル(설)3連休の初日。コロナ禍でなければみんな実家に帰ったり、海外旅行に行ったりする日だ。それでも保健所も区の担当者もぼくなんぞの監視に余念がない。頭が下がる思いだ。

救護物品

午後5時34分、家のある昌原市義昌区の職員という人から電話がくる。「救護物品を家の前に置いていくので、確認してください」という。そうだ、例のブツが来たのだ。

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せっかくなので、目録を作ってみた。レトルト食品のメーカー、ビビゴ(비비고)のスープ系のものもかなり入っていて、なかなかぜいたくではないか。区単位で支給しているようなので、地域差があるらしいけど、メシはなんとかするから、頼むから出ないでくれという熱を感じさせるラインナップではある。必要最低限というにはぜいたくすぎるほどだ。

미역국 レトルトわかめスープ 2
왕갈비탕 レトルトカルビ湯(タン) 2
육개장 レトルトユッケジャン 2
김치찌개 レトルトキムチチゲ 2
전복죽 レトルトあわびがゆ 2
햇반 包装ごはん(いわゆるサトウのごはん) 4
통곡물밥 包装雑穀ごはん 3
양념깻잎 えごまの葉のあえもの(缶) 1
장조림 牛肉の煮込み(缶) 1
컵반(햇반)  고추장제육덮밥 カップごはん(コチュジャン豚肉丼) 2 
야채참치 野菜ツナ(缶) 2
볶은김치 炒めキムチ(缶) 1
썰은김치 切ったキムチ(缶) 1
들기름김 えごま油のり 20
백산수 ミネラルウォーター 2ℓ 2
94マスク 10
消毒用エタノール噴霧式 1
消毒用ハンドジェル 1
電子体温計 1

連休が明ければスーパーの配送も頼めるし、アプリで出前も注文できる。接触できないので、ドアの前に置いてってくださいといえば、そうしてくれる。置いときました、という携帯メールに玄関の写真も送ってくれる。いやあ、よくできた国だな、と改めて思う。少なくとも行政の動きのよさに関しては、日本はちょっと反省したほうがいいんじゃないかと、思わざるをえない。

それをいちばん感じるのは、書類だ。

物品のなかの封筒に、「入院・隔離通知書」というのが入っていて、〇〇の法令にもとづいて入院・隔離になること、違反した場合には処罰対象になることが書かれている。それと、それを理解し、守りますという趣旨の「受領書」が同封されていて、それにサインして送り返せという。送り返すといっても、サインしたのをスマホで撮影して、SMSで送ればよい。

この一カ月、日本で何度も、書類文化の面倒さ、ファックスという遺物が幅をきかせる状況に面食らってきた。PDFはダメ、写真はダメ、ハンコが必要。本人が来ないとダメ。それにはそれなりの理由もあるんだろうけども。韓国で感じるのは、強制力は働くかわりに(自由選択はないかわりに)、こちらの事情を話せば聞いてくれ、職責の範囲を超えてまで、なんらかの解決策を考えてくれるという安心感だ。だれかに話せばなんとかなる。国によってやり方も感じ方も違うのはたしかだけど、ただ、この臨機応変なスピード感には、ましてこうした非常事態にあっては、たぶん勝てない。

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