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after展覧会「大浮世絵展-歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」

はじめに

江戸時代を代表する浮世絵師が江戸東京博物館に集まりました。
歌麿、写楽、北斎、広重、国芳の5名の作品をいっぺんに見られる超お得な展覧会です。
江戸東京博物館での展示は1/19(日)までですが、その後、
福岡市美術館(2020.1.28~3.22)
愛知県美術館(2020.4.3~5.31)
に巡回されます。

写楽はやっぱりすごかった

「大浮世絵展」が開催されているきっかけだろうと思いますが、
2015年10月に放送された[林修の浮世絵大名画ミステリーSP~北斎・広重・歌麿・写楽の謎に迫る~]が、BS-TBSで1月3日に再放送されました。
これは予習に最適、と思い鑑賞前の参考にできました。
特に北斎の〈富嶽三十六景〉や広重の〈東海道五十三次之内〉が取り上げられていました。
また、[江戸浮世絵を読む]小林忠(ちくま新書)を読み、浮世絵の知識増進に努めました。本書の中では、北斎を理系画家、広重を文系画家として2人の描き方のちがいなどが紹介されていました。


こんな経緯もあり、今回の楽しみ順は次のとおりに。
1、歌川広重
2、喜多川歌麿
3、葛飾北斎
4、東洲斎写楽
5、歌川国芳
(※別に画家の優劣を決めているわけではありませんのでご容赦ください。国芳については、「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」展に行ってすっかり満喫し、”今回“は5位です。)
さて、実際の満足度はどうだったか。
 ↓
こうなりました。
1、東洲斎写楽
2、歌川広重
3、葛飾北斎
4、喜多川歌麿
5、歌川国芳

そうだ歌舞伎に行こう

生没年不詳
写楽の浮世絵界への登場は異例ずくめのものでした。聞いたこともない絵師が描いた、寛政6年(1794)5月の江戸三座の芝居に取材した役者絵は、28枚の役者絵という量の多さ、黒雲母摺の大首絵という豪華な形式、いずれも破格の扱いでした。しかもその描写内容は、誇張された描写が目に飛び込んでくるという前例のないものでした。続いて同年7・8月の秋狂言に取材した38枚を、同じく11月・閏11月の江戸三座の顔見世狂言に取材したものを中心に64枚、そして翌年正月の初春狂言を中心に12枚を出しますが、写楽の錦絵作品で確実なのはこれだけです。
こうした写楽に対して、大田南畝は『浮世絵類考』で次のように記しています。「あまりに真を画かんとて、あらぬさまにかきしかば、長く世におこなわれず、一両年にして止む」。写楽は、役者の”真“を描こうとして”あらぬさま“に描いたので、1・2年で消えてしまったというのです。
活動期はあまりに短く、作品も少ない写楽ですが、評価は世界的にすこぶる高いものがあります。それは南畝の言う「真」に注目すれば納得できるでしょう。悪役でも浪人役でも、役者はその役柄になりきろうと演技します。写楽は役者自身が悪人に見えるくらいの演技ぶり、つまり舞台上の役者の真の姿を描き出すのです。誇張の目立つその画風が好悪両様の反応を呼んだのは当然でしたが、斬新なその役者絵は浮世絵界に刺激を与えることになりました。
なお、謎の多い写楽に対しては、誰某論が盛んで、さまざまな説がありますが、「阿波候の能役者」斎藤十郎兵衛(宝暦13年~文政3年(1763~1820))とするもの以外に有力なものは見当たりません。
引用元:大浮世絵展公式HPより

少し長いですが、公式HPのみどころ>作品リストより、東洲斎写楽の紹介文を引用しました。未だに謎の多い写楽です。
会期中に作品の入れ替えはありますが、私が観に行った日は合計28枚の写楽浮世絵がずらりと並んでいました。ちょうどデビュー時に発売された枚数と同じです。その様子は圧巻の一言。歌麿の繊細な美人画のあとだったので、写楽の大首絵の行列はインパクト大でした。
また、同じタイトルの作品でも摺りの具合が異なる2枚の絵が並べて展示されているものもあり、見比べると木版画ならではの面白さに気づかされます。着物の柄は同じなのに、色彩がちがうだけでこうも印象が変わるとは。
ただ、写楽の大首絵は歌舞伎を題材にしています。私は歌舞伎を観劇に行ったことがないので、歌舞伎を体験すればきっともっとこの世界に入り込めるのだろうと、歌舞伎への興味がグッと湧きました。

おわりに

作品のキャプションには所蔵先が記されていますが、海外の美術館の名前が目立ちました。特に喜多川歌麿と東洲斎写楽は。
浮世絵を現在のようにアートに持ち上げたのは、これら海外の人々の力が大いにあったことを思うと美術の世界の恐ろしさを感じます。
しかし、江戸の庶民が暮らしの中で楽しんだ浮世絵にはもともとその価値が備わっていたことを思うと、日本人の技術と感性にも脱帽です。
今年も各地の美術館でいろいろな趣向を凝らした浮世絵展が開催されます。これからも気軽に楽しめるアートとしての浮世絵を楽しんでいきたいです。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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