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人は減り続けてるのに竹は増え続けてる問題

竹と暮らし

竹は日本各地に存在し、昔から私たちの暮らしの中で、様々なものに利用され暮らしを豊かに彩ってきました。

垂直にぐんぐんと伸びる竹は、生命力を象徴するおめでたい植物のひとつとして、お正月に飾る門松にも使われています。

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そうした竹ですが、現代では生活様式の変化やプラスチックなどの代替製品、安価な輸入竹製品の増加、また生産者の高齢化などにより、日常で竹製品を見かけることは少なくなっています。

そうした背景で竹の需要が減り、それゆえに竹の供給源となる竹林の管理が不十分になっていきました。


竹害の発生

管理不足のために、竹が雑草のごとく増殖してしまう現象を「竹害(ちくがい)」と呼びますが、実際のところ、何が“害”なのでしょうか。

それは、竹の繁殖力が非常に強いために、植物の多様性が失われ、本来森林が果たしていた、私たちの生活を守るような機能に支障が出る懸念があることです。

竹は毎年伸びる地下茎(根)で森林内に簡単に侵入します。地下茎から生まれたタケノコは2~3か月程度で高さ 10~20mの竹に成長。成長した竹により太陽光が届かなくなった背の低い樹木は枯れ死に、周囲が竹林化し、植物の多様性は失われます。

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山は本来、樹木が深く根を張ることで良質なミネラルを含む水が蓄えられ、また土砂崩壊の防止という機能を果たします。一方で竹は、深さ50cm程度の表層にしか地下茎を張らないため、山の保水力が低下し、また山の地盤が弱まり、土砂崩れなどのリスクが高まる懸念があります。

竹の地下茎(竹の根っこ。ここからタケノコが生え竹へと成長する)

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地球環境の観点からは、管理されていない竹林と、森林、管理されている竹林を比較すると、二酸化炭素吸収・炭素蓄積量に差がある可能性も示唆されているようです(研究途中で明確な論ではないようなので注意)。

他にも、人里に近い放置竹林がイノシシなどの野生動物の住処になると、畑が荒らされるなどの農業被害が発生したり、道路に竹が侵入し交通上の危険が生じたり、景観が損なわれたりします。

放置竹林は急斜面や軽トラックで入れない場所などにあることが多く、管理するのに肉体的な負担が大きくかかります。

津和野町では、かつてそれを担っていた方々が高齢化し、加えて若者や人口は減り続け、その肉体的な負担を受け止めきれません。相当な重労働である一方で、国産竹・タケノコの需要は少ないためコストに見合ったリターンはなく、竹林拡大の対策が十分に進んでいないというのが現状です。


島根県立大学生との連携

こうした津和野の放置竹林の現状に問題意識を持ち活動をしていたのが、島根県立大学の学生たち。

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今年度、まちのオフィスQ+は彼らの活動をサポートする形で、放置竹林問題への理解を深めるようなコーディネート活動を実施しました。

なぜ放置竹林問題が発生しているのか、竹の伐採を体験することでその現実を学び、伐採した竹をどのように活用すれば竹林管理のインセンティブにつながるのか、竹細工と竹灯籠制作を通じて一緒に考えを深め、林業家や活動家の方と議論を続けました。

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その活動の様子を動画でまとめましたので、よろしければご覧ください。
■前編(伐採)


■後編(活用)

今後の活動


一筋縄ではいかない問題ではありますが、全国で様々な活用がなされたり、農業活用の研究がされていたりと、解決の光も少しずつ見え始めている問題なのではないかと今年度の活動を通じて感じました。

大学生たちは今後も放置竹林問題に関する活動を継続していくそうです。

全国的にも放置竹林の問題解決に向けた事例が数多くあるので、それらを学びながら取り入れ、活動を深化させていってほしいと思います。

まちのオフィスQ+も引き続きサポートを継続し、地域の方々と一緒になって活動を継続していきます。

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最後は、制作した竹灯籠の写真で締めさせていただきます。

お読みいただきありがとうございました。

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