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「フリクリ プログレ」でわからなかったこと

なにか作品を鑑賞するときに作者のインタビューとかそういう作品の外にあるものを持ち出しながらああだこうだと言うのは好きじゃない。

いや厳密には好きだけど,一番最初に作品に触れるときには,そういう外の情報というのをできるだけ排除して見たいと思っている。

商業的なものであるならなおさらそうであるけど,その作品の面白さのベースラインはその作品内で完結するはずで,さらにいうとベースラインが面白さを超えないならそれはもう面白くなかったという判断でいいと思っている。

つまり,後付のコショウがなければ美味しくないラーメンは,評価としてはまずいとしようではないか,という判断基準だ。

けれどこの後付には関連作品のことを含めていない。続編であったり,スピンオフであったり,リブートであったりするなら,文脈的に知っておくべきこととして,過去に出ていたものは見てしかるべきだと思う。それらを見た上で面白いか面白くないかが決まると思う。

新劇場版のエヴァの序を見ないで,破だけを見てつまらんとかいうやつはどうかと思うという話だ。

まあそんなわけで,フリクリと名のつくものは全て見た状態で,『フリクリ プログレ』を見たというわけです。

それで,率直な感想を言えば面白くなかった。オルタナは面白かったです。

どうして面白くなかったのかなあというのを考えるのですが,まず最初に思い浮かんだのは登場人物の行動原理が全然わからんというのがあります。

けど,無印のときもそれは全部を通して全員の行動が理解できる作りになっていたかというとそうではないですね。そうは言っても,意味不明だった行動の意味が最後まで見ればある程度理解できるっていう快感というか安心感はありました。

プログレももちろん解けていく謎はあったけど,残されたのかそもそもなんにも考えられていなかったのかという謎もたくさんありました。

懐古的ですが,画的に面白いか台詞回しが面白いだけで映像はある程度見れると思うので,無印はわかんないなりに面白かったのだと思います。けれどプログレにそういう圧倒される画や台詞回しがなかったとか,そんな単純な話なのかもしれない。

ここまでは前置きで,何回も見ればわかりそう,無印も何回も見てやっとわかった,そういう経験があるので,わからんかったなあというかもやもやしたところをまとめておこうという話です。

なんかもうわかる人にコメントとかで教えてほしいです。

そもそもハル子が分離した理由がよく分からない。結構序盤に映像があるんですが,全然追いきれなかった。こればっかりは力不足だと思う。

あとあの植木鉢。N.Oを逆に利用すると言っていたが,そもそもN.Oってたしか転移装置だし,何かを吸収するっていうのはカナがやっていて,新しさがよくわからない。アイコとかいうやつの最後木になっちゃうやつもよくわからない。植木鉢の真の力ってなんだったんだ。そしてアイコは何者だったんだ。

ついでにアイコがお金を貯めて家を出ていこうとしていた理由もわからなかった。

アイコつながりでいうとマスラオのやっていることはわかる。メディカルメカニカになんとか対抗しようとしている。それは父の目的を受け継いでいる。

おそらくそのマスラオと同じ目的であった屯吉のやっていることもわかるが,利用されていたマルコがかわいそう過ぎる。ヒドミへの思いによるもやもやの力を使われていたみたいな感じだけど,マルコは何一つ成長できずに終わってしまった。なんてかわいそうなマルコ。

森のやっていることはよく分かる。一番欲望に純粋。レンタル彼女がバットを振ることになるのかという話を意地でバットを振ったことにしていて好き。

井出はたぶん最初からバットを振るタイプの人間だったように思う。今回井出が目立ってるけど,実はマルコくらい成長がない。けどマルコと違うのは,最初からバットを振っていたところ。マルコがかわいそう。

ヒドミが一番よくわからないので最後にとっておく。

ラハルとジンユのやつは結構わかる。ジンユはアトムスクが自分のものにはならない,アトムスクは自由であるべきだと思っている。ハル子はそういう思いをうすうす感づいているが見て見ぬふりをしていた。そして今回ラハルはジンユを飲み込む。けれど結局はジンユを吐き出す。これは振り出しにもどったように見えてそうではない。ラハルはジンユを受け入れないことを選んだのだと思う。手に入らないものを追いかけることをしっかりわかった上で,それでも追いかけることを決意している。

実際書いてみると,結構わかってきた気になってきた。

ヒドミのことを話そう。ヒドミはヘッドホンを使って自分の世界に閉じこもっている。けれどこれが解決すべき主題ではないように思う。

そもそもどうしてヒドミがそういう状況になったのかというのがあんまりわからない。

家庭環境かもしれない。けれど,ヒナエの行動はしっかり理解してあげているようにも思う。店もよく手伝う。もしかしたら頭で理解できていても,心の方では折り合いがつけれていなかったのかもしれない。

どちらかというと夢の方に解決すべき主題があったように思えた。自分は腐っていく。腐っていく自分が,すでに取り返しのつかない街を救う。または,ゾンビの夢。死や捕食など普通の人が目を背けたくなるような描写に異常な興奮を覚える。

なのにだ。そのくどいまでに描写されていたヒドミの歪みというのが井出への思いにのみによって全部解決したかのような感じになっている。いや実際,恋ってそういうものだとも思うけど,じゃあ蒔いた種が蒔き損じゃねえかと思う。印象的な歪み描写が多かっただけに,そこらへんがヒドミのなかでどう昇華されたのかということがまったくみじんも見えてこなかった。

ヒナエとの問題にはしっかり言及しているのにだ。

ヒドミはもっと面白いことを表現できそうなポテンシャルをもっていただけに,恋ってすげえみたいな感じでまとまってしまったのが残念なだけかもしれない。

誰にも読まれないような乱文が深夜テンションでできてしまったけど,とりあえずは公開しておきます。誰かに答えを求めるというのは,自分のバットを振ったことになるのでしょうか。


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