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そろそろ考えドキ?モヤる“教会文化”全5回シリーズ(1)特別伝道礼拝

 2019年10月、キリスト教放送局 日本FEBC制作の新番組「FEBC Sprout!」の初回ゲストとして招かれて話した5回シリーズ(各15分)。日本の教会に根強く残る因習の中で、特にモヤるもの5つを厳選してツッコミを入れた。時代も社会も変わりゆく中で、そろそろ見直す「考えドキ」ではないだろうか!?

▼日本FEBC 公式サイト

モヤる“教会文化”とは?

 新番組の記念すべき1人目のゲストとして呼ばれながら、なぜいきなりネガティブな話題をぶっこんだのか。それはひとえに、さまざまな取材などを通じて今日の教会に対する危機感を嫌というほど叩き込まれてきたからに他ならない。このままでは早晩、私たちの業界は死滅する。牧師不足が深刻化し、ますます教会のリソースを従来通りには割けないという状況下で、今こそ無駄を省き、注力すべき事柄に絞って人手とお金をかける「仕分け」作業が必要なのではないか。そのための検討材料として取り上げたのが、今回の5つである。
 無論、見直されるべき“教会文化”はこの5つだけに留まらない。

Vol.1 特別伝道礼拝

 初回のテーマに選んだのは、おそらく多くのプロテスタント教会で長く行われてきた「特別伝道礼拝」。これまで教会関係者向けに行ってきた講演でも、繰り返し問題提起してきた一つがこの用語である。長く教会生活を続ける「ガチ勢(古参信徒)」にとっては、これらの教会用語、独特の言い回しは、しごく当然すぎて改めて客観的に検証することはない。
 たとえば、以下に挙げた漢字をなんの支障もなくすんなり読める読者はどれほどいるだろうか。

  • 基督

  • 主日

  • 福音

  • 頌栄

  • 聖餐

  • 祝祷

  • 牧会

  • 御霊

  • 御心

  • 御旨

  • 御名

  • 御国

  • 贖い

  • 赦し

  • 召し

  • 献げる

 すべて苦もなく読めてしまったあなたは、もはや「ガチ勢」に違いない。こうした表現に慣れてしまうと、教会外でも当然通用するものと勘違いして使ってしまいがちだが、あくまでこれらは教会内でのみ通じる表現・表記であることを肝に銘じなければならない。
 「特別伝道礼拝」という6個の漢字の羅列は、信徒にとっては自明の概念であり、読むのも難しくはないが、果たして外部の者にはどんな印象で受け止められるだろうか。

教会外の人にとっては「新規○○様○○キャンペーン」!?

 初めて教会を訪れる人にとって、普段の礼拝でさえハードルが高いのに、「特別」に「伝道」されてしまう礼拝は、ここぞとばかり新規会員の勧誘に力を入れる強化月間のようなもので、よい一層行きにくいものになってはいないだろうか。
 もちろん、迎え入れる教会側の心構えとして「特別」に「伝道」に力を入れる礼拝はあってもいい。普段とは違う高名な先生を呼んできたり、あるいは社会的にも名の通った文化人やプロの音楽家などを招いて、それをきっかけに教会に来てもらおうという魂胆は、効果の有無は別として否定されるものでもない。
 しかし、たとえその「特別」なゲストを目当てに教会の敷居をまたぐ新来会者(新来者)がいたとして、さらにはその時の話や演奏、パフォーマンスに感銘を受けたとして、次週以降の礼拝にも続けて来たとしたら……。せっかく「あの時の」話や感動を求めて来たのに、「特別」でない礼拝は期待外れとならないだろうか。

モヤる“教会文化” 全ラインナップ

 初回で取り上げた「特別伝道礼拝」は、あくまで一つの象徴的な事例に過ぎない。同じように見直されるべき表現は他にも見つけられるだろう。続けて以下、5回にわたって特に日本のプロテスタント教会に根強く残る“教会文化”を取り上げてみた。随時、メンバーシップ(いのフェスサポーター、いのフェスガチ勢)向けに公開していくので、興味関心のある方は、ぜひこちらもご視聴いただきたい。


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