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かつてソ連という怪物がいました マカピーな日々#0235

マカピーです。

マカピーはウズベキスタンに滞在していましたが、実はまさか自分が体制移行国(旧ソ連の共和国)で働くとは思ってもいませんでした。

世界史や地理は好きだったのですが、そもそも中央アジアに興味がありませんでしたから、西遊記で有名な「玄奘三蔵」も現在のタシケントを通過してアフガニスタンのバーミヤンを訪れていたことや、アムール・チムールが強大な帝国を作った事、アルゴリズムの語源となったアル・ホレイズムは地方の名前だし、近代医学の祖ともいえるイブン・シナもこの国の現在のブハラ出身だったことも全然知りませんでした。


しかも中央アジアには「スタン」がいっぱいありますよね。

ソ連に組み込まれなかったですがアフガニスタン、パキスタンも「国」を意味するスタンがついています。

キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタンはかつてのソ連の共和国ですが1991年のソ連崩壊でロシアに「もうあんたたちは自分で国を管理してね」と見捨てられた?国々です。

カザフスタンはアルマティという首都があったのに日本の建築家、黒川紀章氏デザインの計画都市アスタナ(現ヌルスルタン)に移転しています。


更に、カザフスタンのバイコヌールは現在ロシアが租借する宇宙基地ですが、その始まりはICBM(大陸間弾道ミサイル)開発が目的でできたソ連の秘密都市(西側には都市名が知らされていない)の一つだったのです。

そしてカザフスタンにあるもう一つの秘密都市はセミパラチンスクです。

ここでは400回以上の核実験により、周辺の気候が変わってしまったり、地域住民の健康被害が発生していました。

それが1991年にソ連からカザフスタンが独立するとこの核実験場も閉鎖されました。

でも放射能汚染はひどく残留したままになっています。

日本では多くの人がウクライナでおこったチェルノブイリ原発事故を知っていますが、セミパラチンスクの悲劇はあまり知られていません。それでも日本政府は長崎大学や広島大学の研究者をセミパラチンスクに送って被害対策に協力しています。

かく言うマカピー自身も、ウズベキスタンに行く前には、それらのことを全く知らなかったのです。ヤレヤレ

そもそも、マカピーは東側勢力の雄である強大なソビエト社会主義共和国連邦(CCCR)という国がどういう国だったのか、よく理解していませんでした。

ロシア共和国以外はほとんどソ連邦に利用尽くされる存在だったようです。

カザフスタンのセミパラチンスクの問題だけではありません、アラル海の消失問題もソ連が引き起こしたと言って良いでしょう。


共和国の人々は宇宙飛行士として採用される人もいましたが、多くはソ連兵としてアフガニスタン侵攻に駆り出されたりしました。

ウズベキスタンの仕事場のスタッフの一人に「僕は徴兵で水兵になりました」と言われたときにはマカピーはすかさず笑ってしまいました。

「ちょっと待ってよ、ウズに海はないでしょう?まさか干上がったアラル海に海軍があったの?」と今思えば本当に無礼な質問をしてしまいました。

「もちろんウズベキスタン国内でなく、ウクライナの黒海の艦隊だったんです」

「あああなるほど、そうだったんだ。さっきの冗談は失礼でした。謝ります。兵役ご苦労様」


ある日、マカピーは仕事場のスタッフと一緒に近くのプローフ(ウズベク風ピラフ)の店に行くと、マカピーが日本人と分かって隣のテーブルの男性が話しかけてきました。

スタッフに通訳をしてもらうと、彼はウズベク人だけど兵役で行かされたのが日本がわのいう北方領土の歯舞諸島だったのだそうです。

「海なんて知らなかった自分にとって、国境警備で歯舞の冬は本当に寒かった。来る日も来る日もひたすら双眼鏡で日本の北海道側を見ていたんだ。そして想像していたんだ、日本人てどんな人種なのかなって。だって今のように日本側の事が分からなかったんだ」

「それは大変でしたね」

「本当に戦争のない平和が一番いいよ」

「こうしてウズベク人と日本人が一緒にご飯を食べられる世の中って、幸せです」

「うん、そうだね」

ウクライナのチェルノブイリ原発事故の際には、ウズベキスタンから沢山の応援が投入されました。

自己の内容も知らされずに、放射能対策の防護服もなしに!

そして沢山の人が放射能障害を起こし死んでいます。

やはり、タシケントにその時に犠牲になった人の慰霊碑がありますが、はっきりとは責任の所在を問う事はしていなかったと聞きます。

物言えば唇寒し秋の風

共和国の運命などクレムリンの意向で何とでもなる、ソ連とは恐ろしく巨大な権力だったのです。

西側の米国が必ずしも正義ではないですが、徹底したソ連の怖さは尋常ではなかったでしょう。

ソ連に翻弄された共和国は1991年の独立から30年経つのですが、当時の共産党トップがそのまま国家元首におさまる形で体制移行国を運営したのですが海を持たない国々だけに、その後の経済発展もうまくいっていない国々が多いように思います。

今回はここまで。

また旧ソ連の共和国、ウズベキスタンのお話をしたいと思います。

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。では次回をお楽しみに。


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