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みんなどこへ行ったんだよー? マカピーな日々#0931

マカピーです。ボルネオ島北部マレーシア国サバ州にいまーす。
10月にサバに戻って来たのに、おなじみになった顔に出会えていないのでした。


フィグ(イチジク)は野生動物の重要な食ものの一つです

正直に言いますと、観光資料などでよく言われている『豊かな自然のサバ』って言うのは少し無理があるのです。

と言うのも、これまで州全土がかなり乱開発されちゃっているからです。
自然保護区はあるのですが、手つかずの原始林と言えるような森林はほとんど存在していません。

例えば、サバ州東海岸で有名なキナバタンガン川流域も、森林が伐採されその跡地にクラパサウィ(オイルパーム)が植林されてしまっているからで、保護区は川に沿った狭い地域だけです。

確かに遠目には「緑でカバーされた大地」ですが、モノカルチャー(単一植物栽培)には変わりなく、生物多様性からはかけ離れたものになります。

先日、SGDs(持続可能な開発目標)の話がありましたが開発と環境破壊は表裏一体になるので、そのバランスが大切なんですよね。


お隣のネコ。なぜかしらいつも舌が出たまま

ちょうど人生のなかで「ワークバランス」が必要なように働いてばかりいても人生を楽しまなかったら、何の意味もないのと似ています。


話は変わりますが、なぜ動物園が価値あるのかというと、非日常な生物が目の前にいるからだと思います。

例えばオーストラリアで「カモノハシ」を見たと時に、マカピーはびっくりしました。

こんな生物がいたんだ!ってね。

くちばしがカモで、卵を産んで、おっぱいで育てる動物ってそこにしかいなかったんです!

初めて欧州の人がその標本を見た時には、いろいろな動物の特徴があることから「きっと誰かがいたずらに、数種類の動物の部分をくっ付けた創作物」だと思われたという逸話も納得できました。

更に、江戸時代にシーボルトが日本から持ち帰ったオオサンショウウオのつがいはその後しばらく生きていたそうですが、それが公開されると初めて生きた存在を見た西欧人はそれまで化石でしか知らなかった「奇怪な」動物の正体を確認できたのでした。

観ればわかる!

これってとっても大切な事なんですよね。

どんなに想像をたくましくしても、生きている姿を見れば一瞬のうちに理解できるから「動物園」持つ意味があると思うのです。

ただ、そこに来てジーッと動物を観察しているだけで、沢山の事を教われるのが動物園なんです。

そこから沢山の疑問も生まれ、更に発見につながっているわけで子供たちが憧れるのは極めて自然な事でしょう。

大人になると、あの時の気持ちはどこへ行ってしまうのでしょう?


落書きと言うのか、アートと呼ぶべきなのか

翻って見るに、サバの近所にサル(ハヌマンラングール)やカワウソ(スマトラカワウソ)、近くで発見されたことのあるイリエワニはどうなんでしょう?

絶滅危惧種でなければ、保護する対象ではないのでしょうか?

今後とも彼らとどうやって共存するのでしょうか?

建設現場に巣くっている野犬の群れが、野生動物を食い殺すとしたらどうしたらいいのでしょうか?

単に野犬を捕獲したり、毒殺すれば済むのでしょうか?

カワウソ出ておいでー

南アフリカ共和国のケープタウンを旅行した際に、広い面積の森林火災の跡を見る事がありました。

ここはヨーロッパ人の東洋への航路の中継港として発達し、白人の入植が早くから進んだところです。

現在の西ケープ州には沢山のワイナリーがあり世界的に有名ですね。
(マカピーはザンビア時代にそのワインのおいしさに触れ、実際に南ア滞在でファンになってしまいました)

で、シュテレンボッシュなど、古くから開発された町へ行くとまるで欧州の雰囲気なんですよね。

入植者の末裔たちが開発した街並みも建物も植栽も・・・彼らはアフリカの地に自分たちの世界を作ったのが良く分かります。


古い町並みのシュテレンボッシュ

ブドウ畑の苗木だけではなく、あらゆる植物が欧州から持ち込まれました。沢山の松林が存在するのもそうした理由からなのですが、強風が吹き荒れる土地柄で火災が起こると松林はまたたく間に燃え広がって被害が拡大するのでした。

つまり、こうした本来の植物とは異なる外来種のマツやオーク(コナラ)などから「本来のケープ地方にあった植生に戻す」運動が行われていますが、なかなか長い道のりが予想されます。

本当に、あそこまで開発された土地を全部アフリカの固有種に戻すことができるのかしら? でもやってみなければ分かりません。

話はサバ州に戻ります。

高台から地平線のかなたまで続くクラパサウィのプランテーションを眺め蛾なら、これが他の植物にとって代わる日が来るだろうかって容易に想像できないのでした。

ところが、たった100年前まではこれらの土地は未開のジャングルだったんですよ。

それが、建材用の丸太切り出しが行われると一気に乱開発が行われてしまいます。

その頃はまだ自然保護活動も始まったころで、森に暮らす生物と同様に少数民族も開発と共にその生活の場を追われてしまったのでした。

彼らの声が全く政府に届かなかったのは、まるで野生動植物と同じとも言えて哀しいのでしたがそんな時代だったんですね。


ね、アフリカ大陸にいる事を忘れちゃうでしょう?!


マカピーはサバに帰って来てからも、毎朝の散歩をしながら、「今日は会えるかなあ」って期待してキョロキョロあたりを見渡すのですが、彼らにはまだ会えていません。

おーい!みんなどこへ行っちゃったんだーい? 出ておいでー!

マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。一度失われたら取り戻せない







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