『27年かかった』

27年かかった。
何が?『強くなるのに』だ。
最近、やっと自分が強くなったと感じる。
もちろん、あくまでも自分の中で、自分史上、強くなったという意味であり、私より強い人間などいくらでもいることを前提にした上である。
そこまで勘違いしてはいない。

自分で自分を
『強くなったなぁ、俺』
と認められるまで27年もかかってしまったのだ。
14歳の時、親の都合で地方都市に転校させられ、そこでいじめに遭ったことで
『強くなりたい』
と思い、15歳の時に空手道場に入門した。
小学生の頃読んだ漫画
『ブラック・エンジェルズ』
の登場キャラクターである松田鏡二が大好きだったため
『強くなるなら空手だろ!』
という激しい思い込みがあったからだ。
しかし、そこは空手道場とは名ばかりの
『コスプレサークル』だった。
コスプレサークル?なんだそれ?と思うだろうが、これに関してはまた後で書く。

計画では2年ほどで強くなり、高校3年になったら空手を辞めて大学受験や就職試験に備える予定だった。
しかし、コスプレサークルで強くなれるはずもなく、強くなることを目指したはずなのになぜかゴミみたいなオタク知識ばっかり増えただけに終わった。

高校を卒業し、就職してからも『強くなりたい』という思いは消えず、なんとか強くなろうとしたけど、ほとんどが無駄な努力に終わった。

人生には、何を成すにも、その志を阻む壁が存在する。

まずは認識の壁。
自分には何が欠けていて何が必要か、何を目指して、その為にどうすべきか、認識しないことには始まらない。

次に情報の壁。
ネットでちょっと調べればやりたい事に関わる情報などいくらでも出てくる。
しかし、全く約に立たないゴミ情報と有益な情報を取捨選択しなければならない。
私が15歳だった30年前はネットなどなく、テレビ・雑誌・新聞・タウンページなどで情報収集するしかなかったが、それでも情報は山のようにあって、優良情報の選別は大変だった。

次に環境の壁。
何が必要か認識した、自分に必要な情報も得た。
しかし、環境が開かれてなければどうにもならない。
味方はいるか、資金はあるか、時間・体力などの余裕はあるのか。
例えば、学生なら時間的な余裕はあるだろうが、親が子供の考えに理解を示し、味方になってくれて、さらにスポンサーとして資金援助してくれなければどうにもならない。
社会人でも、ブラック企業に勤めていたら趣味に割く時間などない。
さらに、結婚していたなら、暮らしのリソースをそこに割くことに配偶者の理解を得ないと無理だ。

最後に行動の壁。
自分に欠けているものを認識した、正しいと思える情報を得た、環境も十分味方している。
しかし、実際に行動に移すか、移せるかはまた別の話だ。
飛行機が離陸する時に最も燃料を使うように、ここ1番の行動力は動き出す時にこそ必要になる。
道具を買い揃えたり、情報収集しただけで満足してしまうのなんかよくある話だ。

今、振り返ってみると、何回もこの4つの壁に阻まれていたと思う。
しかもこの壁は1回乗り越えればいいわけではなく、行動中に何度となく行く手を阻んでくる。
その度に乗り越えなければならない。

壁の前でその高さに絶望してうずくまったり、登ろうとして落ちたり、登っている途中で時間切れになったり。

自分に何が必要なのか認識できずに苦しみ、誤情報に惑わされて迷い、資金や時間が足りずに諦めざるを得なかった。
生活するだけで精一杯で、行動に移す余力が無く、幾度となく諦めた。

それでも諦めきれずに動き続けて、ようやっと強くなれたと思ったら、42歳のオジサンになっていた。

あーあ。
ここに行き着くまでに無駄が多かったな、と嘆息しきり。

ここで

『無駄は無駄じゃない』
『人生には無駄なことなどない』
『遠回りが人生の糧になる』

とか言えれば格好良く締まるんだろうが、最初の計画では2年で済むはずのことが27年かかってしまっては、さすがにそんな綺麗事は言い淀んでしまう。

ま、あえて言うなら、

『何事もしつこく続けてれば、なんか良いことあるかもよ。無いかもしれないけど』

ぐらいだろうか。

『いんだよ、細けぇ事は!!
クヨクヨすんじゃねぇ!』

そうっすよね、松田さん(笑)

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