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問う力と本質(ラポール型ヒアリング)

ヒアリング=情報を取る から

ヒアリング=導入支援(お客様からご発注頂く) へ

ポイント
何を聞くか(What)、どう聞くか(How)の技法的なテクニックだけではなく、誰が聞くか(Who)を考えること。

僕自身はこれまで10年以上、B2Bセールスを中心に有形・無形と様々な営業現場を経験させて頂きました。その中でも問う力=ヒアリングについて大事だなーと思ったことをメモとして残しておきます。

背景:
巷に溢れている営業テクニックにおいて、質問力についてテクニックが
紹介されているケースは多々あります。クリティカルシンキング、SPINなどベースとなる一次情報(源泉)を体系的かつ深く理解し、使いながら自分なりの結果→内省→アクション→検証のPDCAを回していくことはとても大切です。

しかし、まず商談で相手の立場をイメージした時に乗り越えないといけない「4つの不」の壁を乗り越えていかなくてはなりません。

ちなみますと、①不信→②不要→③不急→④不適です。この概念は昔から営業界隈ではよく取り沙汰されていたり、Salesforceさんの営業ノウハウやTipsの文脈でもよく出てきますね。

ポイントですが、この数字の序列をつけているにも意味がありまして、この順番でお客様からイエスを取っていき提案の土台づくりをしていくため、結局は一番最初にくる不信の壁を取り除かなくては何も始まらないということです。

①不信(60%)②不要(20%)③不急(10%)④不適(10%)

しかも、案件化しパイプラインにちゃんとヒットする商談の中身にする上で上記の比率くらい「不信の壁」を乗り越えることが受注への鉄則と思っています。もちろん、不要を除くための提案準備や課題設定のとらえかた、コンペリングイベントを設定し、「Why now?」(今買うべき理由づくり)、3C分析などを用いた製品とお客様の潜在課題の親和性を握るテクニックも大事です。

ただ…!結局、「お前みたいな者は信用できない」と思われたら即死ですし、結局何も始まらない(準備したことも水の泡ですし、世の中プレゼンの練習を沢山して努力が報われるほどシンプルなものでもない)んです!

お客様側から営業自身が「この人は信頼に値する担当だな」「うちの業界やサービスをよく理解しているな」といった専門性やプロらしさを毅然と打ち出し、パートナーシップを早期に構築することで、製品や会社だけで比較検討の土俵にあえて乗らない"営業優位性"を作れるトリガーになるのです。

ですので、僕はこの辺りをふまえて大切にしていることは名付けて「ラポール型ヒアリング」です。(完全に造語…)

ラポールとは、

フランス語で「架け橋」を意味し、
心理療法の世界では信頼関係を構築する方法。

NLP(神経言語プログラミング/心理学)では、このようなフィジカルなテクニックもあります。詳細はググってみてください。

・ペーシング
・リーディング
・ミラーリング
・マッチング
・バックトラッキング

つまり、営業とお客様の信頼関係を成り立たせる目的でヒアリングしてみる、「問う」の考え方をアップデートしてみることです。

ところで、みなさん突然ですがアリストテレスはご存知ですか?

紀元前385年の古代ギリシャを代表する「西洋最大の哲学者」と称された本人は巧みな弁論術で様々な研究成果・イデア/思想を生みました。

彼が対話の中で発見した説得力(人を動かす力)として代表的なものがこの3つです。

信頼(エトス)×情熱(パトス)×論理(ロゴス)

この3つの壁を超えないと人は説得されない。
その中で軽視されがちなものが信頼関係の構築。論理だけでは納得や真の共感を得られない。そこに想い(熱意)が乗っかるとさらに理想的ということを述べています。

ただ、この信頼という部分をいかに簡単かつ効果的に営業現場で体現するかは練習や工夫が必要なものです。そこで僕自身が特に意識しているものが「仮説型質問」です。

なんとなく文字にすると分かりにくいのですが、要は「仮説を立てながら相手の真意や本音を引き出す」問い方と言えば良いでしょうか。

そんな仮説質問にもいくつかのパターンがありますので、軽く触れていきます。

①事実または経験にもとづいている仮説質問

②下調べの量や情報の質の高さを感じさせる質問

③関心領域に合致した仮説質問

①事実または経験にもとづいた仮説質問
 (納得感のある事実に回答意欲が高まる)
例文:「働きがいの追求という経営方針を拝見し(←事実)、人材育成にも力を入れているのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか?」
②下調べの量や情報の質の高さを感じさせる質問
 (情報提供したらもっと良い仮説をもらえる営業マンへの共感と信頼)
例文:「御社で運営されている15店舗のうち9店舗では、平日にお客様が60分以上お待ちの様子でしたが、(→下調べ)突発的な需要の予測が困難な点が
この開発エリアの課題と私も感じていました。その辺りは店舗スタッフ様のお考えはいかがですか?」
③関心領域に合致した仮説質問
 (人は自分の無関心なことには口が開かない。相手が何に興味があるかイメージを沸かせる)
例文:「〇〇様はご経歴を拝見し、営業畑ご出身ということですが、やはりこれからコロナ後の新しい営業の在りかたや組織の刷新について、問題意識みたいなものを過去にご経験された苦難の中からお気づきになられた教訓などが生きるポイントもおありではないでしょうか?」

いかがでしょうか、ざっとこういった質問を問いの中で入れることで「おっ、こいつ分かってるな?」と思われるイメージが持てますよね?

実際にSNSを始めとしたマルチチャネルでネット情報に容易にアクセスできる現代においてはその会社の沿革、組織図、IR情報、代表メッセージ、理念などは簡単に入手することができます。それをわざわざ商談現場で「御社の目標は何ですか?」といった質問をしてしまったが最後、「お前に費やす時間は1秒たりともない」と思われて沈没することも関の山です。

また、これはよくチームのメンバーや営業マンにも伝えることですが、情報を取りに行くだけのヒアリングは単なる「テイカー」であり、少しキツイ言いかたで換言すると、営業都合の情報搾取とやっていることは同じです。

貴重な時間をお客様から頂き、共に成長していく。そんなパートナーシップを営業とお客様間で醸成するためには、まずは営業自身が「ギバー」(価値や潜在的なインサイトなどを提供)であることが求められると思います。

プレゼン=相手の役に立つ姿勢を"プレゼント"する、というイメージですね(笑)

特にリモートワークが普及する現在はWeb会議が商談スタイルの中心になる可能性があります。これまで対面で通じていた"空気を読む力"や"ノリと愛嬌で流れを引き寄せる"ことが難しくなります。

こうした信頼性を訴求する仮説質問を引き出しとして沢山持っておくことで、相手の真意を把握し営業として主導権を握りながら価値提供する土台づくりにも生きてくるかと思います。

僕自身もこれからこうした思いや技術を磨き、一人でも自社製品で解決できる問題を課題をお持ちの企業・クライアント様のお役に立てるよう精進していきたいと思います!

長々とありがとうございました。ご参考になれば幸いです!

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ps.社内での営業ロープレ大会(2019年)。「3密」ですね…。



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