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コロナ影響下に問われるボクたちの法人営業。いま、”育成活動”に取り組む理由とは!?

“非接触”、”遠隔”の空気がもたらす「ソーシャルディスタンス」の商習慣

この記事を書いている2020年5月5日、ベランダから外に広がる景色は半年前と大きく変わりました。まさに五月晴れな爽やかな青空が広がる日中にも関わらず、目の前の公園はもちろん第一京浜を走る車の数も少なく側道にはほとんど人がいません。

間違いなく今後、教科書や史実として語られるであろう「covid-19」。
経済や教育、インフラ、医療などあらゆる業界にパラダイムシフトを迫る、この巨大な存在の影響で国民全員が手指衛生を心がけ、3密を避け、ソーシャルディスタンスに敏感になりオンライン飲み会やリモートワークが当たり前の文化になる予感ですが、もちろん法人営業のB to B市場も劇的に環境が変わりつつあります。

弊社は渋谷にありますが、同じ渋谷で展開しているインターネット大手企業の「GMOインターネットグループ」は1月末から先駆けて4,000人以上の大所帯をリモートワーク体制へと強力に推し進め、一等地にあるオフィス経費の浮いた分を社員に還元するなど新しい動きが話題となっています。(この機会にオフィス解約しました!といった声もありますよね)

これらの”遠隔”、”非接触”のニューウェーブは大企業だけではなく、中小企業を含めたB to B市場全体の需要トレンドをざっと眺めればすぐに分かります。

幸い弊社はグループでウェビナーツール(※)の展開や法人向け製品比較サイト(※)を運営していることから市場のニーズを敏感に感じられる環境にいます。

3月頃からWeb会議システム、CTIツールなど「社会的距離を考慮した」業務環境を前提としたIT製品への問合せが急増していることからも、これまで積極的に客先に出向き案件を取ってきた営業マン自身が自らの行動変化を強いられているかと思います。

一刻も早いコロナの終息を願う日々ですが、緊急事態宣言が解けた後も感染防止をベースとした経済活動が当面求められる時期でもあることを想定して『どうやって生産性を上げていくか?』はまさに営業現場の抱える命題となりますよね。

※Cocripo(ウェビナーツール)
※ITトレンド(IT製品比較サイト)

密かに盛り上がる“穴の空いた水バケツ化”問題。そろそろ企業も本気で取り組み始めた。

「最近は予定していたイベントや展示会が中止になり予算が浮きました」(マーケ責任者)
「架電しても相手が在宅でつながりません」(営業担当者)
「営業を十分に動かせず本当に困っています」(管理職)

日々、私はマーケティングオートメーションツール「List Finder」の営業をさせて頂いておりますが、こうしたお声をお客様から頂くことが日常茶飯事となりました。

こうした難しい状況に置かれると、必要以上に広告出稿やイベント展開に精を出したり本来営業が最優先であたるべきではない無関心層へのアプローチに一日の貴重な時間を費やすなど、広告予算や人件費といった資本を投じることになります。

これって端的に言うと”穴の空いたバケツに水を注いでいる”ことなんですよね。

本来、資本投下して集めたお客様や認知に対して的確な対策(この場合、穴をふさぐ)を取らずにひたすら水を注ぐ(従来の営業/マーケ活動)こととなり、水量の維持に躍起となり溜めた水をどう活用するか、に意識が向かないことになります。

ここでポイントとなるものが「今だからこそ目を向ける生産性につながる源泉ってどこなんだろう?」という視点です。最近は積極的に新規開拓ができない状況から、どちらの企業でもこうした悩みや問題を抱えておられる営業/マーケティング現場の方々からご相談を頂くことが増えています。

法人営業は新規だけを集めても成立しない。ナーチャリングが最も大切なワケ

マーケティング業界では、「デマンドジェネレーション」という専門用語があります。
簡単に言いますと『案件化や受注の可能性が高いリード(見込み顧客)を営業部門へ渡すマーケティング活動全般』を指します。

さらにこの概念を細分化するとこれらの3つに分かれます。

①見込み客獲得(リードジェネレーション:Lead Generation)
②見込み客育成(リードナーチャリング:Lead Nurturing)
③見込み客の絞込み(リードクォリフィケーション:Lead Qualification)

片仮名が多く理解しづらいかと思いますが、「集めた見込み客の確度を上げながら、今受注に近いターゲット層を選別する」ということです。

「え、じゃあ新規の見込みをとにかく集めれば良いんじゃないの?結局、バケツに水を注ぐしかないじゃん」と思われる方。確かにそうなのですが、実はそれは早合点です。

B to Bの法人営業は専門性が高く、かつ高単価のものが多いため全てがWebページやカタログだけで完結しません。やはりそこには営業マンが介在し、お客様の状況を整理し、最適な製品(サービス)を提案する必要がありますよね。

案件管理の代表的なKPIやBANT(予算・決裁権・ニーズ・時期感)といった概念も昨今流行りのインサイドセールスや「MODEL」といった分業体制も”専門性が高く意思決定のフローが複雑な法人営業活動を細分化する必要性”があるためです。

他方、B to Cでは主に購入者が直接Webサイトを見て「ポチる」ため、営業が介在することはあまりありません。(丁寧な説明が必要な保険・金融商品や高額な住宅など一部除く)

つまり、B to CとB to Bはそもそもゴールがちがう、という訳ですね。

●B to Cのゴール→売上(Web閲覧=消費者の決済による売上)
●B to Cのゴール→有望な見込み客数・受注想定のパイプライン(予実管理)

ですので、B to Bにおいて社内で議論すべきは、『今月、〇件は提案対象の案件がある』『検討フェーズの〇件の担当者様に●●の提案を行い、来月までに見積フェーズの案件を〇件つくろう』といった会話がなされることが大切です。

そのためには、ド新規で積極的に自粛ムードの中、接点を作ろうと予算消費や営業マンの心理的負担を上げるより”今、的確な営業施策を取るべき対象の見込み客数を把握しよう”、”そのために継続的に自社サービスに興味関心がある見込み客を創出する育成活動”が何より大切ということなんですね。

Withコロナ時代の効果的なナーチャリングってなに?

ここまで育成(ナーチャリング)の大切な背景について説明しました。さて、ここからは実際に効果的な方法について少しご紹介させて頂きます。もったいぶらずに結論からお伝えしますと、「MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用」になります。

手前味噌ながら、弊社はMAツール「List Finder」を自ら展開しているため、足元のマーケ&営業活動でも活用しています。

3月から営業現場はリモートワーク体制で従事していますが、生産性をなるべく下げることなくボトムアップに繋げられている要因は「今当たるべき見込み客を把握できている」「ツールを運用し営業組織内の役割分担を明確することで属人的な営業活動から脱却できている」の2点に尽きます。

FireShot Capture 095 - デマンドジェネレーションとは?意味や手法、事例を詳しく解説 - BizHint(ビズヒント)- 事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア_ - bizhint.jp

引用元)
https://www.markeit.jp/blog/demand-generation/

<ナーチャリング活動一例>
●様々な啓蒙パターンのメールを送り、見込み顧客の行動履歴を分析
●MAのCookieを使い顧客接点のプロセスを把握し、打ち手を考案
●実際に興味度が高い(閲覧履歴・遷移数が多い)有望リードへの提案数の把握
●営業後の案件数(パイプライン)の定量面と商談結果の定性面をマーケ&
 インサイドセールスにフィードバック
●インサイドセールスがあたる対象リストを分析し、フィールドにパスする見込み客の
 選別を行いアポイント打診
●マーケが取得する顕在ニーズの見込み客と中長期的に育成が必要な潜在顧客への 
 アプローチを変え、案件数と受注数から打ち手の検討(カンファレンスやウェビナー)
●上記、一連の流れを繰り返し自社保有の名刺(ハウスリスト)の整理、優先度の検討

もちろんコロナ影響で弊社も以前と比べ十分な営業活動ができている訳ではないですし、昨年の常識が全て営業現場で上手くいっているわけではありません。

しかし、リモートワークが浸透しお客様の情報源もWebから取得される状況が加速していることで、「行動履歴に興味関心度合いが如実に表れる」動きを見ることは様々な打ち手や仮説検証をスピーディに実施できる体制につながることは事実です。

また、これはコロナ環境下における私なりの最近の気づきですが、「MAツールを使った育成活動を行うことでGOALの置き場所を見直し、メンバーとの協働感」が増すといった点があります。

リモートワークになるとこれまでオフィスで業務が可視化されていた環境ではないため、孤独感が増し、連帯感が希薄になりがちな昨今です。

しかし、各々が自分の持ち場でやるべきミッションや役割を明確にイメージすることで会話の中身がより具体的になり、お互い相談できるトピックスが増えた印象です。

これはチームビルディングや組織マネジメントにおいても、とても大切な材料と個人的に思っています。
コロナがいずれ終息した後、効率的な生産活動を行い持続的な成長が必要なコアビジネスにおいても、0→1を作る新規事業においても新規ビジネスにおいても、企業にとっては大きなアクセルを踏める準備体制が整うと思っています。

最後に~力を蓄えるためには顧客維持とメンバ―間のコミット~

冒頭にコロナ前とWithコロナ時代の今・これからにおける常識のちがいについて「穴の空いた水バケツ化」をアナロジーとして使いました。

B to Bにおいてもこれまでと時間の使いかたが大きく変わる機会をポジティブに考え、「自社のサービスを魅力に感じてくださる顧客」を大切にし、新しいコンテンツやサービス/製品の開発につながる営業活動ができる機会にしていきたいですよね。

そのためには育成(ナーチャリング)活動に取り組み、”過去接点を含めた名刺(資産)”、
”これから出会う貴重な見込み顧客”の視野から消えずに継続的にフォローしながら適格な家業アプローチを行える体制づくりに取り組んでいけることが大切です。

「トップ営業マンの成果に頼る組織」から「営業マン全員が自信を持ち魅力的な価値提供ができる組織」へつながるといっても過言ではありません。

そのためには、社内各所の協力や連帯感、何よりそれぞれ持ち場の成果にコミットできるような風土を作るという大きなミッションが必要です。

もちろん大変なことだと承知しますが、何かを変えるきっかけとしてコロナが与えた今をどう捉えるか、そんな問いかけをされているような気がしてならない今日この頃です。

最後までお読み頂きありがとうございました!皆さまのB to Bビジネスに幸あれ。


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