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テレワークで営業はどう変わる?コロナ時代のBtoB営業のあり方

5月4日に緊急事態宣言の延長決定!政府も提唱「ボクらの新しい生活様式」

この記事を書いている頃(5月5日現在)、政府から緊急事態宣言の延長が発表されました。4月7日に緊急事態宣言が発出され、16日には全国へ拡大。この大型G.Wで普段は各所どこも盛況な風景も今年は閑散とした風景が連日ニュースでも取り沙汰されています。

抗ウィルス用ワクチンの開発や処方の承認が急ピッチで進んではいますが、以前と同じ生活(経済環境)がすぐに戻ることは難しく長期戦が予想されることは素人目線でもイメージできます。
そんな終息に向けてみんなで『Stay Home』を体現し、新しく考える時間が生まれやすい今だからこそ、ボクらは1人1人が”Withコロナ”時代の生活様式について考えていく良いきっかけですよね。

日本を代表する経営コンサルタント、大前研一氏は「人が変わるにはこの3つを変えるしかない」と以前より言われています。

①時間配分を変える
②住む場所を変える
③付き合う人を変える

国内の企業においても在宅やリモートワークの導入率がこの1か月で急激に進み、ビジネスの世界ではこれまでの対面形式の打ち合わせや会議形態も大きく変わり、今ボク達は普段の生活様式自体が大きく様変わりしています。

だからこそ、こうした視点でいろいろな”接点”、”ライフスタイル”を見直し自らをアップデートできるチャンスと捉えることも可能ですよね。
皮肉にも「働きかた改革」を一番推し進めたきっかけは政府や制度でも人々のマインドでもなく外来ウィルスだったのかもしれません。

B to B営業活動はどう変わっていくのか?取り組みも含めて考えてみる

不要不急の外出が控えられる中、生活に必要なコモディティ商品や”巣ごもり系アイテム”が人気です。不謹慎に聞こえるかもしれませんが、いわゆる”3密懸念”から大打撃を受けている小売・飲食・エアライン、ハコ型ビジネス(ジムやライブハウスなど)が取り上げられている一方で、ドラッグストアやファーストフード、スーパーなどはコロナ以前と比べ売上が3~4割以上UPしてるのも時代の変化で時代の流れに乗っている、と捉えられます。

では、これはB to Bの世界ではどうなのでしょうか?

少なくとも今足元で起きている変化についてマクロ・ミクロで見直していくことが大切ですよね。例えばこんなことが挙げられます。

・在宅率が増え従来ハイタッチセールスの主流とされていた電話が不在の壁により形骸化
・ハンコや書類を使った社内承認の取り方がデジタルに刷新され出社の必要性が減少
・大規模な展示会がクローズすることで企業の予算配分が変わっている。

・オフラインのイベントからオンラインのイベント開催(ウェビナー)が
 主流となっている。

・Zoomを始めとしたオンラインツールを使いこなし、円滑な商談機会を
 作る必要がある。

・これまで対面で成立していた「付き合い訪問」「時間を埋めるための
 世間話」文化の消滅。

・オンライン上の情報にアクセスする機会が圧倒的に増え、会社の
 ”一勤め人”から”個を際立たせたタレント化”によるアウトプットや
 発信の工夫が問われている。

加えて、こうした変化に伴う法人営業についても触れてみます。

デジタル変革(DX)が進み”非接触”の購買・仕入れ体制が整備され始めていますから、巷では800万人以上いると言われる日本の営業マンの数自体もこれまで以上に不要となるとも言われています。

「礼儀と思い、ご挨拶でまいりました」「お電話で一度ご説明できればと思い…」なども、自宅で家族と一緒にいる空間で働くお客様の環境をイメージすると、むしろ失礼な行動とも言われかねません。

これまでの常識でなんとなくやっていた行動・思考様式が通用しなくなる、そんな過渡期の時代を生きているからこそ、習慣をオールドタイプからニュータイプに変えるために必要なことを1人1人が考えていきたいものです。

課題と仮説のイメージにはマーケティングのフレームが役にたつ!

前段でB to B市場の変化(そこから想定されるコト)について簡単に触れてみました。

さらにそこを深堀りして、より根本的な課題や問題点について考えてみましょう。

コロナという未曽有の”黒船襲来”という外的環境の脅威から変化を捉えていくことが大切なため、ここではマーケティングの第一人者と言われるフィリップ・コトラー氏のPEST分析を用いてみます。

FireShot Capture 094 - PEST分析とは何か?コトラー教授が考案、海外進出を行う際にも使えるフレームワーク 事例や図解でフレームワーク解説|ビジネス+IT_ - www.sbbit.jp

引用元)「ビジネス+IT」より
https://www.sbbit.jp/article/cont1/29171

ポイントはこうした便利なフレームワークを使いながら、自社の環境を「今」「これから」の視点で仮説を立ててみることです。もちろんその通りにならない不確定要素が多い現代ではありますが、テレワークで通勤時間がなくなりライフスタイルも変化してる今こそ時間を取ってぼんやり考えることも”新しい生活様式の一つ”ですよね。

図のように4つのマクロ要因から捉えてみることで、自分の環境では「今、一体どういった変化が起きているのか?」をイメージし事業の見直してみることをお勧めします。

例えば当社では『List Finder』というマーケティングオートメーションツール、いわゆるSaaS(※)事業を展開していますが、このPEST分析を使い営業スタイルを考えてみました。

※SaaS…Software as a Service」の略で、「サース」または「サーズ」と呼びます。ベンダーが提供するクラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネット経由してユーザーが利用できるサービス。

●政治的要因(Politics)
-分析-
DXやデジタルマーケティングの復興により、条例制定・変更などの動向はどうか。個人情報保護法の法改正や規制について注視し、今まで以上にお客様に信頼感を与える環境整備と訴求が必要。

-その結果必要なこと(洞察)-
取得済みクラウドセキュリティ認証のPR、コンプライアンスを重視した営業トークの強化

●経済的要因(Economics)

-分析-
各企業の予算配分が「積極的な新規集客」から「過去に接点のあった見込み客の掘り起し」へ変化。また、販管費(特に固定費として負担の大きいオフィス代や人件費)を大幅にコストカットしリモートワーク環境にあわせたツールの新規導入にシフトしていく想定。

-その結果必要なこと(洞察)-
機能を推す利便性重視の【スペック型/営業スタイル】から、お客様に潜在的な課題や自社の資産(見込み客リスト)に気づいて頂くための【インサイト型/意味訴求営業スタイル】への転換。
問題を解決するスタンスから問題を可視化し発見していく営業の佇まいとマインドセットによる競合他社との差別化。

●社会的要因(Society)

-分析-
予算縮小と見直し、積極的な投資マインドの経済事情から”手軽に始められる”、”スピーディに現場で活用できる”ビジネスモデルのツールへ需要が増加する可能性。

-その結果必要なこと(洞察)-
営業現場では積極的にトライアル環境を提供し、お客様に導入前のプレ運用を案内。
提供価値をベンダーとクライアント側で”共創”する提案方法への変更。
導入前の提案だけではなく、導入後の成功体験を実現するためのサービス(=カスタマーサクセス)の強化。

フロー型の収益体制からストック型のサブスクリプション収益体制を拡大するためLTV(顧客生涯価値)を意識したKPI・目標設定と組織内の文化を醸成していく。

●技術的要因(Technology)
-分析-
RPAを中心とした業務プロセスの自動処理環境の進化とAI中心とした人工知能を用いたソリューション・システムの浸透。
前段の経済的要因で触れたヒトのリソースの見直しにより、現場の実務体制はより最小ロットの組織でも事業を回せる環境を実現したいニーズが今後はいっそう増す傾向。

-その結果必要なこと(洞察)-
自社ツールの機能に他ツールとのAPI連携によるダッシュボードの拡張性を追加。顧客が求める機能を追加しPMF(Product Market Fit)していく発想を持ってみる。
並行し競合他社のツールも調査しながら営業現場では顧客の声に真摯に向き合い、「今現場では何が一番課題で求められているのか、その課題を解決するのは今なのか、なぜ私たちがそれをやるのか」を考えて積極的に社内の開発・マーケティング部と連携を取る姿勢。

まとめ~今こそ〇〇を見つめ直してみるチェックリスト~

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます。今回はテレワーク社会が広がり、B to Bの営業現場で必要な視点について長々と書かせて頂きました。

とは言っても、書き手の私自身も当然答えを持っていません。急激な環境変化により、様々な常識が変わりつつある今をどう捉えるのかがとても大切と思います。

最近、TVやメディアでは不安を煽る暗いニュースが多いため、ついつい悲観的になり気分が晴れないものです。そんな時、少しでも楽観的になることは意思そのものですので、新しいライフスタイルを磨くチャンスとして皆で新しい可能性について考え乗り切っていきましょう!

最後にこれまでの内容をふまえ、ご自身の法人営業を見直すきっかけとなる項目をまとめてみました。ご参考になれば幸いです。

□遠隔・非接触の営業スタイルに合った表現力UPに効果的な習慣を見直してみる

□新しい需要が生まれる過渡期。取引先や市場の変化を想像し訴求ポイントを見直してみる

□マクロ環境調査に便利なマーケティングのフレームワークを使い営業手法を見直してみる

□”問題を解決する発想”から”問題を見つけ提案”する営業スタンスについて見直してみる

□「悲観は気分」「楽観は意思」と考え、今自分にできることから見直してみる


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