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2021アルスエレクトロニカフェスティバルテーマ『A New Digital Deal』について

こんにちは。
アルスエレクトロニカでの研修がスタートして約3週間、オフィスに通うようになってからは約2週間経ちました!

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(ピッカーーーーーーン!)

コミュニケーションのとり方や働き方が日本と全然ちがって、色々発見があって、たまに驚きつつ、楽しんで研修を受けさせてもらってます。

アルスエレクトロニカには、大きく分けて『センター(ミュージアム部門)』、『プリ・アルスエレクトロニカ(賞部門)』、『フューチャーラボ(研究部門)』、『フェスティバル』の4つの部門があるのですが、わたしは今、主にセンターとフェスティバルの2つの部門で勉強しています。

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(フェスティバルオフィスの本棚。アルスの書籍はもちろんのこと、いろんなアーティストの作品集や思想系の本、貴重な報告書(!)もあります。宝庫。)

そして、アルスエレクトロニカ全体はというと、今は9月のフェスティバルに向けてどんどん各部門が加速している状態です。フェスティバルチームでは、毎週新しいメンバーが加わってきて、どんどん企画が立ち上がっています。

教えていただいたところによると、7月からはギアが上がって、オフィスもフェスティバル会場に移されて、本格的に準備がはじまるそうです。
(バディの方は、”crazy festival life“って言ってました(笑))

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ということで今日は、今年のアルスエレクトロニカフェスティバルのテーマについて書いてみようと思います!


アルスエレクトロニカは毎年テーマが掲げられて、そのテーマのもとに数え切れないほどのプログラムが立ち上がるのですが、コロナから1年経った今年のテーマがこれです。

『A New Digital Deal』

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(引用:https://twitter.com/ArsElectronica)

2021/4/19に行われたプレスカンファレンスで、アーティスティックディレクターのゲルフリート・ストッカーさんが、テーマについてお話しされました。

ステートメントとして掲げられている一文を引用します。

Digitization doesn’t change our world but it does, however, radically change HOW and WHAT we can or must deal with in this world.
(デジタル化は世界を変えない、ただし、世界とのかかわり方を根本的に変える)


英語にするとたった4語の短い言葉ですが、ここにはたくさんの意味がかけられています。

また、アルスの方々がよくおっしゃっていますが、テーマタイトルにたった1つの明確な意味(答え)があるわけではないので、むしろこの言葉からそれぞれの『A New Digital Deal』の問いを持ち寄ることが求められています。

プレスカンファレンスの中でゲルフリートさんは、「Deal」について強調されてました。

DXによって売り上げを上げたり、新しいサービスを立ち上げるといったような『取引』としての「Deal」だけではなく、デジタル化する社会に『対処する』、「Deal with」という意味がかけられている、とのこと。

オンライン会議、ソーシャルメディア、VRやARなどのゲームや様々なデジタルプラットフォームに依存するようになって、どんどんデジタルワールドで過ごす時間が増えています。そこで、どうやってその新しい世界に向き合っていくのか。
大企業やインフラなどマクロな規模の話だけじゃなく、日々をスマホ片手に生活する個人の目線からも考えられるおもしろいテーマだと思います。


また、先日はWIREDで、プリ・アルスエレクトロニカヘッドの小川絵美子さんと、フューチャーラボ共同代表の小川秀明さんが、日本の文脈での『A New Digital Deal』についてお話されていました。


そして、私も教科書を引用してきたような大文字の言葉じゃなくて、パーソナルな視点で『A New Digital Deal』について考えてみると・・・

1996年生まれのわたしは、物心ついた頃からタブレットに触れているようないわゆる“デジタルネイティブ“ではないけれど、高校の頃からiPhoneが普及して、社会と関わりを持ち始める20歳ごろには、Facebook、Twitter、インスタなどをガンガン使ってネットワークを作っていました。

社会に対して自分の立ち位置を確立していく時期に、ソーシャルメディアのコミュニケーションも同時並行で存在していたので、「デジタルが普及したから新しい自己も確立された!」みたいな感覚はあまりないなあと思います。

オンラインの中の生活も、フィジカルな人間関係も、表裏でもなく、ひとつのものとして存在してるイメージです。

さらに、去年は日本最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』でインターンをさせていただいて、何万人というオンライン村の中で、ヒト、モノ、お金が動く過程を体験させていただきました。

だからあまりデジタルに「Deal with(対処)」しているという感覚はなくて、ご飯を食べたり、はみがきするように、ネットを見て、ソーシャルメディアでコミュニケーションを取ってます。

だからむしろ、私が「Deal with」すべきなのは、その当たり前になってブラックボックス化しているデジタル世界に「Deal with」している、という感覚を持たせることかなと思ってます。

フィルターバブルと言われるけれど、そもそもフィルターに包まれてることすら見えてない、みたいな。

何気なく「同意」を押しているアプリの情報や、無料で登録しているアカウントなど。知らない間に、望まない方向にDeal withしてるものがたくさんあるかもしれない。

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リンツにきて、もうすぐ1ヶ月。

街の人たちは、みんな「人の顏」をみていることに気づきました。

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歩きスマホしている人が全然いない。
ヘッドホンやイヤホンをしながら歩いてる人も少ない。
ふと誰かとすれ違う時、物を買うとき、よく目が合う。

渋谷で働いていた時は、みんな群衆を避けるかのように画面の中に視線が落ちていて、満員電車なのに信じられないほど静か、というなんとも異様な光景でした。(もちろんその文化の良さもあるけれども)


ポッケから手を出して、イヤホン外して耳をひらいて、風を吸って歩く。

そうやって、オンラインもオフラインも溶け合うような景色の中で、世界にDeal withしていけるのかもしれない、と思ってます。

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Ars Electronica Festival 2021 - A New Digital Deal
2021/9/8 - 9/12


※トップ画像の引用:https://twitter.com/ArsElectronica

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