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条件づけによる学習

2種類の条件づけによる学習の話をします。学習というのは、刺激に対する認知過程の変容によるか、刺激と反応が連合することによって起こるとされています。連合とはすなわち条件づけです。
科学的心理学とは行動の科学であり、その目的は刺激と反応の関連を解明することだというWatsonの行動主義の一部として捉えてください。

1. オペラント条件づけ

自発されるいろいろな行動のうち、良い結果をもたらす行動の生起頻度は高くなります。Thorndikeはこれを効果の法則と呼びました。また、Thorndikeは、試行錯誤をしながらいろいろと行動をとっていて、その行動が欲求の充足に効果があるか否かで刺激と反応の強化度合いが決定するという、試行錯誤説も提唱しています。
これらを基に、Skinnerがオペラント条件づけの理論を提唱しました。行為者が自発的な行動を起こした時に強化刺激を与えられることで、その自発的な行動の反応頻度を操作される学習のひとつです。

強迫症や不安症は、オペラント条件づけによって説明できます。
強迫症のメカニズムを説明するのが逃避学習です。これはまず嫌悪刺激が与えられ、そこで特定の行動をすると嫌悪刺激がなくなるということの学習です。不安が生じた時に手を洗い続けると不安が低減することを一度学習すると、不安の低減が強化子となって、不安が生じる度に手を洗い続けることになります。
不安症のメカニズムを説明するのが回避学習です。嫌悪刺激の予告が提示されている間に特定の行動をすれば嫌悪刺激を回避できるということの学習です。不安を生じさせそうな状況になってきた時、そこで立ち去れば不安は生じないということを覚えると、不安が生じないことが強化子となって、不穏になってくると毎回立ち去るようになります。

関連するトピックとして学習性無力感があります。何をしても解決しない課題が与えられると、自分ではどうしようもなくなるので、何をしても無駄だという無力感が学習されます。結果、何もしなくなります。

オペラント条件づけは、問題行動の改善や心理療法に応用されています。その技法についてはこちらの記事を参照してください

2. 古典的条件づけ

古典的条件づけとは、無条件反応(餌をもらえる時に唾液を出す)を生じさせる無条件刺激(餌がもらえる)に条件刺激(ベルの音を聞かせる)を随伴させることを繰り返すうちに、条件刺激を呈示されただけで無条件反応が生じるようになる(ベルの音を聞くだけで唾液を出す)といった学習のことです。"Pavlovの犬"という実験が有名ですね。刺激と反応が時間的・空間的に近い場合に学習されやすいです。接近説といいます。

古典的条件づけには5つの特徴があります。
①種間の共通性:人間でもヒト以外の動物でも生じます。
②種内の共通性:年齢に関係なく生じます。
③反応の非特異性:反応は生理的現象だけに限りません。
④接近・順序の法則:条件刺激の直後に無条件刺激を呈示すると条件づけが生じやすいです。
⑤頻度の法則:何度も繰り返せば強く学習されます。

関連する用語を説明します。
まず、般化です。条件刺激と異なるけれども類似した刺激に対しても条件反応が起こることを指します。Pavlovの犬の例でいくと、ベルの音が今までよりも高かったりしても唾液が出ます。
それから弁別です。般化の逆で、条件刺激と異なる類似した刺激では条件反応が起こらないこと、又はそうなるようにする実験の手順です。
消去。これは条件づけが成立した後に条件刺激だけを呈示し続けると、学習されたものが消され、条件反応が生じなくなることです。ただ、完全に消去してから一定期間が経った後にまた条件刺激を呈示すると、一時的に条件反応が起こることがあります。これを自発的回復と呼びます。


今回はここまで。条件づけは行動療法や認知行動療法の基礎となる理論なので、しっかりおさえておきたいところです。
参考↓


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