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気分一致効果

気分一致効果(mood-congruency effect)は、大きく分けて2種類あります。
1つは記憶の気分一致効果で、何かを思い出す時に現在の気分状態と同じような内容の記憶が想起されやすいことです。例えば嬉しい気分の時には過去の楽しかったできごとのことが思い出され、落ち込んだ気分の時には悲しかったできごとのことが思い出されるといったようなものです。
もう1つは判断の気分一致効果で、現在の事象を評価したり将来のことを予測したりする時に、現在の気分に合った評価/予測がされやすいことです。例えば嬉しい気分の時には明るい未来を予想しやすいですし、落ち込んだ気分の時には今起こっているできごとを否定的に評価しやすいのです。

なぜこのようなことが起こるのか、いくつか理論があります。順に紹介していきます。

Bowerの感情ネットワークモデルは、感情を知識や記憶などとリンクしたネットワークに組み込んだモデルです。ある特定の感情が喚起されると、それと繫がった概念に関する思考が活性化するので、記憶の気分一致効果が起こると考えられています。

Schwarz&Cloreの感情情報機能説は、自分の感情を現状評価や将来予測の情報源のひとつとして直感的に利用しているという考え方で、判断の気分一致効果を説明します。

一方、Isenの気分制御説では、感情の影響はBowerの感情ネットワークモデルが仮定する自動的な思考活性化のみに依存して起こるのではなくて、それを意識的に制御している面もあると提唱されています。それにより、気分一致効果が必ずしも発生するとは限りません。今はつらい気持ちだからせめて次の予定は楽しいものにしようと考えることもあるのが人間です。

短めですが、今回はここまでにします。
参考↓


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