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自己評価

人は自分のことを様々な面から見て、メタ認知的に自己評価を下しています。今回は自己評価に関する理論を5つ取り上げます。

1. 社会的比較理論

自分の能力についてできるだけ正確に自己評価をしたいのですが、客観的な評価基準が見つからない時、自分と似たような他者の能力と自分の能力とを比較することによって自己評価を下すという説です。

上向きの社会的比較は、自分よりも能力が高い人と比較するものです。これは自分を向上・研鑽させる意欲が湧くというメリットがありますが、時に自己評価を低下させるというデメリットが考えられます。よって、上向きの比較は自尊心が十分に高まっている時になされます。

下向きの社会的比較は、自分よりも能力が低い人と比較するものです。基本的に自己評価を上げることができ、自尊心が低い人には気分を高揚させる効果があり、一種の自己防衛的な自己評価の仕方です。


2. 自己評価維持モデル

Tesserは、①他者との心理的近さ、②課題の自己関与度、③他者が成功するか失敗するかという3つの要因によって自己評価が変動すると提唱しました。

比較過程においては、心理的距離の近い他者が成功を収めていると自己評価が下がり、失敗していると自己評価が上がります。これは他者の課題が自分と関連が高い場合に起こります。

反映過程では、心理的距離の近い他者が自分とあまり関係の無いことで成功を収めていれば自己評価が上がり(栄光浴)、失敗していると自己評価が下がります。


3. 自己価値確認理論

この理論では、人が維持しようとしている自己評価は、個別の領域における細々とした自己評価ではなく、自分全体に対する自己評価であるという前提を置いています。

失敗などによって自己評価が下がった時、回復させるために自分より劣った他者と比較しやすいものですが、自分にとって最も重要な価値は何かを自分で確認できていれば、次に同じようなことが起きても自己評価は下がりません。


4. セルフ・ディスクレパンシー理論

自己評価は必ずしも他者との比較によってなされるものではありません。過去や未来の自分と比較することもあります。

自分は本当はどうありたいのかという理想自己と現在の自分との差が大きいほどネガティブな感情が起こって自己評価が下がります。(これは割と当然)


5. 継時的自己評価

過去や未来の自分と現在の自分を比較する時に、現在の自己評価を高く保つために、過去や未来の自分を歪めて評価するメカニズムがあるという説です。

過去の自分の方が劣っていると考えることで、現在の自己評価を高めることができます。よって、人は自然と過去の自分の方が今より悪かったと判断しやすくなります。

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