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WAIS-Ⅳ

知能検査のひとつにウェクスラー式知能検査というものがあります。日本では、2歳6カ月~7歳3カ月に使うWPPSI、5歳0カ月~16歳11カ月に使うWISC、16歳~90歳11カ月に使うWAISがあります。

今回は2021年時点で最新のWAIS-Ⅳについて解説していきます。児童用のWISC-Ⅴは別記事になっています。

WAIS-Ⅳは、10種類の基本下位検査と、5種類の補助下位検査から成ります。

主要下位検査は次の通りです。
類似:共通の概念を持つ2つの言葉を口頭で提示し、それらのものや概念がどのように類似しているかを答えさせる (例えば「スプーンとフォークは何が同じですか?」と聞いて「両方とも食事に使います」のような回答を期待する)
単語:絵を見せて物の名前を答えさせたり、単語を読み上げてその意味を答えさせる
知識:一般的な知識に関する質問をして答えさせる (例えば「『吾輩は猫である』という物語を書いたのは誰ですか?」という質問をして「夏目漱石です」という正解を期待する)
積み木模様:モデルとなる模様を提示して、2色の積み木を使って制限時間内にモデルと同じ模様を作らせる
行列推理:一部分が空欄になっている図版を見せて、選択肢の中から空欄に当てはまる記号や絵を選ばせる
パズル:選択肢の中から、組み合わせると見本と同じになるもの3つを制限時間内に選ばせる
数唱:数字をいくつか読んで聞かせ、それを同じ順番で復唱させたり、逆唱させたり、並べ替えたりさせる
算数:算数の問題を暗算で解かせる
符号:図形または数字と対になっている記号を制限時間内に書き写させる
記号探し:左側に提示された記号が、右側の記号グループの中に含まれているかどうかを制限時間内に判断させる

①~③で言語理解(VCI)、④~⑥で知覚推理(PRI) 、⑦・⑧でワーキングメモリー(WMI)、⑨・⑩で処理速度(PSI)を測定します。これらが何を意味するのかは後述します。

補助下位検査は次の通りです。必要に応じて実施します。
理解:日常的な問題の解決や社会的ルールについての理解に関する質問をして答えさせる (例えば「お父さんから『テレビの音がうるさいよ』と言われたらどうしますか?」という質問をして「音量を下げる」「テレビを消す」のような回答を期待する)
バランス:天秤計りの重りの一部が隠されているので、選択肢の中から重りとして最も適切な物を制限時間内に選ばせる
絵の完成:絵を見て、足りないものを答えさせる (例えば椅子の脚が3本しかない絵を見せて「椅子の脚が1本足りません」のような回答を期待する)
語音整列:数字と仮名文字を読み聞かせ、決められた順番に並び替えて言わせる
絵の抹消:いくつかの小さな絵の中から、制限時間内に動物の絵だけを探して線を引かせる

①で言語理解(VCI)、②・③で知覚推理(PRI)、④でワーキングメモリ―(WMI)、⑤で処理速度(PSI)を測定します。

さて、各項目の説明をします。
言語理解(VCI)は、言語による理解力・推理力・思考力に関する指標です。言語を用いたコミュニケーションや推理などに必要な力です。
知覚推理(PRI)は、視覚的な情報を把握したり推理したり、視覚的情報に合わせて身体を動かすことに関する指標です。新しい情報に触れた時の対応力や解決能力です。
ワーキングメモリ―(WMI)は、口頭での指示理解や短期記憶、集中力に関する指標です。
そして処理速度(PSI)は、情報を処理することに関する指標です。

WAISは知能検査ですが、知能を測るというよりも、その人の得意なこと、苦手なことを把握して、必要な支援や生活のヒントを探すために実施されることがほとんどです。
僕も受けてみましたが、言語理解が異様に高くて言葉での理解力はかなりあるのですが、知覚推理が相対的に低めで視覚情報の即時処理や先の見通しは苦手なことがわかりました。なので、新しいことをする時にはまず説明書などの言葉による理解をして、先の見通しが少しでも立てられるようにがんばることにしています。

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