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【読書感想】みちづれはいても、ひとり

夫・宏基と別居中の弓子は、アパートの隣人・楓と時々一緒に食事をする仲だ。別居後すぐに宏基は失踪したのだが、ある日義理の母から、故郷の島で宏基を見かけた人がいる、という話を聞かされ、楓と共に夫を探しに島への旅に出ることにした。女二人の旅の行く末は――。

思わず、タイトルに惹かれて手に取った作品。
残酷で心にグサッと刺さるタイトル。

結局みんな、ひとりなんよな~
って、最近考えてたから、パンッと目に飛び込んできたのかも。

読みながら、女の葛藤とか辛さとか、ひたすらに共感した。
結婚してるから、子供がいるから、
っていう誰もが苦しむ世間の目や一般論がある。

本作ではそれを具現化したような人物が登場するのだが、

「普通って何よ」って弓子と楓が気持ちの良い代弁をしてくれるところにも爽快感がある。

日常じゃ、それに出会ったら特に言い返せなくて
平気な振りをして、実は重いパンチを食らってたりする。

普通の幸せな人生。そんなもの、どこにもない。
手にしているように見える人でさえ、きっと違うのだ。
内情はさまざまなのだ。

作中のこの言葉、
あぁ自分の目で見てるものだけが正解じゃないんやな、
って改めて考えさせられた。

みちづれはいても、ひとり 
けど、ひとりじゃない
 

そんなメッセージが込められた作品に思えた。


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