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[読書] ウィルス学者の責任

 コロナ禍で知ったウィルス学の宮沢先生の著書。オーディブル版にて聴講させてもらいました。

きっかけ

 宮沢先生を知ったのはTwitter(現:X)の発信から。当時、中国武漢のロックダウン、ダイヤモンドプリンセス号での感染者確認(2020年2月)、緊急事態宣言、日々の感染者数カウントと、その情報量の多さに圧倒されました。

 情報量の多いネットの海から宮沢先生の発信を知り、著書を読みたいなと思ったのでした。

感想

 コロナ禍での「感染対策」。実際に要請された、緊急事態宣言、三密回避、自粛要請、東京アラート、ステイホーム、Go Toキャンペーン、ゼロゼロ融資。いやはや、数多くのワードが生み出されました(その多くは都知事からか?)

100分の1作戦

 そうした対策に対し、宮沢先生は行き過ぎでは?と著書に書かれてました。SNSで時折見かける極端な主張ではなく、懇親会は開いても良いだけど、大声で話さないようにすればいいんじゃない?というもの(100分の1作戦)。

 というのも、ウィルス性感染症は細菌性感染症と異っているから。ウィルスに晒される ⇒ 即危険!ではない。一定量以上のウィルスに暴露された場合にリスクがある、からだそう。

 お酒もウィルスも適量なら浴びても大丈夫らしい。この話は、当方の実感とも一致してて、すんなりと腹落ちしました。

職業倫理の話

 その後で印象に残ったのは、犬用ワクチンへのRD114混入の話。今市事件での捜査協力の話。詳細は著書を読んでいただくしかないけれど、宮沢先生は、学者としての倫理観に優れた方だと私は思いました。

 研究室運営の話もありましたが、学生やポスドクさんのその後の人生を第一に考えている様子が伝わってきまして、自分も弟子入りしたくなりました(笑)

自叙伝

 著書の後半は自叙伝になってました。当初植物学科希望だが、選考に漏れてしまい、畜産獣医学科には入りたくないと、授業欠席で落第しようとしていた話から始まり、京都大学で教職を得るまでに、相当な苦労をされている。

なのに・・・

 勿論、京都大学側でも諸事情あっての決定事項なのだと思います。著書に乗っていない話も沢山あるのだと思いますが、純粋にウィルス学の発展を考えた場合、ラボ閉鎖は、日本の損失では?と思ってしまいました((+_+))

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