ローソン上場廃止、個人株主の行方
△概要
ローソンは2023年7月24日に上場廃止となり、三菱商事とKDDIの共同経営体制に移行しました。これにより、個人株主はローソンの株を手放すことになり、企業と顧客の関係性に変化が生じます。ローソンの臨時株主総会では、株式の非公開化に向けた議案が承認され、個人株主からは惜別の声が上がりました。個人株主は企業にとって重要な存在であり、特にBtoC企業では「株主を顧客に」という考え方が広がっています。カゴメやJR東日本などは、個人株主との関係を強化する施策を展開しており、ファン株主の存在が企業の成長に寄与しています。ローソンも上場廃止後、消費者やファンとの関係を再構築する戦略が求められます。
□ローソンの上場廃止とその背景
○ローソンは2023年7月24日に上場廃止となり、三菱商事とKDDIの共同経営体制に移行しました。これは、KDDIがローソン株のTOB(株式公開買い付け)を実施し、その後の臨時株主総会で株式の非公開化に向けた議案が承認された結果です。ローソンの竹増貞信社長は、上場以来の支援に感謝の意を表し、今後の成長を新体制に託すと述べました。しかし、個人株主からは「株主でなくなるのは残念だ」といった声が上がり、ローソンのファンである個人株主を失うことへの懸念が示されました。
□個人株主の重要性
○個人株主は企業にとって重要な存在であり、特にBtoC企業では「株主を顧客に」という考え方が広がっています。三菱UFJ信託銀行によると、国内上場企業の個人株主数は2024年3月時点で約1526万人に上り、ネット証券の台頭やNISAの拡充などで増加しています。個人株主は議決権行使の観点からも重要であり、企業の成長に寄与する存在です。
□企業と個人株主の関係強化策
○カゴメやJR東日本などは、個人株主との関係を強化する施策を展開しています。カゴメは株主優待で自社商品を送るだけでなく、オンラインで社長と話す機会を設けたり、海外拠点の見学ツアーを企画したりしています。これにより、ファン株主が増え、通常の消費者と比べて約10倍の購入量になるといいます。JR東日本も個人株主との関係を重視し、株主優待やイベントを通じて関係を深めています。
□ファン株主の影響
○ファンベースカンパニーの池田寛人氏は、ファン投資家は株を長期保有するだけでなく、周囲に株の購入を勧めたり、商品やサービスの購入量を増やしたりすることを指摘しています。個人株主だけがファンづくりの手段ではないものの、上場廃止により消費者との距離が遠くなることは確かです。ローソンも上場廃止後、消費者やファンとの関係を再構築する戦略が求められます。
□今後の課題と展望
○ローソンは上場廃止後、三菱商事とKDDIの共同経営体制で成長を目指しますが、個人株主を失うことで消費者との距離が遠くなるリスクがあります。企業は消費者やファンとの関係を再構築し、戦略的に向き合う必要があります。特に、ファン株主の存在が企業の成長に寄与することを認識し、個人株主との関係を強化する施策を展開することが求められます。
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