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ずっと心が欲しかったもの

「結婚したいな・・・」
わたしはそんな独り言を気づくと口にして30代を過ごしていました。

よっこいしょ並みに。立ち上がるたびに、口にする。そのくらいの頻度で言っていた日もありました。

結婚をした今でもクセが抜けなくて、隣で居眠りをする旦那さんがいる事を忘れて、冒頭の『結婚したいな…』を言ってしまう。

私は誰と結婚したいのだろう 笑

結婚してもでてくる程だから、どれだけつぶやき続けたクセなのでしょう。
思わず自分にツッコみたくなる。
子供の頃から結婚への強い憧れが心にあったのを、今は否定せずに言える。

家族へのあこがれ。

・・・・・・

30代。
まわりを見渡せば同い年の友人は子育てに忙しそうにして、遊びにいく回数や話す内容も噛み合わないことが増えていく。

年上の友人・知人と一緒にいると、比べずに済むので自然体の自分でいられる。そんな気がして一緒にいると楽しかった。

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その頃、遅番勤務をしていると夜間手当てがどうしてもついてしまう。
私が希望していなくても遅番をできる人は少なくて、上司に相談を受けて遅い時間の勤務でした。

すると独り身だから。自由な時間に勤務ができるから。夜間手当て目当てに勤務していると噂をたてられた。
たしかに独り身で自由な家庭環境だから、遅番でも早番でもできた。

だけど噂は不本意で、言葉に形容しがたい疎外感。

その噂をたてた人は変わった価値観の人だったかもしれないけれど、同じように噂を聞いている人たちの共感している話が耳に入ってくると、その職場の人を心の底から信じられず、心は頑なになっていった。

「いいわよね。自由で過ごせて。結婚した苦労もしらないで。」
そんな言葉は、今でも刃のように思える。

本当に悩んでいた家族への憧れは、固く心の奥へしまいこんでしまった。
誰にも本音を話すことはなく時間が過ぎていきました。

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子供は可愛いな。と思っていました。
結婚したなら、家庭が持てたなら、
奥さんになった自分を想像するとセットになって登場する、想像の私の子供。

大切に育てたい。
そんな願いがずっと心にありました。

今回の転職で諦めたことがひとつ。
しばらく私たち夫婦に子供は作れない。

雇用条件上、産休・育休は勤務年数を重ねてからだそうだ。
覚悟はしていた。
旦那さんが離職してから、いろんな事をずっと覚悟していたとはいえ、転職活動中に心にぽっかり穴が空きそうになるのを押さえ込んできました。

現状でも子供ができにくい私にとって、これから先数年。
積極的に妊活できないのは、子供を望むチャンスが減っていく。
この現状を転職を機に受け入れるのに、時間が必要でした。

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30代の終わり。
今の旦那さんと知り合った。
旦那さんは知り合った当時は付き合っていた人がいたし、その頃の私は男性不信になっていたので、誰とも付き合う気がなく。相手に対して恋愛感情はまったくもっていませんでした。

そんな相手とどうして今一緒にいるんだろう。
ふと考える。

何年経っても知り合いのままの人もいるのに、この人とは何故か同じ屋根の下で暮らしている不思議さ。
ケンカして、ときに寝っ屁を私に向かって放たれる。
(汚くてごめんなさい)

出会った頃に話が戻って・・・
旦那さんは気が付くと彼女とお別れしていて、仕事に没頭している仕事人間。
私は彼女がいたことも別れたことも知らず、仕事に没頭して疲れ始めた彼を心配するおせっかいさん。

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仕事関係で知り合りあったので、仕事の悩みを電話で相談することもありました。
ある日、熱が出たと連絡があってポカリを買って彼の自宅へ届けにいきました。
仕事の話やなんでもないテレビの話をしながら、しばらく時間を過ごして元気だしてね!と帰る道中でこみ上げてくる感情がありました。

それは懐かしさ。

なんだろう、この感じ。
仕事をしている時から想像できない彼の素朴さ。

その懐かしさの理由を当時は知る由もありませんてした。

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そのあとにしばらく経って付き合うことに。

そして気づいてしまった。
旦那さんの性格や境遇は、私の母によく似ている。

よく「好きになる人はお父さんに似ている人」なんていうフレーズがあるが、彼は私の母と性格が似ていました。

とくに若い頃の母に。

若い頃の母は苦手だった。
お母さんという規格から縁遠いところにいる人で、子供よりも何よりも自分のことが最優先。

付き合ったものの、やっていけるのか私。
いざという時に守ってもらえるの?

そんな心配は見事に的中。
旦那さんは結婚と共に、自分のことでいっぱいいっぱいになってしまい、破裂するように離職しました。

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守ってもらえるかどうかは別にしても、旦那さんが子供のように頼ってくる。
私は私で、ストレスから睡眠障害、下痢、倦怠感に円形脱毛症…。
子供が欲しかったけれど、こんな大人の子供は神様きいてないよ!!!

叫びたくなった。
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母は年を重ねて苦労を重ねて、優しい女性に変わっていた。
今は疲れたときに、時々電話すると的確なアドバイスをくれる訳でもないけど、私のことを応援してくれる。

私が「がんばる」というと「がんばってね」と言ってくれる。
私が「もうだめだ」というと「ダメじゃない」と返してくれる。

旦那さんのこともよほどの事がない限り、否定したりしない。
「若い頃の私によく似てるから、わがままで自暴自棄になるの分かるよ」

そうか…。旦那さんは今そういう人生の分かれ道にいるの。私なりに今の旦那さんを私の器の範囲内で理解する。
母は母親だったから、逃げも隠れもできなかった。
旦那さんは他人だったから、逃げも隠れもいざとなればできるかもしれない。

否定も肯定もしない母は、だからどうしろとも言わない。

ただ願っているよ、2人の幸せ。とだけいつも言う。

「あんたが命がけで家族守ってくれたから、私たちの家族が今があるんだよ。」

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私の心がずっと欲しがっていた、私の家族。

思っていた想像の家族の形とは違うけれど、ちょっとイビツだけれど。
大切にこれから丸くしていきたい。

笑っても、泣いても、怒っていても、一日は過ぎていく。
できればお互いに優しくいたい。

怒る時は怒って私も丸くなろう。
出来ないときはできないけど。笑

今はそんな気持ち。



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